今度の精度はいかほどか?
人魚姫を美しき女ととらえる男は限られている。なにせ、下半身は魚である。下半身が。下半身が!
男の本能が、いくら乳房が大きかろうと下半身を見ればあれは『相手』ならざるもの、女も偽りし、怪異と見て取る。
であるから、セイレーン、海の悪女たちの下半身はタコであったりもするし靄で隠されていたりする。
女であるが、女ならざるもの。
それが、人間の男と結ばれたいというなら、魔法や魔女により人間の女にまるごと生まれ変わる必要が迫られる。
しかし、男の本能もするどく、それらの変身した女たちは恋をうまく終わらせることはできない。結局は怪異であるからだ。
女たちも、本能によって怪異の女がまじっているなら、そうと感じるものがある。人魚姫の童話ですら修道女は人魚姫の代わりに、王子のとなりに立つことを選んだのだ。
オンナの本能が男を助けたのだった。海からきたりし異物より!
怪異たちに美談などない。
怪異たちは、しょせんは人間ではないから。人間たちの美徳や道徳を共有せざるものたちであるから。
いくら、顔が美しくても。
怪異たちが、そのぶん、顔を美しくしていても。
パクリと頭から食われるのを防ぐ、人間のオスメスの本能が攻防戦を繰り広げてきた結果、今現在では、妖怪や怪異などは姿が消えた。自然淘汰であるはずなく、戦歴の勲章がずらりと人間史におけるコレクションにならび、人間を創造したる、主は、ご満悦である。
今度の人類は上手く行くかもしれん。
END.
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