屠殺ラブスト2-30
「ちょちょちょちょーーーーッッ!! バカ!! バカバカバカバカッ!?」
「馬鹿です」
決意の目をするな!
深夜2時にまわっていそう、悲鳴が夜に響く。
こんなボロヤバアパートじゃなければ通報されてそう、ていうか通報して誰か。
しーさんは、深刻そうに一人で眉を寄せていて、がっちりと私の太ももはホールドしてきている。
下のスウェットは脱がされた。隔離部屋に逃げるべく背中を見せたらペロンで一発で足首まで下ろされた。それからベッドに放り込まれて太ももを裏側から持ち上げられて、胸に向かってグググと有無を言わせずに押しつけてくる。
しーさんは、深刻ではあるけれど、複雑そうに目を細めて口角をひんまげていた。
「沙耶ちゃんのパンツ姿を目の前にしてこんな気分なことってある」
「なんでこんな目に遭うんですかおかしいですよいくらなんでも!! て、手ぇ出されたことなんて無いですってば!!」
「うん。兄貴の予約? 中学卒業したら年齢的に子持ちでもアリだからそれからのはずだった? うんうん、そりゃ開通されてなさっぽそうだけど肝心の兄とやらがぜんっぜんそれ守ってるようには聞こえないし寝てる時間もあるんだし保証ないよ」
「そんな!? なっ、たっ、たとえ、なんかがあったとしたって……今の私は平気ですけど関係ありませんけど!?」
「俺が平気じゃない俺は関係がある」
「なにいってんですか!!??」
「処女膜てさ、運動でも破れるしタンポン……はこの家に無いから使ってない、まぁ破れやすいんだけど、俺こっちならプロだから。挿入で粘膜が広がってるのかぐらいは多分見て分かる。ちょっと詳しくよく見させてもらうことになるけど」
「なにいっちゃってるんですか!!!! 外道のプロですか!!!!」
「そ、外道のプロ。悪いね。でも犯されてたかどうか、あっちの罪がさ、ここの有無でずいぶん変わるだろ。沙耶ちゃんは全く気にならないなんてウソでしょキミそういう子じゃない」
「なにわかった気で!!!! 気にっ……」
(気に)
ならない。
(な……、…………!?)
こんな、暴漢に脱がされて、ひっくり返されて、プロレス技みたいに組みふせられて。しかもお尻を突き出してしーさんにパンツどころか股間まるごと見下されてる。
ありえなさすぎ。
力が、強くて、私は素足を、膝から下をじたばたさせるぐらい、あと上半身は暴れるのを抑えるためか容赦なく圧迫されているから苦しい。肺が押しあげられてる。外道のプロなのは確かに。間違いない。
(こ、こぉいうヤツだった……!!)
この男性。岸川鹿馬。自分の都合だけでこの家に押しかけてるし結婚までワザとさせたし離婚もしないと言いはる。家の備品か、てほど当たり前な顔をしているけど、そこが、そもそもケタ外れの悪人である証明だ。
汗が浮きでて、なんの汗かも判らない。
太ももの裏側にも汗がにじんでいる、しーさんだって私の汗ばんだ肌を感じて見て全部分かっているはずだ。
でもコイツ、股間ごと私を見下ろしてきておきながら、悪びれてはいなかった。
「気になってたでしょ? 沙耶ちゃんだから。ずっと気になってたんじゃないの」
表情こそ複雑そうなものがあって、人間みはある。
少しは、不本意そうに見える。
ただ、でも、灰色の瞳、獣のそれ。
まったく迷いなく急所ごと見据えてきて。後悔も懺悔も何もない。むしろ食いちぎることこそ本能とでも言いそう、その瞳は。
ひく、と、ありえないところが震えた。灰色の瞳は目ざとくそれに気づいてほんの瞬間だけそちらに目を落とした。
(……ぱんつ)
そういえば、なにを、履いてたっけ。ああ私の目にも見えてるんだった。
セット買いの安いやつ。たまたま着回しでストライプ柄、白とピンク色のやつ。なんでよりにもよって今日はピンク色なんて入ってるのバカ。
ベッドがきしんで、しーさんが体の重心を移動させたことすら今はよくわかる。
顔が近づけられた。
しーさんの長めの髪が、前髪が、額に触れてくる。
「……気になってるだろ?」
「……ド変態……っ」
「気になってる。ほらね。大丈夫、見るだけ、膣の浅いとこだから。大丈夫と思っておいて。リラックスできる? もう少し。ちょっと今は苦しいでしょ。沙耶ちゃんが暴れないなら加減するから」
「……外道のプロのど変態の大馬鹿……っっ!!」
「うんうんバカでしたバカなんで好きな子が昔どう処されてたのか知らないと気が済まない。済まないな、失礼するよ」
「失礼どころかっ……!!!!」
「外道なもので」
ほんとに、本当に。見るつもりだ。うそ。信じらんない。しかもコイツ。コイツ!!
目を股間から上げて、目線までも絡めてきたと思えば、ひょうひょうと言い出した。
「あ。沙耶ちゃんも俺のちんこ見てるしお互いさまってことに」
「なるか!!」
コイツこの男!!!!!!
END.
読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。