愛より強し数字のモンスター
数字、数字、数字、いいねの数、お気に入りの数、そんなものがいつしか人類を支配した。
数字に感情は無い。
すがたも、ない。
それは怪物と言えただろう。
時代さえ、この時代でなければ、人心をまどわすアヤカシとなりえたはずだ。
数字は掴みどころがなくてスルスルと消える。儚くも美しい人魚姫のような、セイレーンの異名すら持ち人間を歌いながら殺害するほど凶悪な、残忍な、しかし憧れられもする奇っ怪なモンスターだった。しかし、悪魔でもあり天使でもあって、表裏一体でコロコロ変わってヒトを操るから、その真なる姿など誰にもわからなかった。
ただ、数字はもはや、人類の上をゆく。
愛は地球より重いとバカが言う。しかしテレビで語られるその言葉は、数字の支配のもとから発せられる。数字がもはやすべてをにぎり、金や欲求や生身の肉さえも操れた。
しかし、数字は、感情もなくカタチもなく姿も無いのだ。
煙の怪異ほどのもの。
スルスルと、消える。
誰のものにもならない。
数字がなによりも強く儚く強烈に皆を支配して皆をコントロールする、そのちから、みなもとは、水がごとき性質にある。
だれの、手にも、留まらない。
だれからもいつか逃げ出す。
現代、最新の怪異、妖怪、モンスター、バケモノ、ありえざる異界の生きもの、で、ある。
END.
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