リライトちゅう・ショート解体8
「鍋に入れるお肉……」
「沙耶ちゃん、と殺場で働いてる割りにそんな肉は好きじゃなさそうだよね」
「そんな学校の先生は必ず子どもが好きみたいな……」
「ああ、逆に? 残酷で苦手になった?」
「私がそんなふうに見えま」
「せん、だねぇー。いや皮肉でも怒ってるんでも文句言ってるわけでもなんでもないよ。卵もタンパク質でいいんじゃない? ただ今夜は鍋って言って肉を買い忘れることある?」
「ヒモに文句をつけられる」
「主夫な、主夫。今は主夫の目線だよ沙耶ちゃん」
「一人鍋でしたから……。卵とじでシメて美味しいお粥……のような……」
「野草入れてるからそれは本当にお粥ではないかな」
「というか、勝手に鍋を新しく買わないでください。しかもなんですかコンロまで……どこからこのお金が……?」
「後払いって便利だよね」
「今このタイミングでクレジットカードを差し出すことの意味は……」
「ひとつでしょ」
「…………横領罪!!!」
「ざんねん。夫婦なんだな♥♥ あーん、妻が食費をくれないよう♥ って俺が裁判できるやつ♥♥♥」
「クレカ隠しておいたのに」
「いや、持運ぼ? まずそこよ何で持ち歩いてないのさ沙耶ちゃんは」
「だからって洋服ダンスの裏から捜してきて勝手になんか犯罪して無断使用する男性は果たして」
「主夫だからさ。なに? 無駄遣いの防止?」
「……大学に入れたら学費がいるんですから……貯金はぜったいですよ」
「うん? へえ。学費貯金? 学生ローンは使わないの」
「それも考えてますけど。でも。お金はたくさん……あったほうが……。服、とか、大学生になったらちゃんとそれらしいものを……」
「…………え。大学デビューが夢? もしかして? マジ? ウチの妻がたまに言うカワイイことがマジで可愛い件について!?」
「横領罪について話しましょう、しーさん」
「妻が可愛い件について♥♥♥」
「……主夫が犯罪者な件について……!!」
「ははは。今さら〜〜。なに、どういう服が欲しいの? 着たいの? どんなん?」
「死んでも言うもんかですよ勝手に買いそうな犯罪者の横領犯のニセ夫……!!」
「ホンモノなのにな〜〜??♥♥♥」
END.