忌まわしきは血の必定

三つ子のうち、ひとりは泡になり、ひとりは尼になり、ひとりはどこかに行ってしまった。海のある王様の話である。

三人娘が産まれたときは、それはもう盛大に祝われた。
しかしもはや過去のこと。
忌み話であるように、過去のこと。

誰もがこれをくちにしなくなった。誰もが三つ子を話題にしなくなった。悲しくなるし、虚しいし、この世の無惨な生態を突きつけられるだけだから。
しかし、失敗したからって、子どもたちがみんなバラバラになって子孫も残さずいなくなったからって、その人生を否定してもいいものだろうか?

父たる王は悩み抜いた。そして、臣下の民にならばそうするように、消えた人魚姫たちにそうすることにした。

『可哀想な父親! ここに親を失った可哀想な子どもがいます。この子を養女に迎えてみてはいかがかしら?』

『名案です!』

こうしてマーメイドのお姫様は増えた。新たにお姫様が迎えられた。血のつながりがないなんて。そんなそんな。これから『父』と子作りすればいいのです。

誰が平和な話をするなんて言いましたか!
忌まわしい話の話です。


END.

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海老かに湯
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