この道の玄人たちです
不老不死になったらナニをすればいいのでしょうか?
ミチが真剣に尋ねているのに、向こう方は酒を飲む手もそのまま、酒瓶ごと煽るやつまでいた。
「好きに」
「したいこと」
「前ならできなかったやつ」
「……ぼくは偶然、こうなっただけで……知らなくって……急に好きだから、ッて言われて、それで食べさせられて……」
「そんで飽きたら捨てられる」
「人魚あるあるー!!」
「ワガママ姫さん!!」
「知らんがな、この村はそーゆうめにあった連中の溜まり場だ。好き勝手していいし外出て遊んでヤリすぎちったら、ほとぼりが冷める、まぁ相手が死ぬまでコッチに戻ってきて、んでまた外に出ればなんも問題なんて起きねぇ」
「えぇ…………?」
困惑しきる彼に、まだ若い、といっても外見はまったく意味がないので何もわからない、9歳くらいの男の子が告げた。
人差し指を自分に向かってチョイチョイやって、寄り合い屋敷の隅っこで酒を飲んでいる自分へと誘導する。
わけもわからず、進んでいくと、何人かの不死者たちは不愉快そうに眉をしかめた。
男の子は、のどが潰れていた。
老人が死ぬ間際みたいにして、しゃべった。声が。声が老いている。
「無。無だよ、ム」
「む」
「なんもない。以上」
日本酒のおちょこを、吸い、本当の老人の眼差しをしながら、男の子はどうしようもない救いようのないナニカを見るみたいに、こちらを、見上げる。
……正解はどうやら誰にも無いようだ。
不老不死、死なずの者たちの屋敷である、そうである、のに。
END.
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