愛のある嫁
「左脳にぃー書いたぁ手紙ぃークシャクシャにぃ丸めてぇ捨てるぅー♪」
夫はMr.Childrenが大好きだった。
「ちょっと!アナタッ!ゴミはちゃんとゴミ箱に捨ててって言ったでしょ⁉︎」
「あ、ゴメ…」
「それに今何時だと思ってるの? まさか明日の運動会の場所取り忘れてないわよね⁉︎」
「うん…でもまだ10時だし…」
「アタシだって早起きしてお弁当作らないといけないの!寝られないでしょ? 子供たちも起きちゃうじゃない!」
「はい。」
「で、準備はしたの?」
「へっ?」
「へっ?じゃないわよ!ピクニックシートとカメラよ! 話聞いてなかったの⁉︎」
「そ、そんな大声ださなくても…」
「大声出してたのはアナタじゃないのよっ‼︎ とっとと準備して寝なさいよ!」
妻は勢いよくドアを閉めて部屋を出て行った。それはまるで嵐のようであり、妻が立ち去ったあとの部屋を静寂が支配した。
そして、夫は言いつけどおりに明日の準備をする為、ピクニックシートを探しに部屋を出ようとした。
その時、つい口ずさんでしまった…
「新しいぃードアーのむこーにぃー新しい何かぁーが待っていてぇー♪」
「アンタ馬鹿にしてんの⁉︎」
立ち去ったと思われた妻は、夫がきちんと準備をするか確認する為に扉の前に立っていたのだった。
「ごめんよ!本当につい、口ずさんでしまったんだ。本当にごめん。自分で自分が嫌になるよ…本当に…」
「はいはい…挙句には『死にたい』とか言い出すんでしょう⁉︎」
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