ジェームズ・レヴァイン。思い出深い指揮者。

こんにちは! ファゴット奏者の蛯澤亮です。楽器を吹いたり、youtubeやnoteで情報を共有したり、コンサートの企画運営をしています。一緒に人生を楽しんでいきましょう♫

さて、先日、訃報が飛び込んできました。アメリカの指揮者ジェームズ・レヴァインが亡くなりました。

わかりやすい指揮と情熱的で開放的な音楽

中高生の時に吹奏楽部でモーツァルトの「魔笛」序曲を演奏することになった時、家にあったのがレヴァインとニューヨークメトロポリタン歌劇場のLDでした。

懐かしいですね、LD。若い人はなんのことやらですよねw私でもぎりぎりの世代でしょうか。今はyoutubeで検索すれば出てきます。便利な時代です。

今聴いてもやっぱり良い演奏です。非常にオーソドックスでキレが良い。改めて指揮を見てもわかりやすく、拍、流れ、音楽の動きが非常によくわかります。そして何より楽しそう。

私が何回も見た映像は高校生の時にNHKの衛星放送で中継されたベルリンフィルの定期演奏会。この中でメンデルスゾーンの「宗教改革」がとても素晴らしく、当時トランペットをやっていた私は弦楽器や木管楽器のかっこよさを知ったのでした。その時の指揮振りも私にとっては「プロの指揮者」の良い例として記憶されました。

晩年まで順風満帆だった

レヴァインの経歴は華々しいものです。ジュリアード音楽院を卒業後にすぐクリーブランド管弦楽団のジョージ・セルの元で助手を務めています。当時、クリーブランド管弦楽団を世界一流まで高めたセルのもとで学んだことはきっと彼のプロとしての経歴のはじめとして素晴らしいものではなかったでしょうか。長年メトロポリタン歌劇場を率いて、このオケの質を高め、保ち続けた手腕からも伺えます。

ヨーロッパでも活躍しており、ウィーンフィル、ベルリンフィルなどの常連でした。私がはじめて買ったクラシックのCDはレヴァイン指揮ウィーンフィルのブラームス交響曲第一番でした。

その後、巨匠チェリビダッケの後任としてミュンヘンフィルの音楽監督、小澤の後任としてボストン響の音楽監督に就任しています。ミュンヘンフィルとは短い期間であまり演奏の記録がありませんが、私がウィーンに留学している頃にちょうどそのCDが売り出されていて、それを聴くととても素晴らしいものでした。

しかし、晩年に少年へのセクハラで訴えられ、晩節を汚すことになったのは残念です。実は彼には様々な噂があります。それが真実かどうかは私たちにはわかりません。

ピアニストとしても名盤が

木管楽器奏者として大事な名曲がピアノ五重奏曲。モーツァルトとベートーベンがそれぞれ名盤を残しています。

アンサンブル ウィーン=ベルリンは現在でも活動していますが、既にメンバーが全員変わっています。初期メンバーの四人がレヴァインとともにこの曲を残しています。

レヴァインのように早熟の指揮者の多くはピアニストとしても評価されています。彼も若い頃から素晴らしい腕前だったようで、あの巨匠ルドルフ・ゼルキンのもとでも学んでいます。

彼の指揮でわかりやすい概念が拍です。それはピアノを演奏している時の動きでもわかります。それがどのような拍なのか、動きを見ているとよりわかりやすくなります。実は拍を感じているかどうかは楽器を演奏している時の動きでもよくわかります。

色々な評価はあれど、一つの時代を代表する卓越した指揮者だったことは確かでしょう。謹んでご冥福を祈ります。

追悼版としてCDも復刻されたりするでしょう。知ってる人も知らない人も彼の演奏をぜひ聴いてみてくださいね。

それではまた来週。蛯澤亮でした。

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