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美容室で思わず泣きそうになった話

対面での面接のため黒染めした自分の髪に飽きたので染めてもらおうと思い、いつもお世話になっている美容室に行った。(前述しておきますがサービスが悪かったとかひどい接客をされたとかではなく、むしろ逆です。)

美容師さんとカウンセリングを行う中で黒染めをした理由を聞かれ、就活のために髪を黒にしたということを伝えた。私は地元を離れ関西の大学に進学し、就職活動を行い地元の企業から内定をいただいたた。しかし将来のことについて考えたり、友達と話したりする中で私は地元へ帰ること、関西を離れること、関西にいる理由がなくなってしまうことに後悔しており、これを美容師さんに話した。

するとその美容師さんも同郷の方と分かった。私は美容師さんと喋ることがあまり得意ではないのだがこの日は同郷の方ということもあり、たくさんお話することができた。

美容師さんになぜ地元を離れて美容師をされているのかと尋ねてみた。高校卒業後関西の専門学校に進学し、その後関西ではなくロンドンで美容師をして、現在は関西のサロンで働いていると話してくださった。


「ロンドン」…?


私は生まれてから20年以上経つのだが日本国内から出たことがなく、加えて今はコロナ禍だから日本ではなく外国で働くということを1ミリも考えたことがなかった。

就活を行う中で人のキャリアの話を聞くことが増え、まさか美容室でもお聞きできる機会があるとは!と思った私はその美容師さんに根掘り葉掘り聞いてしまった。

その美容師さんは海外旅行が好きで、その中でもロンドンが一番好きな街だからロンドンで働いていたそう。そしてコロナが収まったらまたロンドンに移り美容師として働き、日本には戻らない予定だとおっしゃった。「ロンドンが好きだから」という理由で外国に一人で移り住み、働くという行動力に驚くと同時にその美容師さんがとてもかっこよく見えた。

海外で働いていらっしゃる方はたくさんいるとは思うのだが、こうして直接話す機会は今までなく、とても良い経験となった。

私は将来の夢がなく、就活や自己分析をしたら見えると思っていたのだが結局具体的にやりたいことは現在も見つかっておらず、将来が不安で、関西を離れるという現実に絶望していると美容師さんに相談した。すると「その気持ちを忘れずに、また絶対関西に戻ってくるんだ!と思って頑張ってみたらいいのではないですか。三年以内に転職する人が多いのだからその職場でずっと働かなくてもいいし、若いんだからこれから何度でもやり直せますよ。」と言ってくださった。

その言葉を聞いて私の目に涙が溜まった。

私は現在も就活を続けているのだが、残念ながらうまくいっているとは言えず内定先に就職する可能性が高まっている。もっと頑張れよ、とツッコむ声がありそうですがおっしゃる通りだ…しかし訳があって就活できるタイムリミットが迫っており内定先に行くことになりそうでその事実から目を逸らしたいのだ。

しかし美容師さんの話を聞き、とりあえず内定先で自分のスキルを上げ、上京のための資金をため絶対にまた戻ってこようと思うことができた。
美容師さんとの会話は絶望の淵にいた私を救ってくれた。

きっと三年後はコロナとの付き合い方も変わっているし、時代も変化している。地元で暮らして働いている間にやりたいことが分かってくると思いますよと私を励ましてくださった。

私はその美容師さんのようになりたいと思った。自分のやりたいことをやって、また目標に向かってとても楽しんでいる姿がとてもかっこいいと感じた。


どうか、コロナが早く収まり、美容師さんがロンドンに行ける世界になりますように。



私の背中を押してくださってありがとうございました。
関西にいる間にもう一度髪を切っていただきたいです。

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