解体ラブスト-ショート-15

「沙耶ちゃんってさ」

「…………」

「いきなり睨む」

「セクハラなら話しませんので……」

「…………、…………」

(本当に黙った)

その夜は、帰宅してからご飯もお風呂のあとも、静かなもので。本当にしーさんずっと黙ってくれた。

ただ、まじで怖いんですけど。

怖いのですけど????

「……やっぱ喋っていいですから……」

布団に当たり前に一緒に入ってくるのにドン引きしつつ、怖いからもう、根を上げておく。いや。面倒くさいし。うざいし。存在が余計に際だって更にセクハラ感が増す、それがよぅくわかってしまった。なんだこれ。

「沙耶ちゃん」

顔を明るくさせて、しーさんが笑う。笑顔がいつもどおりでモンスターかなにか、か、こいつは。

「沙耶ちゃんってさ、MかSかで言ったらMだよな? もちろんさ」

「…………」

「無言の肘打ちを腹にキメる」

「当たり前ですよ……寝ますよ……」

「はぁい♥♥♥」

なんだ、これ。コイツ。これ! 布団に転がると腰に腕がまわるからそれもブッ叩いて追い払う、どうせ朝には巻き戻されるけど。


END.

読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。