風向きが変わるみたいに平凡な終わり
そこで、お別れが予定されていた。二人はもはやスタバでの別れ話を終えて、帰路につき、地元と電車できたカレと、道の分岐点を目の前にしている。
男と女は、呆気ないとされる。
男女の友情はありえるか、それが、命題となるほど。
こちらの彼氏彼女では、それは、成立しなかった。
友達に戻ることができるほど二人とも器用ではないし薄情でもなかった。そして、相手のために命を投げ出したり、自分を殺したり、それこそマーメイドみたいな泡の激情を持つこともなかった。
友人から始まったけれど、もう友人にも戻れないのだった。
そう。
平凡な人間の、ふつうの、たいして面白くもない恋愛関係だった。
だから、別れることになった。
片方が自分の都合を選んだ。それだけの理由。
今も、別れ道、終生で最後の場面とわかっている道を前にして、二人は焦るでもなく撤回するでもなく。ただ、どちらかが、面倒そうにため息を吐いた。
「じゃ……」
「ん」
風向きが右にそれたら、簡単に呆気なく別れる、それだけよ恋人たちは世界にどれくらいいるのだろう。
別れ道だから。
背中を見送ることもできない、しない。
この恋は?
二人に尋ねると、女はこう言うだろう。男もそう言うことがある、しかし女はまずこうなる。生き物なのだから。
子どもが欲しい、平々凡々たる願いごとが、もしあるなら。
「時間の無駄でしたね……」
END.
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