トウモロコシはギロチンのように

海からウチに遊びにきてる人魚姫が、あたしがトウモロコシを食べているのを見て面白そうに、明るめに歯を覗かせて口端をあげた。

「つぶのひとつずつ、命なのね。面白いわ、面白いわ。それって人間みたい!」

……人魚姫は、人間ではないから。だからこその感想だろう。

あたしは、急に、エグみを感じたし、トウモロコシのつぶつぶが気味悪くなった。人魚姫は我知らず、関せずと、トウモロコシのつぶの整列を指差してえらそうに小鼻をふくらませる。

「つぶ、ひとつずつ、頭みたいね。トウモロコシはさしずめ断頭台に並んだ人間たちなのね!」

……発想がやばい、やばいぞ、人魚姫!

そして食べづらくなったあたしのトウモロコシとあたしが残された。人魚姫は気まぐれに、海にそろそろ帰ろうかしら、なんて言って、ウチのハト時計を眺めていた。


END.

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