FATF第4次対日相互審査報告書所感


 かねて話題になっていたFATF第4次対日相互審査報告書が2021年8月30日に公表された。この概要や、日本政府の対応方針は金融庁の以下のサイトにまとめられている。また、報告書の概要についても、以下のサイトのリンク先の金融庁のHPで掲載されている。
https://www.fsa.go.jp/inter/etc/20210830/20210830.html

 FATFのこの報告書には、まずは政府が対応すべきものだが、政府の対応にあたって、民間セクターに少なからぬ影響が生じることが予想される(以上のサイトでも既に政府の対処方針が示されている。)。政府がどのようなアクションを起こすかについては、まずはこの報告書の内容を把握することが必要と思われるので、以下かいつまんでFATFの報告書のうち特に民間セクターに影響を与えることが予想される点についてみていきたい。
 なお、FATF勧告の個別の勧告に対する遵守状況については、適当な日本語版まとめをつくってみたので、末尾に載せる。翻訳の間違えなど多々あろうかと思いますが、お許しください。

【民間セクターに大きな影響を与えそうな点】
● NPO
 勧告(Recommendation)の遵守状況の検討の中で、NPOについては、唯一不合格(non-compliant)との評価が示された事項である。
 報告書では、国としてのNPOによるテロ資金供与やマネロン関与への評価が不十分とされているが、NPOの活動状況のモニタリングの強化に加えて、NPOによる金融機関経由での外国送金も強化される可能性がある。

● 顧客DD
 顧客DDについては、評価はそこまで悪くない(Largely Compliant)ものの、民事信託や生命保険の受取人などの実質保有者の把握や、継続的な管理については課題があるとされており、この点は今後民間事業者に対応が求められることになるように思われる。
 なお、PEPs(特に国内所在の国際機関PEPs)については、FATFからの指摘はされているけれど、対応措置は未定のようである。今後どのような対応がなされるか(なされないか)注目したい。

● 実質保有者の把握
 今回の報告書で気になるのは、実質保有者の把握の不十分さが指摘されているところである。実質的な利益帰属主体が形だけのビークルを作ることは比較的容易に行われ得る反面、実質的保有者が誰あるかを探知することは非常に困難であり、画一的なルールを課すことには困難もあろう。法務局が導入予定の実質的支配者リスト制度ではまだまだ不十分と思われる。
 とはいえ、実質的保有者のチェックは避けて通ることができず、例えば契約上一定の事項を表明保証するなどの対応を求められることも出てくるのではなかろうか。
 また、不十分と指摘されている事項のうち、民事信託や外国信託、また生命保険の受取人については早期に一定の対応(受益者や生命保険受取人などの実質的保有者の明確化やそのバックグラウンドチェックの必要か)が求められるように思われる。

● DNFBP (Designated Non-Financial Business and Professions)(非金融機関指定業種及び職業専門家)
 金融機関での問題点に加えて、顧客DDが不十分であることや、あるいはグループ全体のポリシーの策定が不十分であるなどの指摘がなされている。この点は、各業界のリスクの高さや業種の特殊性、監督機関の権限の度合いなどに応じた対応がなされていくことになろう。

FATF報告書は、分量も大きいうえ日本の制度の詳細についてよく調べられている。FATF側の能力や尽力の大きさに加え、日本政府も非常に大きな労力をさいて対応や回答を行ったものと推察する。関係者みなさん本当にお疲れさまでした。

【おまけ】

FATF勧告 Technical Compliance 概要

Recommendation 1 リスク評価とリスクベースアップローチの採用
 日本の国家的リスク評価(NRA)(犯罪収益移転危険度評価書)は定期的に公表・改訂され、関連するステークホルダーが関与している。警察庁犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)や警察庁は種々のリスク評価を行っている。しかし、日本の国家的リスク評価の方法には、日本のML/TFリスクを包括的に概観することができない点で不十分である。国家的リスク評価の結果が、国レベルでのリスクベースアプローチの基礎として使われているかどうかや、関連する当局のリソース分配のために用いられているかは明らかではない。その他にも不十分な点はあるが、金融機関セクターという日本で最も重要な義務を負担するセクターに影響を与えないものであって、全体的な関連性は低い。
Largely Compliant

Recommendation 2 国家内の協力及び調整
 日本はAML/CFTポリシーなどについての国家としての責任者(signature national)を有しないが、首相が主宰し全閣僚が構成員となる関係閣僚会議やFATF省庁間会議を設けており、関係当局間の調整を行っている。これらの会議にはAML/CFTの国家としての政策に関する責任や、AML/CFTのためのアクションの調整のための一般的なポリシーは含まれていない。
Partially compliant

Recommendation 3 資金洗浄の犯罪
 日本は大半の基準に適合している。しかしながら、一定の環境犯罪に関してマネロン犯罪の範囲に含まれない点(*)や、刑事罰が十分で抑止力のあるものといえない点において技術的に不十分な点が残る。
Largely Compliant

* FATF Recommendationでは、指定された犯罪の範囲に環境犯罪が含まれている(2012年版119頁)が、犯収法及び組織犯罪処罰法では、環境犯罪(例えば廃棄物処理法違反)による収益が犯罪収益に含まれていない。

Recommendation 4 没収及び保全措置
 日本はRecommendation 4の大半の要求に合致している。しかしながら、一定の環境犯罪に関して生じた対価や、逃亡し、死亡し又は所在不明の者が行った犯罪により生じた対価の没収について、技術的に不十分な点が残る。
Largely Compliant

Recommendation 5 テロ資金供与
 日本は一定のテロ資金供与行為を犯罪化したものの、中程度の不十分さは残っている。特に、(1)テロ行為とのつながりのないテロ集団又は個別のテロリストのために資産を提供し又は収集する行為が犯罪となっていないこと、(2) 一定のテロ資金供与禁止に違反し有罪となった自然人への制裁が抑止力として不十分である。また、問題の度合いとしては相対的に軽度であるが、日本のテロ資金供与処罰法では、犯罪となる要件として「脅迫する目的」(第1条)という追加の要素が必要とされており、これは単なる行為の「試み」や「事実」で足りるとする国連テロ資金供与防止条約の内容を超えた要求となっている。
Partially Compliant

Recommendation 6 テロ行為及びテロ資金供与に関連する対象者への経済制裁
 日本は経済制裁の仕組みを備えているが、(国連の制裁者への指定の時点からの時期的)遅延がみられる。日本は近時行政上の改善により遅延の期間を2~5日と実質的に縮小させた。これらの遅延は国連の制裁対象者のリストに関するスクリーニングの義務を課した金融庁のガイドラインにより、一定程度カバーされてはいるものの、適用はFI(金融機関)やVCEP(暗号資産交換業者)に限られる。経済制裁については、他にも不明確な点があり、制裁対象者のために行動し、またはその指示のもとにする個人や組織の資金や資産に対しても経済制裁の適用があるかは明らかではない。
Partially Compliant

Recommendation 7 資金拡散に関する経済制裁
 (1)国連の制裁指定に先立って北朝鮮への独自制裁を行っていたこと、(2)北朝鮮への輸出入や送金が包括的に禁止されていること、(3)FI(金融機関)やVCEP(暗号資産交換取引業者)に適用される金融庁ガイドラインでスクリーニングの義務が課されていることなど、不十分さを緩和する措置はあるももの、資金拡散・テロ資金供与に関する経済制裁の実施に関しては不十分な点が残る。不十分な点としては、資産凍結の要求があった場合の実施の遅れ、居住者間での日本国内の取引(一方が制裁対象者となった場合)に資産凍結措置を適用できないこと、「資金又はその他の財産」のすべてを凍結する義務がFATFの定義と整合的かどうかにつき明確性を欠くこと、制裁対象者のために行動し、又は制裁対象者の指示のもとにする個人や組織の資金や資産に対しても経済制裁の適用があるかについて明確性を欠くことがあげられる
Partially Compliant

Recommendation 8 非営利組織(NPO)
 日本では透明性及び良好なガバナンスのためにNPOセクターを監督しているが、テロ資金供与のリスクに応じたものとなっていない。出発点の問題として、日本はどのNPOが、またどのような種類のNPOがテロ資金供与を行う危険性があるかを特定しておらず、NPOセクターが全体としてテロ資金供与を行うリスクがあるかの適切な評価すら行っていない。加えて、NPOへのガイダンスや関係機関の調整ではテロ資金供与に関する事項は最小限のものとなっている。一部のNPOの高リスク地域での活動の現状を見れば、以上の不十分さは大きいものといえる。
Non-Compliant

Recommendation 9 金融機関の法律上の守秘義務
 金融機関の守秘義務がFATF要請の妨げになる事情はない。当局による個人データの第三者提供も一定の場合には許容されるので、当局によるデータ提供の点も問題ない。
Compliant

Recommendation 10 顧客DD
 日本は多くの重要な基準に合致しているが、いくつかの不十分な点は残っている(信託に関する規定、顧客のために代理人が取引をする際の検証(verification)、生命保険の受取人の扱い、既存顧客の顧客DDの実施方法の問題を含む。これらの不十分さは、全体的に見ればわずかなものといえる。
Largely Compliant

(補足 顧客DDの指摘事項)
・ 顧客のためにする取引については、。電話での本人確認(代理人とか従業員とかの所属確認など)で十分といえるかの問題。
・ 民事信託について、委託者や受益者の確認も、受託者の許認可も、信託の受託者として取引していることの宣明義務もないことが不十分である点。
・ 生命保険の受取人の確認は必要とされているが、厳格な確認(enhanced CDD measures)を要するかの判断に受取人の素性を考慮要素としておらず、保険金支払時の受取人の実質的支配者の特定・変更についての厳格な確認が必要とされていない。

Recommendation 11 記録の保存
 日本は多くの重要な基準に合致しているものの、いくつかの不十分な点(少額取引の記録免除や、顧客DDの情報及び取引記録が迅速に監督当局に提出されるべき明示の規定がないこと)は残っている。もっとも、これらの不十分さはわずかなものといえる
Largely Compliant

Recommendation 12 PEPs(政治的重要人物)
 いくつかの重要な点において不十分な点(海外PEPsに適用される措置が存在しない点)があり、この不十分な点は金融庁の監督下にあるFI(金融機関)(これは日本において最も重要なFIである。)に影響を与えている。加えて、国内PEPs(国際機関で重要な役割を有する者やその家族や関係者)が顧客のうちで特別なカテゴリーに区分けされていない。生命保険受取人(やその実質的支配者)がPEPsに該当するかの判断をFIに明確に求める規定も見当たらない。これらの不十分さは中程度のものとなる。
Partially Compliant

(補足)
海外PEPsにつき特別の承認手続が要求されているところ、海外PEPs適用される措置が存在しないという点がそれ以外に何を意味しているのかは必ずしも明確ではない。

Recommendation 13 コルレス銀行機能(correspondence banking)
 FIs(金融機関)が国際コルレス銀行取引を始める際には一定の措置をとることが必要とされている。しかし、日本法上payable-through accounts(*)業務を規制する法規制がないことやrespondent金融機関(コルレス銀行への委託元金融機関)がML/TFの捜査・調査対象になっていないかの判断がFIs(金融機関)に求められていないことなどわずかに不十分な点が残っている。
Largely Compliant

* 第三者(しばしば外国金融機関)が開設する、その顧客に小切手の振出などのために使わせるための銀行口座

Recommendation 14 Money or value transfer services (MVTS)
 日本はMVTS(為替・資金移動等を行う業者)に関する必要事項の大半に適合している。しかし、MVTS代理業者の遵守状況の監視に関してわずかに不十分な点がある。
Largely Compliant.

Recommendation 15 新規技術(New Technologies)
 新規技術に関する金融機関によるML/TFの特定及び評価のための一般的な規定は設けられている。対象となる業務の範囲について一定の隔たりがあるものの、VCEP(暗号資産交換業者)はAML/CFTの観点からも登録が必要とされ、規制・監督対象となっている。金融機関に適用される制裁や、テロ資金供与や拡散金融への予防措置や制裁についての不十分さは、暗号資産交換業者にも同様に当てはまるものとなっている。もっとも、日本の暗号資産交換業者の重要性(がそこまで大きくないこと)を考えれば、これらの不十分な点は小さな程度にとどまるといえる。
Largely Compliant

Recommendation 16 振込送金
 日本はRecommendation 16の必要事項の大半に適合している。もっとも、一定の事項(基準16.3、16.8、16.12、16.13、16.15及び16.17)について小さな程度の不十分な点がある。
Largely Compliant.

Recommendation 17 第三者への依拠
該当なし(FIsは顧客DDを第三者のFIs又はDNFBPsが実施した顧客DDに依拠することは許容されていない。)。

Recommendation 18 内部統制及び海外支店・子会社
 日本は犯収法及び金融庁ガイドラインによりRecommendation のもとの基準の大半に適合しているものの、いくつかの小さな欠陥がある。(1) 金融機関グループはすべての支店及び過半数を保有する子会社との間で口座情報を共有することや、交換された情報の秘密性の確保や利用についてグループ全体での対応方法の策定を明確には求められていない。(2)監督機関に対して情報提供することを除きML/TFリスクを管理するためのさらなる措置を金融機関グループが実施することが明確には求められていない。
Largely Compliant

Recommendation 19 ハイリスク国
 ハイリスク国と関係を有する金融機関が、FATFが要求する場合(FATFがリスト化した国以外で、AML/CFTシステムに脆弱性がみられる場合に適用される規定に基づく)に実施する厳格な顧客確認措置(EDD)に関してはいくつかの小さな不十分な点がある。また、金融庁の監督下にない金融機関には関連する規定がないが、これは日本の金融セクターでは限定的な問題に過ぎない。
Largely Compliant

Recommendation 20 疑わしい取引の報告
 疑わしい取引の「未遂」が明示的には報告義務の対象になっていないとの不十分さはあるが、この点はおそらく実務上対応がなされている。環境関連犯罪に関する例外はあるものの、マネロン規制の対象は包括的である。
Largely Compliant

Recommendation 21 (疑わしい取引の報告の)漏示及び守秘義務
 金融機関の担当者が疑わしい取引の報告をしたことで民事・刑事の責任を負わないような仕組みは取られている。金融機関の担当者による疑わしい取引の報告を顧客に伝えることは禁止される法制度が設けられている。
Compliant

Recommendation 22 DNFBPsの顧客DD
 Recommendation 22については重要な点で不十分な点が存在する。犯収法に関してRecommendation 10、11、12及び15にて指摘した事項は同様にDNFBPsにも当てはまる。法律専門家(弁護士・司法書士・行政書士等)、公認会計士、税理士は顧客の特定/認証(identification/verification)を行うことしか求められておらず、その他の顧客DDは求められていない。弁護士については、厳格な顧客確認手続の他にはRecommendation 12で求められるPEPsについての遵守事項が求められていない。また、Recommendation 15で求められる新技術についての遵守事項も同様である。
Partially Compliant

Recommendation 23 DNFBPs その他の措置
 Recommendation 23については未だに重要な点で不十分な点が存在する。Recommendation 18、19及び20で指摘した事項は同様にDNFBPsにも当てはまる。加えて、DNFBPsについては、すべての支店や過半数保有の子法人を含むグループ全体でのプログラムの策定義務や、海外の支店や過半数保有の子法人が本国でのものと整合するAML/CFT措置の確保をする明確な要請もない。
Partially Compliant

Recommendation 24 法人の透明性及び実質保有者
 監督当局は法人の基本的な情報を、登記簿から速やかに、又は会社自身から取得できるようになっている。しかし、会社自身からの取得が迅速・容易に行えるかどうかは明らかではない。実質保有者情報については、公証人からは限られた情報しか取得できず、またFIs(金融機関)やDNBFPsから監督当局が取得しうる情報は完全とは限らない。そのため、監督当局は実質的保有者情報を適時に正確に取得できないこととなる。
 無記名式株式は禁止されているものの、無記名式新株予約権証券は発行可能であり、その不適切な利用を防ぐための手段は不明確である。その他、法人のML/TFリスクの評価についての乖離などわずかな欠陥がある。
Partially Compliant

Recommendation 25 法的アレンジメントの透明性及び実質保有者
 国内の信託の圧倒的多数は業としての受託者によって行われており、犯収法上FIs(金融機関)として扱われ、委託者や受益者の顧客DDや情報のアップデートの義務などを負っている。しかしながら、受託者がFIsやDNFBPsと取引関係を構築するときにその受託者としての地位を明示するための措置は取られていない。また、民事信託において委託者、受託者又は受益者の情報を保持するような要求や受託者への制裁が存在しない。このような(勧告との)乖離は日本において特に外国信託や民事信託について不適切な利用を可能にしかねない脆弱性をもたらしており、これらの不十分さは全体として中程度のものといえる。
Partially Compliant

Recommendation 26 金融機関の規制及び監督
 日本は規制及び監督の基準の大半に合致しているが、基準26.2~26.6についてわずかな欠陥がいまだに残っており、これらは金融庁の監督外の金融機関に影響する。ただし、これらの金融機関の日本の金融セクターでの重要性は大きくない。
Largely Compliant

Recommendation 27 監督権限
 AML/CFTにつき主要な金融監督機関である金融庁は必要なすべての権限を有しているが、制裁金の賦課権限が存在しない点が、わずかに不十分であるといえる。また、他の金融監督機関が制裁金賦課権限や処分権限を有しているかも明らかではない。これらはわずかに不十分であるという程度にとどまる。
Largely Compliant

Recommendation 28 DNFBPの規制及び監督
 日本のDNFBPsは監督機関による特定のAML/CFTの監視・監督システムに服していない。また、一部のDNFBPsについては、重要持分若しくは支配持分又は経営機能を第三者が保有するのを避ける仕組みが設けられていない。DNFBPsの監督機関はリスクベースアプローチに基づく監督を実施できていない。
Partially Compliant

Recommendation 29 金融情報機能
Compliant

Recommendation 30 法執行機関・捜査機関の責任
Compliant

Recommendation 31 法執行機関・捜査機関の権限
 日本はRecommendation 31については、大半の要請に適合している。しかし、権限ある当局が身分秘匿捜査(undercover operations)をを行うための十分な法的基礎となる規定を有しておらず、この点においてわずかに不十分であるといえる。
Largely Compliant

Recommendation 32 現金の輸送(Cash Courier)
 日本は、一般的・包括的な申告システムを整備したが、権限ある当局に対して虚偽の申告があり、又はML若しくはTFのおそれがある場合に、現金や所持人払式支払手段(Bearer Negotiable Instruments)の持込みを停止や制限する権限が明示的に与えられていない。
Largely Compliant

Recommendation 33 統計
 一部の機関についての疑わしい取引の報告や相互法的協力(MLA)についての統計は利用可能である。資産の凍結や没収についての包括的な統計は未整備である。
Largely Compliant

Recommendation 34 ガイダンス及びフィードバック
 日本は金融機関(FIs)とともに国家的なAML/CFT措置を導入し、疑わしい取引の探知及び報告を実行するようにしてきたが、DNFBPsについては同様の注目がなされていない。
Largely Compliant

Recommendation 35 制裁
 日本はRecommendation 35の下での基準の大半に適合しているが、いくつかの小さな不十分な点がある。AML/CFTの監督機関は個人やFIsに対して直接の金銭的制裁を課す権限を有していない。金融庁以外の金融監督機関が行政処分や金銭的制裁を課すことができるかどうかが明らかではない。FIsやDNFBPsが法人として制裁を受けるときに、その取締役や上位経営者に制裁を課すための規定が見当たらない。
Largely Compliant

Recommendation 36 国際的な合意
 日本は必要とされるすべての条約の当事者となっており、必要な措置を講じてきた。しかし、特にウイーン条約(麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約)及びTF条約(テロ資金供与防止条約)に関して、その適用方法についてのいくつかの不十分な点が残っている。
Largely Compliant

Recommendation 37 相互法的協力(MLA)
 一部の環境犯罪が対象とされておらず、またそのためこれらの犯罪に関するMLAの要求や対応の法的根拠が明確ではない点で、不十分さが残っている。身分秘匿捜査に関しては対象外である。
Largely Compliant

Recommendation 38 相互法的協力-資産凍結及び没収
 一部の環境犯罪が対象とされておらず、またそのためこれらの犯罪に関するMLAの要求や対応の法的根拠が明確ではない点で、不十分さが残っている。死亡、逃亡、不存在、又は不明であるなどの理由で実行者が不明である(unavailable)ときなど刑事訴追ができない場合には、没収やそのための保全処分などの相互法的協力への助力を行うことのできる法的根拠は存在しない。
Largely Compliant

Recommendation 39 相互法的協力-身柄引渡し
 一部の環境犯罪が対象とされておらず、またそのためこれらの犯罪に関するMLAの要求や対応の法的根拠が明確ではない点で、不十分さが残っている。簡易な身柄引き渡しを行うための法的な根拠は存在しない。
Largely Compliant

Recommendation 40 その他の国際協力
 一般に、AML/CFT当局は国際協力を行うための基礎的な適格性を有しており、日本はRecommendation 40の大半の基準に適合している。この職務を行うための権限に関してのわずかな不十分さは存在する。一部の基準に関しては明示かつ拘束力ある法律上又は規則上の規定はないが、これらの権限はMOUの解釈上又は実務上認められている。
Largely Compliant

以上




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