天気予報今昔メモその1:ロケット
長い付き合いの天気予報だが、今は「1時間後に雨が降ります」とスマホに通知がくる時代だ。気象庁のスパコンは、毎秒1京8千兆回の速度で雨雲の動きを計算しているらしい。
こう言っては何だが、その割には精度がそれほどに上がってはいないような気が、うっすらとする。(予報関係のかたがいらしたらご免なさい)
まあまあおおむね参考になるのは事実だが、そう考えると‶昔からそれなりに精度は高かった″と言えてくる。
これはひとえに、当時の気象予報関係専門家の方々のマンパワーの賜物で、少ないデータを元にのろのろのコンピューターで分析して、あとは経験と勘とインスピレーション(田所博士か!)だったのではないか。
頭が下がる。
現代の天気予報を支えている気象衛星。
いま現在運用されているのは、2022年に打ち上げられた「ひまわり9号」だ。
さかのぼると「初代ひまわり」は1977年の打ち上げで、この時は米国ケープカナベラル空軍基地のお世話になっていた。
それ以降は、日本の国産ロケットの力でNASDA(現JAXA)が頑張って種子島から打ち上げ、ことに「ひまわり5号」以降は純国産H2ロケットで華々しく軌道に乗せられていた。
折も折、2024年2月17日、H3ロケット2号機が種子島宇宙センターから打ち上げられて、見事に大成功。前年3月に初号機の打ち上げに失敗していたJAXA関係者は泣いて喜んだ。(それを見ていた自分も泣いた)
昨年の初号機には地球観測用の先進光学衛星「だいち3号」が搭載されていて、それを失ったJAXAは苦渋の経験を踏襲して、2号機には2機の小型衛星と大型のダミー衛星1機を積んだ。
このダミー衛星とは、ロケットの性能を確かめるためのもので、今回の2号機には、「だいち」と同じ2.6トンの質量のものを準備し、これを載せて打ち上げ、分離の動作を実施・成功したという。
およそ30年の長きにわたって日本の衛星打ち上げを担ったH2ロケットとその改良型H2Aロケットは、現在製造中の50号機でミッション終了する。
これを後継するのがH3ロケットだ。
性能の違いをざっくり書くと、運べる衛星の重さはH2Aの1.3倍で6.5トン(静止軌道)、打ち上げ費用は半額の50億円。安い給料で働いてくれる力持ちだ。
その総開発費は2197億円。今後は年6回の打ち上げを掲げていて、受注がどんどん入ればモトがとれるという話だ。
ただし現状は、その打ち上げ費用50億円をクリアしておらず、今後もコストダウンを重ねて15号機までには、あるいは前倒しで目標達成するとJAXAはコメントした。
また、更なる課題は打ち上げ場(発射台)だ。
現在のところは種子島の1か所のみ。これでは高性能のロケットをいくつ開発しても年6回しか打てない。用地買収から何からほぼ白紙の状態で、これでは‶泥棒捕まえてから縄をなう″ではないかと心細くなる。
参考までに、2023年全世界のロケット打ち上げ成功数は212回で過去最高。
そのトップは米スペースX社で、主流の「ファルコン9」はロケット1段目を回収して再使用する。(この1段目エンジンだけが、逆噴射して還ってくる姿はやはり未来的だ)
こちらの打ち上げ費用は90億円といわれており、今は円安なので割高感が否めない。
しかし軌道投入能力が8.3トン(低軌道なら22.8トン)という性能のよさ。これを2023年には96回も打ち上げていて、成功率は驚きの99%。あのスターリンク衛星も「ファルコン9」で打ち上げられている。
おそるべし、イーロンマスク。
中国の「長征ロケット」シリーズも堅調で年間60回以上打ち上げ、特に最新型の「長征5号」の性能がなかなかのようだ。コストや失敗の話はやや信用できないものの、自国のロケット打ち上げにより、近年は北斗ネットワーク構築、月探査、火星探査、宇宙ステーション建設など中国も賑やかだ。
(きっと天気予報も充実しているのだろう)
各国の衛星を打ち上げてきたロシアは、ウクライナ侵攻を機に受注を中止している。これは日本が同市場に参入する‶好機″に他ならないと言われる。
他にも様々な国が打ち上げるロケットが飛び交う世界情勢の中で、日本のH3ロケットがどんな旅をするのか、これからもじっくり見守っていきたい。
そして未来には、どんな天気予報ネットワークが、日本の空を見守るようになるのか、想像するのもおもしろい。
ところで、ひと昔前の天気予報って、どんなんだったのか‥‥?
天気予報今昔メモ、次回はそのあたりを書いてみたいと思う。
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