BOSS NS-2の修理
BOSSのNoise Suppressor NS-2の修理です。
1987年に発売されて以来の現行機種。かなりのロングセラーですね。
ノイズを除去するだけでなく、センドリターンが付いてたり、他のエフェクターに電源供給も出来たりします。
このNS-2も生産時期によって、色々とバージョンがあると思います。
最近のは表面実装になってるのではないでしょうか。
裏のラベルが剥がれてますが、おそらく結構前の台湾製です。
症状確認
スルー音は出ますが、エフェクトをONにすると音がかなり小さいです。
THRESHOLDは効いてるみたい。
REDUCTIONのLEDが点きっぱなしなのも気になる。
分解
分解して中身の様子を見てみます。
底面の4本のネジを外して裏蓋を外します。
基板が見えたので目視でチェックしましたが、壊れてそうな部分は見当たらず。
故障箇所を調べる
回路図があったので、信号がどこまで来てるのか地道に調べていきます。
ファンクションジェネレーターで1Khzの正弦波をNS-2に入れて、オシロスコープで波形を見てみます。
この時にエフェクトをONにするのは勿論なんですが、THRESHOLDも0にしておきましょう。
現状、音が小さい状態なので、音が出る状態にしておきます。
THRESHOLDを0にしておけばノイズサプレッサーは効かないので。
まずエンベロープ回路の方を見てみます。
まずIC2の3番から入って、1番に出力しています。
ここは問題なく信号が来てます。
次に繋がってるIC3を見てみます。
2番、1番を見てみると信号が低い。
6番、7番を見てみると、更に信号が低い。
という事なので、IC2とIC3の間に付いてるパーツを調べます。
C15の電解コンデンサを調べます。
プラス側は信号来てますが、マイナス側は信号が来てません。
この電解コンデンサがかなり怪しいので交換してみます。
コンデンサ交換
フラックスを塗って、gootのTP-100でハンダを吸い取り電解コンデンサを外します。
新しい電解コンデンサはニチコンのMUSE ESを使おうと思ったんですが、高さがあり過ぎて、筐体に当たってる。
取り付けてしまったので、テストだけはします。
同じ様にオシロスコープでC15の両端の信号を確認して、無事に直ってました。
動作チェックその1
DS-1を繋げて動作するかチェックしてみます。
まず、エフェクトONの状態で音は出る様になりました。
各ツマミも動作している様ですが、何か変。
そもそもDS-1のノイズが除去出来て無い様な…。
THRESHOLDがほぼ最大じゃないと動作しない。
NS-2はこんな物なのかと、ちょっとガッカリとこの時は思ってました。
同じ種類のコンデンサ
とりあえず直ったので終わりにしてもいいのですが、同じパーツが原因でまた壊れる可能性が非常に高いので、1uFの電解コンデンサを全部交換します。
ここの修理動画を沢山見てる人なら判りますよね?
電解コンデンサは経年劣化で1個壊れてたら、全部壊れてると見て間違い無いです。
ただここで私は大きなミスをします。
同じ種類の1uFだけが全滅してると思ってました。
後にハマります。
クリアランス
1uFの電解コンデンサを全部交換する訳ですが、家に大量に余ってたMUSE ESを使ってしまおうと思ったのが裏目に。
背が高くて収まりません。
仕方ないのでBOSSのDD-3でも使ったニチコンのUMWというオーディオグレードの電解コンデンサを使います。
このコンデンサ、なんと生産終了しているようです。
小型の電解コンデンサはなかなか良いのが無くて、修理で使うならこれ一択みたいな感じだったのに、これからどうしたらいいのだろうか?
この貴重な電解コンデンサを惜しげもなく使います。
全部交換したので、動作チェックします。
ギターアンプに繋いでチェック
せっかくなので、動作チェックにはLANEYのGH-100Lを使います。
センドリターンの付いた真空管アンプです。
定番の繋ぎ方をします。
INPUT → ギター
RETURN → LANEY GH-100L SEND
OUTPUT → LANEY GH-100L RETURN
SEND → LANEY GH-100L INPUT
弾いてチェックをしてて、変なノイズが混じる事に気がつきました。
ノイズサプレッサーが動作した時にノイズが発生してる。
ミュートした時もノイズが発生する。
詳しくは動画を見てください。
OFF状態でも電源のノイズが大きい様な気がします。
動画内ではTC ELECTRONICのSENTRYと比較したんですが、あんまり意味無かったな。
結局全部交換
OFFの時の電源ノイズが気になったので、電源部分の電解コンデンサを交換します。
それとついでというか何というか、10uFの電解コンデンサも全部交換しちゃいます。
ノイズサプレッサー動作時のノイズも気になるので、これで直れば御の字。
そう、1uFの電解コンデンサを交換する時に、全部の電解コンデンサを交換すべきでした。
交換用の電源部分の電解コンデンサですが、100uFの背の低いコンデンサが手持ちで無かったので、120uFの個体コンデンサ使います。
同じく47uFも個体コンデンサにしました。
10uFはニチコンのUMWです。
ひたすら交換作業します。
動作チェックその2
交換が終わって動作テストします。
先程と同じく、DS-1繋げてます。
ノイズの量も、動作も先程とは全然違う。
DS-1のノイズもちゃんと除去出来てる。
これがNS-2の真の姿だったんですね。
ギターアンプでチェックその2
LANEYに繋げてチェックもします。
ノイズの量も違うし、ノイズサプレッサーの動作もしっかりしてるし、ミュートした時もノイズも出ない。
普通にちゃんと動作してるだけなのに、感動した。
それくらい、前の状態は酷かった。
でもこれ、気が付かないでそのまま使ってる人とか結構居そう。
まとめ
最後にスイッチの反応が良く無かったので、接点洗浄剤を吹いて修理完了です。
電解コンデンサが原因で色々な症状の不具合が出ますね。
長年使ってて調子悪いと思ったら、電解コンデンサの全交換した方が良さそう。
YOU TUBEでは他にも色々エフェクターを修理しています。
ぜひ、チャンネル登録宜しくお願いします。
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