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魂を売る
これはギメルガーデンさんのオーディンの眼である。
オーディンは知識を得る為に、首を吊ったのだ。
目玉も捧げている。
後輩に、「志村先輩って絵と知的好奇心に魂売ってますよね」と言われた。
よくよく考えると、その通りである。
高校では実存主義に没頭、
大学と院では生物物理学と乾燥帯の植物の形態進化について没頭し、その後は絵の上達に血肉を割いてきた。
友達が少なかったのは友達を作る努力を一切しなかったから。
友達を作るためのなにかをやるより、自分の興味のある事に没頭していたのだ。
恋人も必要なかった。つくりはしたが、どれも長続きしない。だって、邪魔なのだ。研究や、絵を描くのに。
幸いにも家族仲が悪かったので、大学生の時は家から離れられて良かった。研究室自体はゴミクソの掃き溜めのような居心地であったが。
論文を書いていて、教授に訂正箇所がないかチェックしてもらう。終電は23時だ。そしてそれを頼んだのが15時だとすると、教授が私の論文を読み始めるのが20時。呼び出されてがらんどうの講義室でネチネチと訂正と嫌味を言われる時間が22時から。そして24時にその嫌な時間が終わる。
計算されて、終電を逃していた。そして夏場はクーラーが効かない研究室で、冬場は京都の冷たい隙間風が入りまくる講義室で寝た。最悪だった。
心身共に壊した。あの教授は許せない。
まあ、絵はぼちぼち上手くなった。しかし塗りが下手で、どうしようもない。なので我流で誤魔化す術を編み出した。
あとは足りないデッサン力と空間認識能力、それをアウトプットできる画力である。
もう一度漫画で食いたい。ので、療養しながら頑張ろうと思う。
絵は難しい。つくづく思う。やりがいがあるって事なんだけど!