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ウォーターPPPについて
各自治体、上下水道事業体で悩むウォーターPPPについて、さくっと勧める思考軸を書いてみました。
◆2023年6月閣議決定の政府「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる骨太の方針2023にて「上下水道の所管の一元化を見据えたウォーターPPP」と出現
◆2024年8月閣議決定の水循環基本計画(概ね5年に1度の計画見直しだが、今回は本来の予定より1年前倒し)にて、「ウォーターPPPをはじめとした官民連携やDX導入」や「上下水道一体でのウォーターPPP官民連携の取組推進」など記載
◆ウォーターPPPとは何なのか
・コンセッションに段階的に移行するための官民連携方式
・長期契約で管理と更新を一体的にマネジメントする包括委託スキーム
※この間のコンセッション推進が進まない現状に対して、コンセッションへと進みやすくするスキームといえる
◆ウォーターPPPの推進とは(4要件)
①長期契約(原則10年) ②性能発注 ③維持管理と更新の一体マネジメント ④プロフィットシェア(民間10:公共0でもシェアという)
◆コンセッションとの違い
公共施設等運営権設定と利用料金の直接収受の有無が異なるぐらい
※ウォーターPPPで長期契約(10年間)の包括委託で、民間の事業運営能力を強化し、公共サイドや市民に「民間運営に慣れさせる」のが狙いか
◆何がなんでもコンセッション?
・PPP/PFI推進アクションプランでは、2022年度~2031年度の10年間で水道100件・下水道100件・工業用水25件の数値目標
・ウォーターPPP拡大施策(2024年2025年度予算)
補助金、交付金により導入を促進(コンセッション検討で5,000万円、上下水道一体や広域化検討で4,000万円、水道・下水道単独での検討で2,000万円)
・当面の施策として、下水汚水管の改築についてウォーターPPP導入決定済みが条件化される。R9年以降は汚水管改築についてウォーターPPPしか選択肢が無い状況に
◆国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策(2024年11月閣議決定)にて、ウォーターPPPについて「民間事業者の利益創出機会を拡大」と明記。もはや効率化や持続可能性ではなく民間企業を儲けさせるために公共を差し出せと言っているようなものへ
◆ウォーターPPP(導入)ガイドライン(R5.6~R6.6五月雨にアップデート)では、導入検討の進め方として、「客観的な情報に基づく説明を求める」としつつも、「客観的な情報に該当しない例」として、①すでに公表している計画 ②首長・議会・議員等の意向 ③職員の雇用を守る、職員の削減を回避する事情 などは「客観的な情報ではない」と断じ、いわば「市民の声を聞くな」「地域の事情など知らん」と言っているような内容も含まれている
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以上、このような事を踏まえた(共有した)うえで、地域の水道・下水道に対してウォーターPPPの導入の検討をされることをお勧めします。
「地域のことは地域で」と、地域の独自性や特殊性などを鑑みつつ、地域の水のことは地域のみんなで決めて未来に向かって進めて欲しいというのが本音ですが…
ウォーターPPPに賛成・反対というより、とくに下水道事業については、もはや国の支援抜きには現状維持さえも展望出来ない状況が地域によっては散見されますし、悪手であっても導入やむなしという事情が垣間見えます。
本制度については、政治課題として政権交代しなければ転換しないであろう課題とも言えるとねはないかと思います。向こう10年の間に政権交代〜政策転換を求めるのが、いろんな意味で私たち責任世代の任務のような気がします。