「みんなができていることを私はできません」という自分を大切にする

私達は、「何が正しくて何が間違っているか」という基準をもたないで生まれてきます。生まれたばかりの赤ちゃんは、感情と行動が直結しています。楽しければ笑うし、イヤだったらギャーギャー泣き叫びます。

私達は成長するにつれてだんだんと、「これをやってはダメ」「これをしなければダメ」と、自分の感情と違うことをするように求められるようになります。何かしたいと思ったとき、「それをするのは間違っているから、してはいけません」と言われるようになります。「これが正しいことだから、これをしなさい」と言われるようになります。自分の好き嫌いという感覚ではなく、「正しさという基準に従って決めなさい」と言われるようになります。正しさとは、多くの人が正しいと思っていることや、社会的に正しいとされていることです。

どんどん自分が失われていく

社会とは人の集まりです。私達は人間である以上、社会で生きていくしかありません。社会で生きていくためには、社会の正しさに従う必要があります。人々が社会のルールを守ることで、私達が生きていくための「社会」という環境が維持されます。社会に出ると、「自分の好き嫌いの感覚ではなく、社会の正しさに合わせて生きなさい」「なぜなら、それが人間として正しいことだから」と言われるようになります。自分の正しさとは違う正しさを押し付けられることが多くなります。

社会に出ると、「それは絶対におかしいでしょ」「そんなのあり得ないでしょ」ということを「受け入れろ」と要求されることがあります。やさしくない人間、愛のない人間、ただ威張っているだけの人間、いじめてばかりいる人間、差別する人間に、「俺の正しさを受け入れろ」と言われることがあります。「それはあなた、明らかにおかしいですよ」と心が反応しているのに、「大人になるとはこういうことだ」「生きていくためにはそうするしかないんだ」と思考停止のまま受け入れる体験を繰り返すことで、どんどん自分というものが失われていきます。

自分を幸せにすることがない間違った方向へと進んでしまう

「生きていくためとはいえ、それはどう考えてもおかしいでしょ」と強い拒否反応が出るのが、あなたの個性です。「これだけはどうしても譲ることはできません」というものが、あなたのコアとなっている価値観です。その考え方を大切に守っていくことが、あなたが生きていくための心の支えになります。強く抵抗する自分を抑え込んで、相手の価値観を受け入れるたびに、自分が最も大切にしているものが壊れていきます。「イヤなことをイヤだと言わないで受け入れる」という体験を繰り返すことで、どんどん自分を幸せにすることがない間違った方向へと進んで行くことになります。

抵抗する自分を大切にする

「大人だったらこうするべきだ」「社会人だったらこうするべきだ」と求められていることができないと、そんな自分をダメだと責めてしまうことがあります。「みんなはできているのに、自分だけできない」「自分はダメな人間に違いない」と思ってしまうことがあります。しかし、できないものはできないのだから、「それが自分だから仕方がない」と受け入れるしかありません。どれだけ努力をしてもできるようにならないのに、「それができない自分はダメだ」と思っていたら、死ぬまで自分を責め続けることができます。

「騙されるやつが悪いだから、どんどん人を騙して得をしろ」「弱いやつが悪いんだから、どんどん弱いやつをいじめてストレス発散しろ」と言われ続けたけど、「やっぱり、それはできませんでした」となったとき、そんな自分をダメだと責める必要はありません。どれだけ頑張ってもできないことがある、というのが、あなたの個性です。みんなと同じことができないのは、それをしないことがあなたが生きていくために大切なことだからです。

ということで、どれだけ努力してもできないことがある自分がどうやって生きていくか、ということを考えていきましょう。「俺の言うことをすべて受け入れろ」「私の言うことだけを聞いていなさい」と、あなたが大事にしている価値観を壊そうとしてくる人の言葉を受け入れる必要はありません。「みんなもそうしているから」という考え方ではなく、「みんながそうしていても、私はイヤですから」という、自分の強い拒否反応を大切にしていってほしいと思います。

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