今更『セツナ』の話をする。
『セツナ』という小説を2023年4月のオンリーイベント、僕らのラブライブ37で頒布しました。
記事で綴るべきか、Twitterのスペース機能で話すべきか迷いに迷っていたら同年9月。ついぞ昨日「翌年1月の僕ラブで新刊バトルしようぜ!」と非常にありがたい申し出を受けたのを期に、いい加減記事に纏めてひと区切りをつけようと思った次第でございます。
◆セツナ
この本、すごい雑に言うと『刹那』と『だって、私たちは』がメインのお話でそのおまけに12話入ってるような感じの本です。作者としては。
かなかり本!って多くの人に言われたのに「かなかりそんなに多かったんだねぇ」みたいなボケた反応をしていたのはこのせいだったりします。
楠木ともりさんの勇退、それに伴って今この時に抱いていた想い、つまりは『刹那』を切り取っておきたかった。
この話をあとがきでべらべら喋らなかったのはとても偉いぞと当時の自分を褒めてあげることにします。
◆刹那
人はいつ死ぬか分からない。
だから1日1日を大切に生きるべきってのはよく言う話ですが、『死』って別に鬼籍に入ることだけを指す話じゃなくて作中で言うように『忘却』だったり単に『興味を失う』ことも広義で『死』にカテゴライズされると思っています。
だからまだ興味を持っている、対象が『生きている』うちに気持ちを伝えたり、形にしておくことって後で気持ちを整理する上ですごく大切だと思うんですよね。
そういった普遍的なテーマと一緒に、心を整理する時間をくれた優木せつ菜役、楠木ともりさんへのありがとうの気持ちを綴ったお話です。
形にして良かったと心から思います。
◆パワーオブワーズ
かなかり漫才シリーズ①
この二人に適当な掛け合いをさせるのが好きでしょうがない。こういうなにかありそうでまったく何もないかなかりが好きで好きでしょうがない。
かなかり、頼むからイチャつくな。
これは次回作を書く上でも重要なワードになってくると思う。
絶対誰も気付いてないと思うけど、明確に彼方ちゃんが果林さんを意識しているこのくだりがお気に入りです。
◆求道者とポチョムキン
昨今のSNSの風潮に一石を投じたつもりです。
険しい出来。
◆フリースタイルスプリント
地鶏さんの小説セミナーを受けて即興で書いて文字書いてる人達だけに妙に評価を得た例のやつ。
真面目に文字作品やってる人の目に珍しく映ったとかそういう感じのやつだと思う。
◆ワガママ
本作で唯一『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の文脈にきちんと乗っている話なのではないだろうか。だからかは分からないけど、かなりお気に入りの話です。こういう話をコンスタントに書いていきたい。
凄まじく後悔してるのがネタで入れたつもりの『東*キッズ』がマジで昨今、やばいワードになっていること。
◆ドロップカーブ
かなかり漫才シリーズ②
かなりメタい。
いや、かなかり漫才シリーズが基本メタいのか。
◆誘い水
やまもとややんさんの退廃的しずかすが好きで、なんかそういうのを目指そうとした感じの話。
日常を小説にできるといいのかもしれないと抗原検査をしながら考えた話です。
オチはお気に入り。
◆まるまるがき
かなかり漫才シリーズ③
あとがきの代わりになるはずだった話。
次回以降、なかがきを擦っていこうと思う。
◆心踊る世界で君を殺そう
数年前に文字創作やろうとして一瞬書いてた頃の文字作品のリメイクです。
スクスタの初期三船栞子さんが私はとても好きで、その大好きな三船さんがほんわか愛玩動物栞子ちゃんに変わっていく過程をむちゃくちゃ複雑な心境で見守っていたんですが、その気持ち悪い感情に一区切り付けようと書いたのが元になった作品です。
いや普通に栞子ちゃん好きですけど!
まじで三船さん大好きだったんですよ!一区切りと言いつつ未だに未練タラタラです!気持ち悪いなこいつ!!!!!
栞子ちゃんの『セツナ』として再録にはピッタリだったと思ったし、満足しています。
(せっかくなのでリメイク前のリンクも貼っておく)
◆境界線
一番評判が良かったのがこのお話。
いちおうキラーコンテンツのつもりではあったのでほっと胸を撫で下ろすばかりです。
Twitterのプロット版だと「私はさ、自分の愛の為に生きたいんだよ」って彼方ちゃんの独白で悲恋っぽく終わるんですけど製本にあたりハッピーエンドになりました。
プロット版も好きなんだけどなんかせつ菜ちゃんが邪魔者みたいですごく嫌だったので。虹ちゃんみんな好きなんだ……。
恥ずかしくて敬語になっちゃう彼方ちゃんがひっそりこだわりポイント。良くないですか? ペットボトルもそうだけど、イチャイチャベタベタじゃなくて私はこういうのが書きたい!
心はときめき淑やか純情乙女なので!
短編集の中で唯一参考にした曲が存在していて、クリープハイプの『左耳』という曲です。クリープハイプすき。
◆ちゃんちゃらおかしい
かなかり漫才シリーズ④
この話はベタベタしすぎててなんか違うんだよなぁーー(自己矛盾)
結婚って単語が余計だったか……。
掛け合いのテンポは好き。
◆こんな日には少し贅沢をしよう
こんなに仕事頑張ってるんだから誰かに褒めてほしいよなーって思いながらCoCo壱でカレー食べてたら思い付いて、プロット練りながら「薫子さん……」って泣いてました。
理想の指導者、報われる努力。
傍目にはカレー食べながら泣いてるやべーやつ。
わりかし初期に書いたのもあって、読みづらかったりするんですけどSNSでの評判は上々でした。ありがてぇ……!!
考えた自分が泣けるくらいのやつじゃないと人の心は動かないのかもしれません。
◆ヘタレのための交響曲第四番
これはかなかり漫才シリーズなのだろうか。
最後のほうに書いていた話なのもあってネタ切れ感というか既に見たような話の気もするけど、漫才シリーズと言われればじゃあしょうがないと許されそうな気もする。
この短編集でスレまくっている近江彼方さんをなるべく原作準拠で書こうとした話。別段変わり映えはしなかった。
『っ』がこだわりポイントです。
一生二人で二の足踏んでそうなかなかりちゃん。思いを募らせた彼方ちゃんが泣きながら思いを伝えるか果林さんが腹をくくるか、どちらがありそうかといったら前者な気がします。それくらい私の中の朝香果林はドヘタレ。
◆だって、私たちは
ゆうせつのミスリード、かっこわらい。
ある意味禁じ手みたいな話ですが、書きたいものを書くのが創作だと思うので書きたいものを書きました。ものすごく自己中心的な話なんですけど言わずにはいられなかった。
ヒーローがそんなこと言うなよ。
本当にありがとうございました。
またどこかで会いましょう。
◆あとがき
『まるまるがき』をあとがきにする気満々だったのですが、どうしても「感想ください」の一文を入れたかったので欲望に屈しました。
とはいえ、このあとがきを読み返すまで短編集を書き始めたきっかけを完全に失念していたので書いて正解だったと思っています。
話は変わりますが本作に寄せられた感想、とても楽しく拝読させて頂きました。本を読んでその人が何を思ったのかを知れるのはやはり楽しいですね。ありがとうございます!
感想を送ってくれる人によって綺麗に好きな話がバラけていたり、そういうのも面白かった!
同人小説に興味を持つきっかけになった方からの感想も頂けて、正直な所ここがゴールでもいいのかなと思っていたのですが、冒頭で少し話したように新刊バトルが始まるのでもう少しだけ続きます。
また感想が貰えるような本が出せたらな、といったところで今回は筆を置こうと思います。
ここまで読んで下さった方がもし居ましたら、お付き合い頂きありがとうございました。