カフェ再開について思うこと
緊急事態宣言が解除されました。
ぼくたちが営むカフェ「eatos - Baked Sweets(イートス ベイクド スイーツ)」がある千葉県いすみ市山田では、緊急事態宣言前も後も、そして解除された今も、日常の風景にあまり変わりはなく、変化といえば「カラオケはいつになったらいけんのかねー!」と地元のおばあちゃんが嘆いているくらいなのですが、街は少しずつ活気を取り戻しているのでしょうか。
eatosでも4月に入ってからは焼菓子のテイクアウト営業のみに切り替え、早くカフェとして皆様をお迎えしたいと思いながら、自分たちと向き合い、考え続ける日々を送っています。
緊急事態宣言が解除された時、実は何となく「じゃあそろそろカフェ再開かな」と考え始めていました。ただどうしても拭えないモヤモヤとした違和感。宣言が解除されたから、周りのお店も営業を再開するから、うちもそれに続くのか。
テイクアウトに切り替えた時や、ゴールデンウィーク中の週末を休業することに決めた時、誰かに言われたからでも、他の飲食店にならったわけでもなく、自分たちがお店として大切にしていることは何かということに立ち返り、納得した上で判断したはず。
だからカフェ営業再開の時期も、どういう形で再開していくのかも、自分たちの心の声に耳を澄まし、納得のいく決断をしたいと思います。
eatosの前身である「ホタルカフェ」の時から、お店として自分たちはどうありたいのか、社会やお客様とどう関わっていきたいのかは、基本的に変わっていません。
ぼくたちが大切にしていること。それはお客様にとって少しでも気持ちが持ち上がったり、笑顔になれたり、前向きになれるような場所でありたいということ。お客様とぼくたちの間で良い空気が循環して、お店そのものが幸せなエネルギーで満たされていくこと。そしてそのためにはまずぼくたち自身が心を良い状態に保てていることが必要だと思っています。
大切にしていることとか言って、なんだか抽象的でありきたりでキレイ事だと思われるかもしれませんが、誰がなんと言おうとこれがお店をやる上で確実に一番大切なことなのです。
今すぐカフェ営業を再開したとしたら、自分たちは100%心穏やかにいられるだろうか。お店をやっているのだから、もちろん表面上は何事もないように明るく穏やかに振る舞うこともできると思います。
これまでだってお店の外できつい思いをしていたり、嫌なことがあったり、それでも週末が来ればお店を開けてお客様をお迎えするということは何度もありました。
でも今回の場合は根本的に状況が違うと思うのです。
お客様は心がざわざわしていないだろうか、気持ち良く過ごせているだろうか、とお店を開けていることそのものに不安を感じながら、心を穏やかに保てるかというと、今は少し難しいというのが正直な気持ちです。
考え続けていくうちに、心がスッと落ち着くような決断をできるタイミングが必ずあるはずです。
自分たちのことは自分たちで決めていく。だから今は、テイクアウト営業でできる限りのことをしながら納得いくまで考える、という決断をしました。
こうして真面目に書いてはみたものの、深刻に思い悩み、髪の毛が真っ白になっちゃうくらい考え悶えて、などということは一切なく、むしろ楽しい想像をしながらカフェ再開後のことを思い描いています。
今のうちに店内外をもっと素敵にできるんじゃないかとか、いよいよキッシュ再開も考えようとか。現状に満足することなく、もっとお客様に気持ち良く過ごしていただけるように、向上できる余地はたくさんあるはずだから。
今はただ、テイクアウト営業のために心を込めてお菓子を焼いて、コーヒーメニューの作り方も忘れないように定期的にエスプレッソマシンを起ち上げて。
再びお客様をカフェにお迎えできるワクワクを、笑顔と活気に満ち溢れた素敵な時間を、想像しながら過ごしたいと思います。
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文章を書くのはホタルカフェを2017年末で閉店した時以来だから、もうかれこれ2年半ぶり。自分の考えや思いを、上滑りしないようにわかりやすく伝えるのってこんなにも難しいんだと、あらためて思い知らされました。
なんかこう、簡潔かつスタイリッシュに書けないものだろうかとも思うけどそれはますます難しい。とりあえず続けてみます。