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「栗の産地なのに、モンブランもないの?」栗の産地だからこそ知っている、本当のおいしさを届ける
2023年2月の「地元を愛す。」プレゼントの賞品にセレクトしたのは、西予市城川町で特産の栗を使ったスイーツを製造・販売するメニークエストの「城川オリジナルモンブラン」。
後継者不足に直面する栗農家を救うため、スイーツに形を変えて城川栗 の魅力を全国に発信している株式会社メニークエストの代表取締役・菊地沙也加さんにお話を伺いました。
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愛媛県は茨城県、熊本県に次ぐ、国内屈指の栗の産地。しかし、その事実は、柑橘の陰に隠れて県内でも意外と知られていない。特に西予市城川町は、昼夜の寒暖差が大きく、水はけのよい土壌などが栗の栽培に適していて、上質な栗が育つと言われている。そんな栗の名産地で一つ一つ丁寧に手作りで作られているのが、メニークエストのモンブランだ。
(菊地沙也加さん)
私がメニークエストの社長に就任したのは2022年2月で、それまで城川町内の道の駅「きなはい屋しろかわ」で販売員として13年間働いていたのですが、前任の社長が城川を離れることになり、事業を引き継ぎたいと手を挙げました。城川町は栗の栽培が盛んで、私も子どもの頃から当たり前のように身近に栗がありました。しかし、現在、町内の人口は3000人を切ってしまい、栗農家の大半も高齢者。栗が成っているのに拾う人がいない、という問題に直面しています。ここの栗はすごく価値のあるものなんですが、地元でずっと過ごしているとその価値や魅力に気づかなかったり、発信の仕方がわからなかったり するんです。 私もそうでしたけど 、町外の人と関わって初めてその価値に気づきました。それをどうやって守っていくかということ を、私たち 若い世代がもっと考えていかないといけないですよね。
モンブランはもともと道の駅の片隅で栗農家のお母さんたちと一緒に作っていました。「栗の産地なのに、モンブランもないの?」という会話がきっかけだったんです。ふるさとの生業である栗を守るために、メニークエストで はモンブランなどのスイーツに形を変えて、城川の栗の魅力を全国の人に発信したいと考えています。
-メニークエストのモンブランのこだわりを教えてください。
まずは栗本来の風味を生かしたモンブランクリームです。私もよその栗を食べるまで気づかなかったのですが、城川の栗はとても風味が強いんです。その豊かな風味を際立たせるように、生クリームの甘さも控えめにしています。さらに中には大粒の城川栗の渋皮煮を入れています。タルトのカップにはチーズアパレイユを入れているので、それも味のアクセントになっています。私たちのような小さな店は、大手の洋菓子メーカーと同じ土俵には立てません。そのかわり、素材の良さを知り尽くしているという強みがあります。地元城川で育って、栗のことをよく知っている私たちが作るモンブラン が美味しくないわけがない!と思って作っています。栗農家さんの思いを背負って、ひとつひとつ手作りで作っています。スイーツを作っているスタッフとは、必ず週に1 回ミーティングをしていて、自分たちの目指すところを明確にしながら商品開発を進めています。
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通販サイトなどでの売り上げも好調で、製造ラインの拡充が今後の課題。
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通販サイトでは期間限定で生栗の販売も行っている。
-菊地さんはずっと城川町内で過ごしてこられたそうですが、外に出たいと思ったことはないのですか?
私は34歳になりますが、父親の故郷である城川町でずっと過ごしてきました。高校を卒業してすぐに結婚したので、ここを離れる機会もなければ、考える機会もなかったですね。もしかしたら、今の事業を引き継ぐ前に出ようと思えば出られたかもしれませんが、やっぱりここが好きだからずっといるんだと思います。確かに不便なことはたくさんありますよ。病院は遠いですし、コンビニも夜の8時に閉まりますし。でも、「春はこの匂いがする」とか、「この音が聞こえたら夏だな」とか、そんな風に季節の変化を感じられる。田舎の人はわかると思うんですけど、五感で四季を感じられるのは、きっと当たり前のことではないんだろうなと最近感じますね。
そして、ここは子育てにもとても いい環境だと思いますね。私も 3人の子どもがいるんですが、近所の人みんなが子どもたちを気にかけてくれています 。私もそうやってこの町に育ててきてもらったんだという思いがあります。今の仕事も、近所の人たちの励ましや子どもたちの応援があって頑張ることができています。
-今後、今の事業をどのように展開したいと考えていますか?
私が事業を引き継いでから、ECサイトへの出店も増やしていますので、売り上げは順調に伸びています。 ふるさと納税の返礼品としても好評をいただいていて、モンブランの累計売上は3万個を突破しました。今後は製造ラインを拡充して、雇用も増やしていきたいです。地域から人がいなくなるのは、まず働く場所がないからですよね。特に田舎では女性がバリバリ仕事をすることに対して偏見がないわけではありません。今、うちでは地元出身の 20代の姉妹が働いていますが、これからもっと地元の若い人が働ける場所にしていきたいと思っています。そして、今はお菓子の製造販売だけですが、将来的には栗の生産にも会社として取り組み、栗の産地として継続 していける循環を作っていきたいと思います。
こちらの記事は2023年2月に愛媛朝日テレビホームページに掲載したものです。
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