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昭和30年の乾物料理 ロマンチックなぜんまいの黒光煮
◆主婦と生活12月号付録 冬の家庭料理500種 昭和30年(1955年)
本の表紙の写真はおそらく女優の若尾文子さんです。まだカラー写真ではなく彩色して作られた表紙がいい雰囲気をだしています。手作業で彩色してあるので、表紙のお肉がなんだか変なことになっていますね。ローストチキンが途中から生の牛肉になっているような。。。現代ではありえない誤植ですね。
◆15円から30円まで 材料別一品料理
中をめくっていくと経済的な料理という記事がおおいです。この雑誌は昭和30年、戦後からまだ10年の雑誌です。
物の値段は様々なのでなかなか物価感は想像しづらいのですが、国家公務員の初任給は8,700円。食パンは1斤26円、玉子1個14円、ラーメン40円、喫茶店でコーヒーを飲むと50円。この雑誌は付録なので値段がついていないのですが、一般的な週刊誌は30円くらいだったそうです。
中のレシピを見て行っても、料理名の下に値段が書いてあります。
”うま味のある 豚肉の包み煮”は、古くなったパンを牛乳でひたして、玉子、レーズン、パセリ、みょうが(!)で団子にして豚肉でつつんでケチャップ味で煮込みます。何かもとの料理がヨーロッパにありそうですよね。約30円です。5人分かな。
こっちには”さっぱりした蒸し焼きさば”です。サバをオーブンで酒とバターでやいてからフレンチドレッシングをかけていただきます。これも美味しそう。これも約30円です。ちなみにレシピは飯田深雪先生。素敵な料理をいっぱい作っている先生です。
◆ロマンチックなぜんまいの黒光煮(こくこうに)
この料理はなんでしょう。。タイトルがすごいです!ゼンマイをロマンチックにした料理は世界初では。黒光煮(こくこうに)という表現も初めて聞きました。調べてもでてこないですね、でもイメージはわかります。
黒々としたぜんまいに、にんじんの玉がまるで南天の実のよう。食卓を楽しく飾るロマンチックな乾物料理です。
にんじんの玉とありますが、レシピを読んでいくと
にんじんは1センチ角に切り、かどを落して赤い南天の実のようにし、五勺の水に塩小さじ1杯を加えてゆでます。 (五勺=約90cc)
けっこう手間がかかっています。
盛り付けもカゴのようなものを使ってロマンチックを演出。
こういうレシピに出会えるのが昭和の料理本はたまりません。