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沈む靑

思い出した…。太陽浴びて光っている青。やたらキラキラしてた。
なんで忘れていたんだろ。なんで思い出したんだろ。
いつも行く薬局のオヤジがすげぇムカつくやつで。やたら高圧的な態度とるからこっちもそれなりの態度してたんだけど。なんか今日はいつもと違って口調も丁寧だから思わずちゃんと目を見て薬の説明を聞いた。毎月来ていて、効き目も飲み方も全部わかっているけど毎回言うのが、仕事らしい。けど聞く方は結構どうでもいい。毎回同じ薬の説明をぶっきらぼうに説明される。量は少し減ってるけどもう2年半飲んでいる。あんなにモヤモヤしてわけのわからない世界をたった3日で変えた。日常というか…人間に戻してくれた。そもそもなんでそんな闇に飲まれてしまったのか。心の中から湧き上がる暗闇が頭まで到達するのにどれだけかかったんだろう。。

9月は好きじゃない。引きずる感じ。10月になれば夏を諦めて冬に向かおうかなって思える。11月になれば覚悟ができる。刺さろうが凍えようが仕方ないって思える。9月は中途半端だ。夏を忘れさせまいとして気まぐれに天気を変える。打ちのめされる気がする。

父さんが入院したのは12月30日で。年が明けて2日に死んだ。
大晦日に病院に行ったら「今日看護婦さんに身体を拭いてもらった」って嬉しそうに言っていた。いつも「年越す前に風呂入れ」って口うるさく言われていたのを思い出した。何年かぶりに叔母さんの家に行って、聞かれてもいないのに「風呂入ってきたから」って嘘ついた。
斎場が混んでるからって父さんはドライアイスに包まれて寝ていた。寒がりなのに。肉体を保つために凍らされている。周りの人間は寒いからって暖房ガンガンたいてる。父さんの近くだけヒンヤリして思わず足を心配する。
「足が冷たいんだ」むくんでパンパンになっている足をさすってやった。「あ~気持ちいいなあ」ってうつらうつらする。そんな時間を思い出していた。布団をはがして足を触る。形は変わらないのに氷みたいに冷たくて硬かった。「もういいよ」って言われた気がして手をひっこめた。

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