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『α世代』とは? 見えてきた「デジタルユーティリティ」と「自己肯定感」

こんにちは、α世代ラボ所長の高見です。

コラムでは、インタビューや調査を通して見えてきたα世代の価値観や実態をまとめていきます。

第一回となる今回は、α世代とは、α世代ラボ設立の背景、そしてこれまでの研究で見えてきたα世代の傾向を記していきます。

『α世代』とは

『α世代』と言われてあまりピンと来ない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

α世代とは、Z世代の次に続く世代であり、おおよそ2010~2024年ごろに生まれた世代を指します。なので今時点では中学生以下の世代になります。

そもそも、世代とは。
一般的に「世代」とは、おおよそ同じ時代に生まれ、育った人々の総称を指します。

これまでX世代(1960~1980年代前半ごろ)、Y世代=ミレニアル世代(1980年代前半〜1996年ごろ)、Z世代(1996年~2010年ごろ)、α世代(2010~2024年ごろ)と区分されています。
※区分年については諸説あります

世代が同じ人々は、同様の価値観を持つ傾向にあります。
それは同じ成長過程で同じ社会的、文化的、技術的出来事を体験するためです。

体験することが同じでも、世代によってその出来事から考えることは異なります。なぜなら「ライフステージ」が異なるからです。

例えば、今大谷翔平選手がメジャーリーグで大活躍を続けていますよね。
私は1995年生まれの28歳(一般的にミレニアル世代と区分される)ですが、私と今の小学生(α世代)がそれから考えることは大きく変わってきます。

私は大谷選手の活躍を見て、日本人として大きな誇りを感じますが、「よし、私も野球選手になろう」とは思わないです。笑

反対に、大谷選手の活躍を目にし「野球を始めたい!」「僕も野球選手になりたい!」と思う小学生は多いのではないでしょうか。

なぜこのようなことが起きるかと言いますと、「ライフステージ」が異なるからです。
このようにライフステージが異なると、同じ出来事を見るにしても異なる「レンズ」を持っているため、考えることが違ってくるのです。
一方で、世代が同じ人々は同様のレンズを持つため、共通の価値観を持ちやすくなる。世代を理解することで、価値観を理解することができ、アプローチをしていくためのヒントを得ることができます。

(ちなみに私は2002年のサッカー日韓ワールドカップを小学校2年生の時に経験したことでサッカーを習い始め、サッカー選手を目指していたことがあります。笑)

「α世代ラボ」設立の背景

私がα世代ラボを設立したのは、小学校の教員を勤めている友人と食事に行ったことがきっかけでした。

「今の小学生は自分たちが小学生だった頃と比べて全然違うぞ!」と友人が力説してくれたんです(笑)

なんとなく違うんだろうな〜とは思っていたんですが、友人が話してくれたエピソードが面白くて。

  • ・授業中にYouTubeを見てしまいがち

  • ・TikTokでフォロワー1,000人を持つ

  • ・図工の作品をメルカリで売ろうとする

  • ・パワポで資料作成、プレゼンをする

  • ・夏休みにSDGsに関する宿題が出される など

想像以上に今の小学生(α世代)は自分が子供だったころと比べ環境が違うのだということを知りました。そして、環境が違うということは、価値観も私たちと大きく異なってくるだろうなと、興味を持ち始めました。

また、Z世代については、今メディアや企業が注目しており日々関連情報を目にしますが、α世代に関する情報はほとんど目にしません。

したがって、α世代にスポットを当てて研究をすれば面白いのでは?情報発信をすれば企業のマーケティング活動にも貢献できるのでは?そう考え、「α世代ラボ」を設立しました。

ここからはこれまでの研究活動の中で見えてきたα世代の特徴・傾向を紹介していきます。

親顔負けのデジタルユーティリティ 動画SNSで全て解決

インタビューを通して顕著に見えてくるのは、やはり早い段階からデジタルツールに触れることで身に着けられる、α世代の優れたデジタルユーティリティです。

ICT教育が導入され、小学校におけるタブレットの普及率は向上。
先述のように授業の一環で小学生がパワポで資料作成、プレゼンをする学校もあり、教育の現場では早い段階から小学生が本格的にデジタルツールを活用する機会が増えてきています。

また、小学校5、6年生になると、8割程度がスマホを持っているとか。
SNSの利用も盛んであり、中でもTikTok、YouTubeといった動画SNSが人気。
α世代は動画で情報収集することに馴染んでいます。
YouTubeでゲーム実況を見て攻略法を把握したり、英語コンテンツを見てネイティブレベルにまで英会話を上達させたり。
デジタルユーティリティを持ち、困ったり必要な情報があれば、親に教えられなくても自分で調べて解決できます。

一方で、調べれば何でも欲しい情報が得られる環境になったことで、親御さんからは子供の「思考力」を懸念する声がよく聞かれました。困ったときに自分で考えず検索に頼ってしまうことで、思考力が養われていないのではと。

また、動画からの情報収集が主流であることにより、α世代の「活字離れ」を指摘する声も聞かれました。

高い自己肯定感 「協調性」から「多様性」へ

「α世代の親子関係・将来観に関する調査」では、α世代を対象に「自分のことが好きですか?」と質問したところ、9割以上が「自分のことが好き」だと回答しました。

インタビューを通しても、α世代は「自己肯定感が高い」傾向にあると感じます。
年齢が若いということも要因としてはありますが、外部環境による影響も大きいと考えます。

先述の調査で、α世代の親を対象に「子供へは褒めることと叱ることどちらが多いですか?」と質問したところ、7割以上が「褒めることが多い」と回答しました。インタビューでも子供へは「積極的に褒める」教育をされている親御さんが多い印象です。

また、教育の場では「個々を尊重した教育」がなされているようです。

保育園では、集団行動の時間においても個々の意思を尊重。
お昼寝の時間でも眠たくない子は遊んでていい、お散歩の時間も行きたくなければ行かなくていい、など個々の意思が優先されるそう。
私が保育園に通っていたころは、お昼寝の時間なんかは「当たり前」のようにみんなで昼寝していましたから(眠くなくても)、ギャップを感じますね。笑

そんな影響からか、小学校では子供たちが「多様性を受け入れる」傾向があるそう。
私の子供時代含め、昔はどちらかというと、みんなで同じ考え・同じ価値観を持つことが大事だという「協調性」が求められていたように思います。
一方で今の小学生は、自分や他人が「周りと違ってもいい」「1人でもいい」と思うようになっています。

このように「多様性を受け入れる」価値観がα世代には根付いているため、「自分が他と同じじゃなくてもいい、他と違っていい」と思えるため、自己肯定感が高くなっているのではないでしょうか。

一方で、普段から肯定されることに慣れているため、少し怒る・否定するととまどう。物事に取り組んでいる中で、課題にぶつかると、「できなくてもいい」と諦めやすくなり、完遂することが苦手。
こうした「打たれ弱い」「諦めやすい」傾向や「団体行動が苦手」といった傾向が見られました。

まとめ

『α世代』とは、Z世代の次に続く世代です。
おおよそ2010~2024年ごろに生まれた世代で、今時点では中学生以下の世代になります。

インタビューや調査を通して、α世代の「デジタルユーティリティ」と「自己肯定感」が見えてきました。

α世代は早い段階からデジタルツールを活用する機会が多いことで、デジタルユーティリティを持ち、必要な情報は自ら「動画SNS」から収集します。

また、親や先生からの「肯定的な教育」により「多様性を受け入れる」価値観が育まれ、自己肯定感が高くなっています。

これまでの研究から、いくつかα世代の特徴・傾向が見えてきました。
「α世代ラボ」では今後もα世代にスポットを当て研究・情報発信を続けていきます!



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