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FC岐阜 2025シーズン 第2節 vsヴァンラーレ八戸 マッチレビュー
前節は難敵FC大阪に対し、劇的な同点ゴールで辛くも勝点1を獲得したFC岐阜。前節はピッチコンディションが悪く、思ったようなボール保持ができなかった反省があり、改善した姿を見せたいところ。今節の相手は、昨年シーズンダブルを食らった苦手とするヴァンラーレ八戸。八戸は第1節が4/27に予定されているため、相手の情報がほとんどない中、試合を迎えることになりました。ホーム開幕戦で是が非でも勝利が欲しいこの1戦を振り返ります。
第2節(Home) 2025/2/23 14:00 @岐阜メモリアルセンター長良川競技場
FC岐阜 0-1 ヴァンラーレ八戸(前半 0-0、後半 0-1)
得点者 90+5分:髙尾 流星(八戸)
試合ハイライト
1. 試合概要
今節のスターティングメンバーは下図の通り。ホーム岐阜は前節から西谷→萩野に変更した以外はそのままで、4-2-3-1ベース。アウェイ八戸は3-1-4-2(5-3-2)。
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序盤は岐阜がボールを握る展開。前節とは打って変わって、ロングボールを多用せずに、自陣からのビルドアップを試みます。八戸のプレスに対して、ディフェンスラインと中盤で前進しながら、チャンスを狙っていきます。左の泉澤に多くのボールが集まり、ドリブル突破からクロスを入れますが、八戸の強固な5バックに対して、決定機を迎えることができません。一方、八戸の攻撃に対しては、相手最終ラインに対して、岐阜の前線がしっかりとプレスをかけボールを蹴らせる、そして最終ラインで跳ね返すことで思うような攻撃をさせませんでした。岐阜自陣でのビルドアップでミスが出た際にも、相手カウンターに対して、体を張って相手にチャンスを与えませんでした。そのまま、両チーム決定的なチャンスを得られないまま、前半が終了します。
後半も前半と同様に、基本的には岐阜がボールを支配する時間が多くなります。後半9分には西谷、後半18分には中村、箱崎を入れてより得点を取りにいくメンバーに。特に、右の中村は前線でボールを受けると縦への突破や中に切り込んでのクロスなど、チームに勢いをもたらしました。八戸も後半23分に妹尾、高尾を投入し、攻撃を活性化させます。両チーム得点のないまま迎えたアディショナルタイム。石田の裏へのロングボールに西谷が抜け出しシュートを放つも、ポスト直撃でゴールならず。逆に、岐阜自陣の繋ぎで野澤が縦パスを引っかけたところから、八戸がカウンターを発動。CB白井のクロスから高尾にバイシクルを決められ失点。試合を通して試合を支配し、シュート数も八戸の倍近く記録しましたが、最後の最後に力尽きてしまいました。
2. 大島岐阜の5バック対策
試合には負けてしまいましたが、試合のほとんどは岐阜が支配していたと思います。前節、ボールが思うように保持できなかった課題を1週間で改善できたことはポジティブな要素でした。
ボール保持が改善できた理由として、八戸の5バックに対してしっかりと対策ができていたことが大きいと考えられます。
下図は、岐阜4-2-3-1と八戸5-3-2のフォーメーションを並べた図です。噛み合わせを見てみますと、八戸は5バックで後ろに人数を割いている分、5-3-2の"3"の脇(黄色部分)がスペースとなります。また、八戸の両WBはこのスペースを消すために前に出たいのですが、岐阜のSHが大外に張っているため、前に出ることができません。ここを外山と石田が上手く利用していました。
試合前コメントで大島監督が「キースペース」なる言葉を使っていましたが、まさにこのスペースがチームとして狙うキースペースになります。どのフォーメーションでも、すべてのスペースを埋めることができる完璧なフォーメーションはありません。どこかに必ずスペースは生じますので、そのスペースをどのように攻略するのかをチームとして設定しています。
実はこの試合、前節のレビューで言及した偽SBのプレーをあまりやっておりません。ここについては、このキースペースの活用と関係があるのではないかと考えていますので、もう何試合か見て時間があればまとめてみたいと思います。
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下図は、11分のシーン。左サイドでボールを繋ぐと、中盤にボールを触らせたくないため、八戸の2-3部分が岐阜の左側に寄っています。そうなると、上述したスペースが空いてきますので、外山から甲斐を経由して右サイドの石田へ展開。相手のプレッシャーを回避することができました。その後、石田は山田とのワンツーから抜け出し、アーリークロスを送ることに成功。得点には繋がらなかったが、チームとして再現性のある崩しを見せていたと思います。
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また、ビルドアップで自陣から繋ぐこともあれば、直線的にゴールに向かうプレーも見られました。下図は、18分のシーン。甲斐がボールを持つと、山田がCBを引き連れながら1列降りることで、CBがいたスペースに佐々木が走り込み、そこに甲斐がロングボールを入れるとそのままシュートへ持ち込むことができました。ゴールにはなりませんでしたが、ポゼッションだけではない攻撃パターンも見せました。
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3. 得点力不足をどう補う?
終始、試合を支配できていましたが、無得点に終わった岐阜。前節もあわせて、フリーキックからの1点のみで、崩しからの得点はまだありません。上述した通り、相手のスペースを上手く使いながら前進することができても、アタッキングサードでの崩しはあまりうまくいっておらず、次節に向けて期待したいところ。ここについては、試合後コメントで大島監督が「より相手ボックス内に入っていきたい」との言及をしていますので、どのような修正があるのか注目です。
個人的には、SHからのクロス攻撃が単調に終わっていることが気になっています。良い形でSHにボールが入り、縦突破からのクロスという攻撃が何回かありましたが、ボックス内には相手DFの人数が揃っていますので、シュートまでもっていくのは中々難しいと思います。この辺りに注目しながら次節も観ていきたいと思います。
4. 最後に
第2節にして、初敗北を喫してしまったFC岐阜ですが、絶望するような試合内容ではなかったと思います。昨年同様に結果がついてこないことが続くかもしれませんが、我々は信じて後押しするしかないです。
また、ホーム開幕戦だった今節は今シーズン初現地でした。試合内外において、DAZNのカメラには映っていない部分まで観ることができるので、行けるときは現地で観ていきたいです。
次節は、北九州戦です。八戸同様に昨年シーズンダブルを食らった相手ですが、今シーズンの北九州は昨シーズンよりもさらにパワーアップした優勝候補の筆頭です。そのような相手に対してどこまでできるかで、今シーズンの優勝、昇格を占う重要な一戦になると思いますので非常に楽しみです。
今回もお読みいただきましてありがとうございました。それではまた次回。