FC岐阜 2025シーズン 第3節 vsギラヴァンツ北九州 マッチレビュー

前節の八戸戦では、終了間際に決勝点を奪われ今シーズン初めての敗戦。内容は悪くなかっただけに、非常に悔しい一戦となりました。今節の相手は八戸同様に昨年シーズンダブルを食らったギラヴァンツ北九州。J3で一度も勝利したことがない苦手な相手です。北九州は前節が開幕戦になりましたが、長野相手にシュート1本に抑えるなど、最高の開幕スタートダッシュを決めました。そのような相手に岐阜がどう立ち向かうか、そして、何としてでも連敗を阻止したいこの一戦を振り返ります。


第3節(Home) 2025/3/1 14:00 @岐阜メモリアルセンター長良川競技場
FC岐阜 2-1 ギラヴァンツ北九州(前半 0-1、後半 2-0)
得点者 17分:坂本 翔(北九州)、50分:外山 凌(岐阜)、58分:西谷 亮(岐阜)

試合前コメント / 試合後コメント

試合ハイライト




1. 試合概要

今節のスターティングメンバーは下図の通り。岐阜は前節から山田と荒木がベンチ外で、西谷と中村をスタメンに抜擢。また、右SBを石田から文に変更。その他、大卒新人の大串が初めてベンチ入りしました。フォーメーションは岐阜と北九州ともに4-2-3-1をベースとしています。

第3節 vsギラヴァンツ北九州 メンバー

序盤は一進一退でお互いボールを保持しながらゴールを狙っていきます。試合が動いたのは前半17分。北九州陣地内からロングボールが永井に送られると、味方の上りを待ちながらキープし牛之濵へ。牛之濵がドリブルで運びながら、逆サイドから上がってきた坂本へパスを送ると、坂本はドリブルで中へ切り込みミドルシュートを岐阜ゴールへ突き刺します。一瞬の隙から北九州が先制に成功しました。先制された後は、岐阜が押し込む展開。左右のSH(泉澤、中村)にボールを集め、ドリブルからクロスを入れるも、決定機には繋がらず。0-1のまま、前半が終了します。前節同様に、ボールは保持できるもゴールを奪うことができませんでした。

ハーフタイムで修正した岐阜は、後半開始5分に待望の瞬間を迎えます。北九州陣地内で萩野から大外の泉澤へ、泉澤が中へ切り込みクロスを送ります。そのクロスはカットされますが、そのこぼれ球を中村が拾い、中へパスを送ると反応した外山がゴール。今シーズン初めて、流れの中から得点を奪います。さらにその8分後、今度は中村にパスが通ると、中へ切り込みクロスを送る。佐々木が少し後ろに逸らし、落下地点に反応した西谷がダイレクトで合わせゴール。あっという間に逆転することに成功しました。

その後は、ゴールを狙いに来る北九州が岐阜を押し込む展開が続きますが、GKセランテスやCB甲斐、野澤を中心に守り切りタイムアップ。岐阜がシーズン初勝利を挙げました。


2. 大島岐阜の強みが活きた一戦

シーズン初勝利を挙げたこの一戦。大島岐阜の強みがよく活きた試合だったかと思います。下図は、岐阜のボール保持時の両チームの配置です。北九州の4-4-2は非常にコンパクトで中を通させないが基本コンセプトですので、大外にスペースが生じます(以下のポストで北九州を予習しています。ご参考までに。)。岐阜はこのスペースにいるSHへボールを集めるため、偽SBやサイドチェンジを活用します。


下図は偽SBでの例。ビルドアップでCBがボールを持つとSBの外山と文は4-4ブロックの間(ハーフレーン)に上がります。上述した通り、北九州は中へ通させないが基本コンセプトですので、牛之濵と高はパスを通させないために、絞る必要があります。すると、岐阜のSHである泉澤、中村へのパスコースが生じ、パスを供給することができます。また、この試合では偽SBが4-4ブロック内でボールを受けることはあまり多くありませんでしたが、石田に代わり起用された文はボランチの役割を担うために起用されたとの監督コメントもあり、仮にSHへのパスコースが消されたとしても、ブロック内でプレーできる文や外山を活かした攻撃をしていたと思われます。


そして、こちらがサイドチェンジの例(前半17分)。北九州はボールサイドに圧縮をしてきますので、逆サイドには大きなスペースが生じます。中盤の選手(こちらの例では萩野)を経由して、逆サイドにロングボールを送るシーンが何度も見られました。


そして、同点ゴールもこのサイドチェンジをきっかけに生まれています。ハイライトには入っていませんでしたが、48分35秒くらいから、まず西谷から中村へロングボールが入ります(下の図では省略しています)。中村はドリブルで中に切り込みながら、萩野へパス。萩野は泉澤へパスを入れるのですが、外山が触ると見せかけることで相手DFにカットされることなく泉澤にボールを届けることができます。泉澤がドリブルからインスイングのクロスを入れてそこから同点ゴールが生まれました。


このように大島岐阜の強みであるサイド攻撃と、北九州の守備構造上スペースとなる部分がマッチすることで、優位に試合を運べたのではないかと推測します。北九州はもちろん大外のスペースが使われることは想定しており、非常に速いスライドで対応してきましたが、岐阜のビルドアップやSHの質が上回ることで得点に繋げることができました。また、この日は20℃を超える暑さもあり、想定以上に北九州の選手が消耗した可能性も考えられます。ただ、それも岐阜が繰り返しサイドチェンジを行うことでジャブのように体力を奪っていったのではないかと推測します。


3. 連勝に向けての課題

初勝利を挙げ、連勝街道を突き進みたい岐阜ですが、もちろん課題も見られました。この試合、今シーズン初めてリードする展開になったのですが、思考が守備的になったのか、ボール保持で優位に立てず、相手に押し込まれる展開が続きました。守備に強みがあるチームではありませんので、理想的には試合を通じてボールを保持して、追加点を奪いにいくことが重要だと考えます。この辺りは試合を通じてでしか経験ができませんので、今節は良い経験になったかと思います。

また、交代で入った選手(大島さんはゲームチェンジャーと呼ぶ)がその名前の通り、試合状況を変えられるようなパフォーマンスを見せられているかというと少し物足りなさを感じます。今の岐阜のベンチは若いメンバーが多いので、経験を積みながら"ゲームチェンジャー"になれることを期待しています。

4. 最後に

今シーズン初勝利を挙げることができ、大島岐阜の進む道が間違っていないことを証明できたかと思います。中には、昨年からの積み上げを疑問視する方もいるかもしれませんが、昨シーズンの北、萩野、西谷に加えてSBが加わりながらボールを循環させるサッカーは間違いなく昨年からの積み上げと言っていいかと思います。シーズンを通して、上手くいくかはまだ分かりませんが、この積み上げた先にどんな景色が見えるのか、私は楽しみで仕方ありません。次節福島戦も今節のようなサッカーが観れることを楽しみにしております。今回もお読みいただきましてありがとうございました。それでは、また次回。

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