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マクドナルドで働くおじさん

子供がスイミングに行く前に、近くにあるマクドナルドで腹ごしらえするのが慣例となっている。
何も食べずにレッスンに参加すると途中でスタミナ切れするらしい。



そのマクドナルドで、1〜2年ほど前から一人のおじさんがスタッフとして加わった。

おじぃさんと呼ぶには失礼な、でもおじさんというには歳を重ねている、定年後に運動不足解消のために働いているような印象の男性。
以前は一流企業でお勤めされていたのかもしれない、なんとなく漂うエリート上司感。
長年、人に頭を下げる機会は少なかったのではないだろうか。


マクドナルドと言えば、中年の私でさえ躊躇するハードな立ち仕事。
客も多いし、メニューはすぐ変わるし、スピードを求められるし、ウーバーの人も多いし…。
マクドナルド側も高齢者の雇用を前面に押し出してはいるが、ハッキリ言って定年後に選ぶお仕事としてはハードすぎるのでは?と心配しながらお勤めの様子を眺めていた。



机を拭いたりゴミを集めたりお盆を拭いたり…若いスタッフに指示されながら、おじさんは雑用仕事をこなしておられた。
ひと段落すると少しお疲れ気味のご様子。



自分も立ち仕事経験があるが、慣れるまでは足腰が本当に辛い。
当時働いていた先の店長から「はじめは営業時間中ずっと立っていられただけで合格点だよ」と言われたほど。
きっとすぐに辞めてしまわれるんだろうなぁ…と思っていました。


ところが、
そのおじさんは数ヶ月後にはレジの担当に。



頭の良い方なのでしょう、季節メニューやクーポンやソースの種類など色々変わる内容もすぐにマスターされるようで、いつも余裕の表情でレジ操作しておられました。
前職ではあまり触ることがなかったのか、レジ操作を楽しんでいるご様子。
オーダーに戸惑っている年配のお客様へのサポートもスマートで、さすが昭和の叩き上げサラリーマン!(と私が勝手に思ってる)と心の中でいつも拍手を送っていました。


しかし今年の春夏頃からレジは外国の留学生に変わりました。
おじさんの姿を見かけることも無くなり、とうとうこの夏の暑さにダウンしてしまわれたのかも…と心配していたのです。



すっかりおじさんの存在を忘れかけていたのですが、つい先日、久々におじさんの姿を発見。



お元気にされてたんだ!
と喜びも束の間、私は自分の目を疑いました…。


おじさんがマクドナルドの配達員のジャケットを羽織っている。

えぇ!?まさか配達を任されている?!



その日ははじめての冬日。
冷たい風がビュービュー吹くとても寒い日でした。


配置として仕方なかったのかもしれないけれど、おじさんも若い人に頼まれてヤル気が出たのかもしれないけれど、若いスタッフが何人もキッチンで働いていて(しかも少し暇そう)高齢のおじさんが寒空の下を配達に行くってどうなんだろう??
もしかして夏の暑い日も配達に行ってたの??
だからお店で姿を見かけなかったの??


私はおじさんの姿に実家の父を重ねてしまって、つい「おいおい高齢者にそんな無茶させるなよ」と言いたくなってしまいました。
ヘタレだから言えなかったけど…。


世の中で高齢者の雇用促進が進められているけれど、これからこういう風景も増えていくんでしょうか…。



今どき、若者より元気な高齢者は多いけれど、

「24時間働けますか、
 ビジネスマーン、ビジネスマーン、
 ジャパニーズ、ビジネスマーン!」

というCMがテレビで普通に流れていた昭和世代。
しんどいことも気力で乗り切ってきたであろうあの世代。
体は昔とは違うのに、あの当時のまま無理しちゃうんじゃないだろうか。



時給千円ちょっとでそこまで働かせるの?
「大丈夫そうだから」で任せて良いの?


機会があればお店に声かけしてみようかと思っているけれど、逆に余計なお世話なのかも…おじさんもやり甲斐を感じて望んでやっておられるかもしれない…と思ったり。


迷ってます。
難しいところです。

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