命をつなぐ「ちびたまのしっぽの愛護会」代表・山下さんにインタビュー【中編】
たくさんの愛をくれて素晴らしい伴侶となれる保護犬が、犬を飼うときの選択肢のひとつになることが当たりまえになることを祈って、保護犬のことや元保護犬との生活を中心に発信しているダンデライオン@保護犬広め隊です。
ラミ、まめ、先代2代目保護ボーダーコリーおはぎは、保護施設「ちびたまのしっぽ愛護会」の卒業生です。
そのご縁で「ちびたまのしっぽ愛護会」代表の山下未愛(やましたみのり)さんに、インタビューする機会に恵まれました。
大長編になったので前編・中編・後編の三部作でお届けします。
前回は、山下さんがなぜ保護猫保護犬活動を始めるに至ったかについてお聞きしました。
前編についてはこちらをご覧ください。
今回は現在の取り組みを詳しくインタビューしました!
山口県から全国へ!初めての譲渡は犬でした
野犬や野良猫の保護をしていると、頭数が増え続けていきます。譲渡したくても自分の周囲だけだと限界がある…。
そこで山下さんは、山口県から全国へ保護犬・保護猫の譲渡を始めました。
ーー譲渡の始まりを教えてください。
ノウハウを知っている『捨て猫を救う町』の筆者の方やボランティアさんに手伝ってもらいながら、譲渡を始めました。
当時「自分の住んでる地域周辺しか募集はできない」と言われたのですが、全国を譲渡範囲にしてもらうようにお願いしました。
その頃『日本全国できる限りどこでもご縁があれば譲渡します』といった人はいませんでした。最終的に「北海道と沖縄を除く全国」を譲渡範囲にして、里親募集を始めました。
初めての里親さんは東京の方でした。
飛行機で空輸する予定だったのですが、初めての空輸はすごく不安を感じたので、自分で譲渡先のお宅まで送り届けました。(我が家も空輸で送っていただきました)
ーー譲渡は関東地方が多いのですか?
犬も猫も室内飼育が譲渡の条件です。地域性かもしれませんが、室内飼育に理解があるのは、関東の方のほうが多い印象です。
私が直接行けるのは福岡県や広島県。そして兵庫県大阪府辺りまでです。
今では、各地にボランティアさんがいて、空輸先で受け取る役や里親さんが困ったときのサポート役を担ってくれています。
ーー山口県で見つかった野犬を保護して譲渡しているのでしょうか?
山口県は野犬が多いんです。7年前に保健所に登録して、保健所に収容された子たちを引き取っています。
保健所に収容されると「保護された子がいますよ」と教えてもらえるので、写真を撮りに行きます。その情報をネットにアップして問い合わせを待ちます。収容期限は 基本1 週間なので短いですね。
里親募集は飽和状態にあります。1匹も飼ってない方よりは、2 匹目3 匹目と、先住がいる方がだんだん増えているのは事実ですね。
ーー保護犬と飼い犬の違いを教えてください。
先住犬が、後から来た犬に対してワンワン吠えるんじゃないかと心配されるんですけど、野犬だった子のほうが落ち着いています。
保護すると集団生活になりますが、野犬は本当にすんなり入ってこれます。
実は、飼い犬だった子のほうが神経質な感じですね。
犬が約50匹、猫が約400匹いるシェルター「ちびたまのしっぽ愛護会」
保健所レスキューもされているから、卒業生に野犬も多い当施設。
野犬は犬社会の序列が取れており、先住犬や猫がいても、野犬が先住犬や猫とトラブルを起こすことはほぼないそうです。
ーーご主人はどんな感じですか?
あきらめていますね(笑)
「協力するから」って言ってくれています。
私と結婚してなかったら、この人はもっと楽な生活を送っていたはずですが、巻き込んじゃいました。
人の手があるときは「先に帰ってね」と伝えますが、帰らないんです。正直なところ、男手が少ないので、主人の存在は本当に助かっています。
ーー保護活動で大変だったことを教えてください。
ご寄付物資のご寄付と寄付金の中で賄ってはいけないので、どうしても手出しにはなります。
夫婦でフルタイムで働いていて、私の収入は、ほぼ保護犬活動に費やしています。正社員はボーナスをいただけるので、ありがたいです。
朝5時から、犬の散歩を夫婦二人でタイムアタック方式でやっています。
野犬の中には散歩できない子もいるので、全部お散歩するわけではないんですけど、1匹ずつ散歩させてるんですよ。
散歩できない子はトイレを全部片付けてご飯あげて、仕事に出るので結構大変です。
仕事から帰ってきたら、再びお世話が始まります。ご飯あげたりトイレ交換したり掃除したりすると、どうしても帰宅が遅くなってしまいます。
ーーやっててよかったと思うときはどんなときですか。
保護犬・保護猫について、理解してくれる方とつながった時がすごくうれしいです。
また、里子に行った子たちが、もうなんて幸せなの!っていう生活をしてる近況をもらうのが何よりも幸せです。
本当にいい里親さんが多くて、その点では恵まれてます。
私のほうが里親さんたちに感謝してるんだけど、皆さん「こんなに可愛いこと繋いでいただいて」と言ってくださいます。
その子たちの幸せを見るのが次のステップになるし、いいご縁でつながっていくことは、この活動の醍醐味みたいな感じですね。
ーー譲渡の条件を教えてください?
室内保育が基本です。これは絶対に譲れません。あとは去勢手術やワクチン接種をきちんとしてくれることです。
そして愛情を持ってお世話してくれること。人間の都合ではなく、犬や猫の幸せを第一に考えてくれる方へおつなぎしたいです。
※里親の条件は全部で17項目あります。詳しくはこちらをご覧ください。
あなたを待っている保護猫保護犬が山下さんのところにいます
今回は、現在の保護と譲渡の現状をお伝えしました。
我が家の元気な愛犬たち。リーダーになりたいボーダーコリーのソナは、先住犬の元保護犬のラミに抵抗するときがありますが、ラミは毅然とした態度を示します。
ソナより体が大きく力が強い元保護犬のまめですが、ソナを絶対に尊重します。
まめが欲しがるおもちゃを、ラミはいつも貸すけれど、ソナは貸しません。
今回インタビューさせていただき、これらは元野犬の子の特徴で、他の犬との関係性にも注意深いことがわかりました。
しかし愛情を注いでくれる人には心を開き、深い絆を築くことができます。
「犬を飼いたいね」
「猫を飼いたいね」
家族で、このような話題が出たら山下さんを思い出してください。
心優しい瞳をした保護猫や、遊び好きな保護犬たちが待っています。
保護団体から保護犬を迎えるときの参考には、こちらのマガジンをどうぞ。
次回は「ちびたまのしっぽの愛護会」山下さんへのインタビュー 後編です。
11月29日投稿予定ですから、お楽しみに!
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1匹でも多くの保護犬の未来が、明るく輝きますように。