アオニンジャー概論Ⅱ(手裏剣戦隊ニンニンジャー忍びの13感想)
◆アバンの雑記コーナー
・インターネットドスケベ老人会
急にゼロ年代中盤のドスケベ欲が盛り上がってきたのは年老いた証拠だろうか。ゼロ年代中期はオタクにとっては激動の時代。
映画・テレビではオタクのロマンスを題材にした映像作品『電車男』が大ヒット。そして各家庭にネット環境は当たり前。そしてこの時代の出来事といったら通称『ハピマテ騒動』も印象的だろうか。
そして子供たちも携帯電話を所持している事が当たり前になり、ネット配信環境が充実し始め、朝や夕方の見やすい時間帯に本来なら深夜帯向けであろうアニメが放送されたり、これまでアングラだった美少女ゲームのアニメ化作品が乱発し始めたりというまさに激動の時代だったのだ。
華の時代、オタクの格差が徐々に是正され始めた時期。
そんな時代が不意に懐かしくなり、作業の合間ではあるが久しぶりにゼロ年代を代表するアニメ『コードギアス反逆のルルーシュ』を見はじめている。前半で萌えアニ寄りの話をしてしまったがこちらの作品は硬派でハッタリの効いた軍略ロボットアニメである。
当時は枢木スザクのアクションを見て『こんな俊敏かつアクロバティックな動きから超回転の蹴りを放つ人間は居ない』と思っていたのだが、時を経て見ると『アレ、これ中田裕士もできそう?』となってしまった。
いやホントまじでコードギアス見てくれ、枢木スザクとランスロットの動きがだいたいUGなので。
というわけでアンケートまだまだ募集してます!よろしくお願いいたします!!(雑)
◆ニンニンジャー忍びの13感想
・今回は立ち位置を彷徨われ続けた松尾凪の回
十六夜九衛門が伊賀崎好天の弟子であったという衝撃の事実が発覚してから始まる今回のエピソード。好天自身、九衛門の力を買って後継者にしようとしていたのだがいつしか自らの力を侮り、悩み、恐れ、最後は道を誤った。自分は誤ったりしないと主張するキンジだが、好天はそれに懐疑的だ。キンジは交流が進んだニンニンジャーたちを倒すのを躊躇っている。心が揺らぎやすい者を弟子に取る事はできない。そうはっきりと告げられてしまった。
一方の牙鬼陣営。前回で蛾眉雷蔵を切り捨てた九衛門は晦正影を目覚めさせていた。キャラクターボイスは銀河ハニーの人、正影に娑婆の空気はと問われ『ラストニンジャの孫が暴れているがまずは恐れの力を集めるのが先決』と答える九衛門。そして焦らずともお館様の御霊はすぐそこに来ておるという正影。どうやら順調に牙鬼幻月の復活には近づいているようだ。
そんなこんなで衝撃の事実、牙鬼の新幹部の登場から始まる手裏剣戦隊ニンニンジャー忍びの13だが、このエピソードでは1クール目は不遇を極めていた松尾凪のエピソード。新章の穏やかな日常は道場での天晴の『なんか熱い事無いかなぁ』と一言で始まる。
凪と風花が帰宅し、道場に一同が会します。蛾眉雷蔵を倒した後の日常はビックリするくらい穏やかなものだった。凪は八雲に対して英語の宿題を手伝ってくれないかと言うものの、手伝わんぞと一蹴されてしまう。基本的に八雲は甘い男ではないのだ、霞を除いて。
それならいいやと凪はキンジを呼ぶのだが、現れたキンジはスターニンジャーに変身した姿だった。改めて勉強を教えて欲しいというのだが、キンジは『もうお手伝いはいたしやせん』と言う。今後は本物の刺客と考えてくださいやし。好天の言葉で決意したのだろうか、しかしながら露骨な行動にでなければ好天から与えられた試練を遂行できないその姿にこそキンジの情の深さや甘さを感じてしまう。
「おっなんだコレ」
「ああ、なんか街で配ってたよ」
風花が持ち帰っていたチラシを見た天晴は急に大きく燃え上がる。
そこは大きくイベント名が書かれていた、『忍者運動会』と。
「宣誓!ぼくたちわたしたちは!忍者マンシップにのっとり!正々堂々忍ぶどころか暴れる事を誓います!」
会場である森の中、天晴による手裏剣戦隊ニンニンジャーの全てを象徴するような知性の無い選手宣誓が響き渡る。元気いっぱいでえらい!
運動会といってもスタッフしかいないようだがと辺りを見回すと忍んでいる忍者がちらほらと。ちゃんと忍んでいる忍者の方が居るので自分たちも忍んだ方がいいのではと戸惑う凪だが、天晴が忍んでいる忍者になんか負けないぞという声に風花と共に元気よく拳を上げたのだった。
しかしもちろん、この忍者運動会は牙鬼の罠。晦正影による作戦だったのだ。
「これは一体…?遊んでいる場合ではござりませぬぞ!」
九衛門の抗議の声に対し、いかなる謀り事にも遊び心を入れるというのが粋というものと持論を展開する正影。どうやら純然たる武人であり、戦闘狂だった蛾眉雷蔵と違い頭脳と謀略を駆使するタイプのようだ。そして九衛門の名前を覚える気の無い姿を見る限り、本当に他者を見下しているタイプな事が分かる。単に物覚えが悪いかもだけれども。
第1種目はビーチフラッグならぬ『ツリーフラッグ』、森の奥にある木のてっぺんにある旗を取るという忍者ならではの競技である。
それに先陣切って臨んでいたのは天晴と八雲だった。「八雲負けないぞ!」とライバル心を忘れない天晴に対し、「それはいいが気を付けろよタカ兄!」と返す八雲。忍者の競技なのでサバイバルフラッグ。殺意の高すぎる罠をかいくぐりながらトップを突き進む二人だったが突如キンジの『お命頂戴』が襲い掛かる。ギリギリで変化し、危機回避しながら突破する二人にキンジは盛大に悔しがる。第1種目目の勝負は天晴の勝利で終わった。
第2種目は『大玉転がし』、こちらは洞窟の中で行われた。
勿論この競技も罠にまみれており、大玉を転がす背後から大岩が転がってきており、おまけに迷路で入り組んでいた。天晴はアカニンジャーに変化し、大岩を押さえつけるが背後から更にスターニンジャーの『お命頂戴』が襲い掛かる。ギリギリで避け、スターニンジャーは天晴ではなく大岩の方を砕いてしまう。これではお命頂戴いたしやすではなく助太刀いたしやすではないか。
・凪とキンジの交流
そんなこんなで午前の競技が終わり、お弁当の時間。
『やべぇ!水筒わすれた!』は天晴の声。
凪は自ら『じゃあ僕が買いに行くよ』と申し出ます。
買い出しに行った凪は木の上で一人昼食を食べるキンジを発見する。キンジに対し、無邪気に僕たちと一緒に食べる方がいいのにという凪だが、キンジは『あっしは狙う方、坊ちゃんがたは狙われる方、仲良くするのは変でございやす』と言う。
「なにに急にキャラ変わって、ただでさえ変な忍者なんだから!」
凪の天真爛漫かつズバズバした指摘に動揺し、間抜けな声を上げ木からずり落ちるキンジ。
「……変でございやすか?」
「うん、すっごい変!おじいちゃんに弟子入りとかって変すぎ!」
動揺しながらも立ち上がったキンジが落とした写真を凪が拾う。キンジが今まで大切に持っていた写真を最初に見たのが凪というのがまたなんかこう来るところがある。
ついに見られてしまったからには隠す事が出来ない。キンジは凪についていきながら写真について説明します。
写真に写っていたのはやはり幼いキンジとその兄と父親だった。父と兄もキンジと同じ妖怪ハンターだったとの事で、由緒正しき血族としては伊賀崎と近いのかもしれない。
自販機でドリンクを買い求める凪に対し、皆さんから頼まれたのかときくキンジ。
「いや、そういうわけじゃないけど…みんな飲みたいだろうからさ。」
手早く伊賀崎の面々の好みそうなドリンクを購入していく凪。家族だから言わずとも分かるって事なのかというキンジだが凪はそれに対し、あんまり考えたことないと答える。
スターさんちだってそうでしょ?と言う凪だがキンジは自分は幼い頃に父も兄も亡くしたので家族と言うものが分からないと言う。その言葉を聞き、凪は謝罪するのだがキンジは気にしていない事を告げ、『とにかく二人を超える妖怪ハンターになるためラストニンジャの弟子になりたいと思った』と語り、だからこそこれ以上仲良くならないようにしたいと言った。
「わかったけど、多分それ無理じゃない?」
するとその時、二人は見てしまった。忍者運動会のスタッフがジュッカラゲに戻る姿を。
・凪の戦士属性の確立~バランスの才能~
そんなこんなで陰謀うごめく忍者運動会も第三種目『障害物競走~三人四脚~』へと突入する。
八雲&風花&霞で出る事になっていたのだが凪が未だに来ない。不審に思った天晴の元に遅れて凪とキンジが駆けつけた。この運動会が牙鬼の罠だと告げるとスタッフがジュッカラゲに変化しだす。勿論八雲たちも罠である事を理解していた。シュリケン忍法アミアミの術でジュッカラゲを一網打尽にするのだが、もちろん牙鬼が作戦を読んでいる可能性を足元に既に張られたロープ突然周りの忍者たちごとくす玉の中に引きずり込んでしまった。
「上には上がいる事、学べたか?」
今回の作戦の司令塔だった牙鬼家家老で軍師である晦正影がニンニンジャーたちの前に姿を現す。変化して攻撃しようとするニンニンジャーに対し、牽制攻撃を放った後にランニングシューズから妖怪ヤマワラワを覚醒させる。
晦正影からの勝負の提案はヤマワラワと競争する事だった。
仲間や他の忍者の命が商品だ!無慈悲かつ狡猾に正影はニンニンジャーに挑んでいく。とにかくみんなを取り戻すしかない、3人は三人四脚に挑んでいくのだが……
まぁ案の定チームワークはボロボロである。キ・アカ・スターの組み合わせで主張の強いアカとスターは喧嘩してばかりであっという間に突き放されてしまう。しかもよく見たらヤマワラワの脇を固めるジュッカラゲが人形だったというインチキレースぶりでとんでもない。
どうあがいても天晴がセンターだと埒が明かない、凪は自分が三人四脚で真ん中になるとおバカで主張の強い年上たちの間に入ります。こういうドライな思い切りの良い判断は凪独自の魅力か。
天晴やキンジのペースがズレればしっかりと怒り、自分のペースに合わせるように言う。そして3人のペースは徐々に整っていく。
これこそが凪の才能だった。
忍びの3で資格マニア属性を放棄し、あまり主張できなかった凪の魅力。それが『合わせるのが得意』という才能だった。主張の強いニンニンジャーの中でこそ強さを発揮できる、特に天晴やキンジのようなタイプの中でそれは輝くのだ。
しかし順調にいくわけではなく、正影は偽物のアオシロモモを妨害に繰り出します。凪の伏せの判断が早いのは凄い。
「操られてるんでございやしょうか?」
「どうしようタカちゃん!」
「突撃しかない!」
危ないよやらこれじゃ同士討ちと言われる中、振り切った天晴が放った衝撃の一言は『後で謝る!』だった。ここ完全に手裏剣戦隊ニンニンジャーの全てを表す名言ですよね。
このまま走れと突っ切ると所詮見掛け倒しの幻影だったのか斬りあうタイミングで偽物のアオシロモモは消えていった。
このまま追い上げるのみ、凪を中心にした三人四脚との闘いで勝利したのはニンニンジャーたちだった。
1等でワッショイ、無事八雲たちとモブ忍者を救出してのけました。
「天晴坊ちゃん幻だったからよかったものの、本物だったら一大事でございやすよ!」
「そうかもだけど俺たちはどんな状況でも全力で戦うしかないだろ。」
キンジ・タキガワ、この男はなんだかんだで人情家で心配性な男である。
「そうだな、忍者たるもの悩むべからず。四の五の言ってられん。」
「まぁ身内であっても容赦はしませんよ。」
また絶妙に家族の絆と言うもの見せられた。
そしてヤマワラワとの闘いに挑むニンニンジャー。凪がキンジを名乗りに誘う所が優しい。
バトルの協力の仕方もアツかった~~~!
そして巨大戦の方はシノビマルとロデオマルのアクション多め。高速で動くヤマワラワに苦戦する2体のアシストを行ったのは凪のダンプマルだった。サポートの鬼、非常につよつよである。最後はキングシュリケンジンに合体し、キング破天荒斬りでクライマックス。栄光の架橋はもろかった。
「ほっほっほっほっまだまだ小僧どもじゃが少しは楽しませてくれそうじゃの」
撃破の光景を眺めていた正影は振り返り九衛門の方に矛先を向けた。
「これはご家老様、なんの御戯れで?」
「蛾眉の奴は誤魔化せたが儂をだませると思うな。十六夜などという小姓、我が軍にはおらぬ。」
黙る九衛門に対し、素性も目的も聞かぬという正影。
ただおかしなことをしたら斬る。一筋縄ではいかない様子だった。
・エピローグ
全てが終わった後の道場の平穏な日常。キンジは今回の件で一つ思っていた。
「仲良くなったら戦えないだなんてあっしは本当に甘かったんでございやすね。凪ぼっちゃんのおかげでわかりやした」
そんなキンジに『じゃあ英語の宿題教えてよ!』と言う凪、どこまでちゃっかりものなのか。その要望も金輪際甘さは捨てるからお手伝いはしないと切り捨てられます。そして道場に好天の新たな矢文が……
『呑気に笑っておる場合ではない!晦正影は蛾眉とは違い一筋縄では倒せん。まず”天空のオトモ忍”を呼び覚まし、手懐けよ。それを手懐けた者こそがラストニンジャ最有力候補。すなわち、儂が終わりの手裏剣を託す者じゃ』
天空のオトモ忍。新たなキーワードが飛び出てきた。そして終わりの手裏剣を『託す』という言葉の意味は何なのか。
やはり好天が終わりの手裏剣を持っていたという事なのか。
ここからがラストニンジャレースの本当の始まり、伏線に伏線をばらまいてこれからどうなるのか。気になるところ!
◆忍びの13解説コラム
・1クール目は不遇を極めていた松尾凪という男
松尾凪というキャラクターは1クール目の手裏剣戦隊ニンニンジャーでは不遇の立ち位置だった。
忍びの3で個性となりそうな資格マニアのマニュアル人間属性が廃棄され、その後の立ち位置といえば没個性の量産型少年戦士。
竹内康博氏の超絶技巧アクションは輝いていたものの、それ自体が戦闘シーンのメインディッシュになる事はありませんでしたし、末っ子特有の愛嬌をふりまこうにも『レッドの妹』という絶対的な立ち位置に伊賀崎風花が居たため凪ならではの輝きというものを確立できず、挙句の果てに忍びの11で「スターニンジャーのキャラが濃すぎて自分なんて忘れられそう」と自虐する始末。
そんなこんなで不遇のイエロー戦士・キニンジャー/松尾凪だったが今回、『合わせるのが得意』という協調性の鬼としてパワーを発揮しつつ、ちゃっかり者という個性を発揮してのけたのが非常に良かった。
個性が衝突するスーパー戦隊において属性の棲み分けは難しい、しかしながら忍びの13を契機に凪は凪なりの輝きを発揮し始めます。
今後も凪の事を見守って頂ければ幸いです。
◆今回の見どころアオニンジャー
今回は見所少な目ですが、最後の団欒シーンで八雲と霞で仲睦まじく机を囲む所が凄い良かったですね。
◆編集後記
・久々の復刻FA
地味にお気に入りの漫画、俗称・最終痴漢くす玉漫画。今回のラストで仲睦まじく机を囲む青桃にてぇてぇフィルターを作動させたい気持ちを抑えた結果、八雲が酷い目に遭う漫画が産まれてしまったという事故。素直にてぇてぇキャッキャした方がマシだったのかもしれないと思いますがまぁいいでしょう。
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