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ベタのコショウ病に対する対処法

赤ベタの頭部に金粉をまいたような粒々が発生しました。
「やばい、コショウ病だ」と反射的に思いました。
今回は、コショウ病のメカニズムと一般的な対処法について紹介します。

コショウ病のサイクル


コショウ病の原因はウーディニウムという鞭毛虫です。
ウーディニウムの子虫である「遊走子」は、魚体に寄生しphoront(ホロント)に成長します。
このホロントがコショウのような斑点として確認できます。
ホロントは成長中のウーディニウムです。
ホロントが成虫になると、魚の体から離れCyst(シスト)化します。
個体から離れた成虫は、シストの中に胞子を作り寿命を終えます。
この胞子が、やがて遊走子に成長しシストの殻を破って再び魚体に寄生します。
よって、コショウ病のサイクルは「遊走子→ホロント→シスト→遊走子」となります。
まさに無銀ループですよね。
このサイクルは大体、5~10日間程度です。
ちなみに遊走子は、48時間以内に魚体に寄生できないと自滅します。
つまり理論的には、このサイクルのいずれかを断ち切ればコショウ病を治療できます。

コショウ病の治療方法


コショウ病のメカニズムを理解した後は、具体的な治療法について紹介していきましょう。

ニチドウグリーンFリキッド100mlの使用


コショウ病を治療するには、ウーディニウムの成長サイクルを止めることが重要です。
そのひとつが、「ニチドウグリーンFリキッド200ml」を利用する方法です。

グリーンFリキッドは、遊走子を駆除します。
逆に硬い殻で覆われたCyst(シスト)には効果がないと言われています。
よって、シストが無くなるまで治療を継続しないと完治にはいたりません。
グリーンFリキッドが効いたり、効かなかったりするのもシストを見逃し、その見逃したシストから遊走子が発生し、再び魚体に取りつくからではないかと思います。
つまり、薬で魚体がきれいになっても、すべてのシストから遊走子が発生し駆除するまでは薬浴を継続しないと完全な治療は望めません。
そうなると、魚にもかなりの負担がかかります。
実際、薬浴中に亡くなってしまうベタも少なくありません。
使用上の注意を良く読んで実行するようにしましょう。

スポイトでシストを強制排除する


ガラス製のベアタンクで飼育していると良くわかるのですが、ベタがコショウ病にかかると底に粒のようなものがたまります。
これがシストです。
このシストを放置しておくと数百~数千個の遊走子が発生するので、その前にスポイトで除去します。
私は、ベタがコショウ病にかかった場合、朝と晩に水槽の底を集中的にスポイトで掃除します。
底にくっついている場合もあるので、スポイトで削り取って吸い取ってもかまいません。
2L水槽だと大体1回につきコップ一杯分となります。
この作業は、定期的な水替えと同時に行ってもいいです。
それでも、にごりやシストがひどい時は5分の4程度の飼育水を廃棄し、水槽の掃除を実行します。
廃棄した分は、またカルキを抜いた水を足しておきます。
シストを除去できれば、発生する遊走子の数も減らせますし、魚体に取りつけず自滅するものも出て来ます。
よって、徐々にコショウ病の原因であるウーディニウムを減らしていく治療法です。
数式で表すと、
0.9×0.9×0.9×・・・
で、いずれは限りなくゼロに近づくみたいな感じですね。
そして遊走子が、48時間以内に魚体に寄生できず全滅→完治がシナリオです。
この方法は、薬を使わないので魚に負担がかからないという点がメリットです。
しかし、病気の進行が進んでいる場合、間に合わないケースもあります。
また、この方法はベアタンクが基本となります。
シストは水草や床材、エアレーションの中にも侵入します。
そうなるとシストの除去は難しくなります。
そのようなケースでは、グリーンFリキッドを使用し、遊走子を駆除していくことになります。

唐辛子と塩浴を併用する


いわゆる民間療法のたぐいです。
唐辛子の成分である、カプサイシンは殺菌効果があると言われています。
塩も同様に殺菌効果があります。
魚に対しての負担も軽いので症状が軽い場合は、この方法から試す人が多いです。
唐辛子だと、大体10Lあたり1本と言われています。
1cm幅で切り刻み、空のティーバッグに入れて水槽に投入します。
唐辛子の中の黄色い種は取り出しておきましょう。
塩浴は水槽の容量に対して、0.5%程度と言われています。
よって10Lの水槽なら、50gの塩をカルキ抜きの水で溶かして投入します
淡水魚は、体から水を取り入れ、腎臓で塩分を吸収し、尿として排出します。
ただ病気の時は腎臓の機能が低下するので、塩分を吸収できず、血圧が低下し亡くなる危険もあります。
よって、塩を入れてやることで、血液中の塩分濃度を補えるようにしてあげます。
人間にとっての生理食塩水のようなものですね。
逆に塩分濃度が高すぎると、淡水魚は水を取り込めず脱水症状で亡くなります。
これは浸透圧が関係しているのですが、やや脱線するのでここでは触れません。
興味のある方は、ググッて調べてください。
また小型水槽内の水質は、餌の残りやフンから発生した亜硝酸やリン酸などでかなり強い酸性になりがちです。
塩は、強い酸性の水質を中和する効果もあります。
塩を使用する場合、味塩のようなアミノ酸が入っているものは避けましょう。
私は、「瀬戸の塩」を使用しました。
一般的に「粗塩」として販売されていうものを使用すれば問題ありません。

まとめ


結論として、コショウ病には「遊走子の駆除とシストの除去」が一番の対策です。
具体的には、グリーンFリキッドのようなメチレンブルー系の薬を利用した薬浴とベアタンクにおけるシストの除去が最適解だと思います。
ベタが弱っていたら、水量に対し0.3%程度の塩浴を加えてもいいでしょう。
また水槽内のウーディニウムを除去するためには頻繁な換水が必要になります。
正直、コショウ病を100%確実に完治させる治療法はありません。
結局は、飼っている人の自己責任で治療を行うしかないのが現状です。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。

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