🌼「幸せ」のカタチ③

 金木犀の匂い。あれからもう3年が経つ。俺は大学2年生になった。もう少しで二十歳を迎える頃のこと。

 俺の元に突然の訃報が届いた。

 中井が事故に遭ったらしい。どうやら交通事故に巻き込まれるカタチで、、、頭を強くうち、脳が動かない状態だそうだ。

 病院に急ぎ、病室の外で泣いている女性を横目に中井の元へ。「中井なのか、、?」

「………

 規則的な機械音、点滴のリズム、優しく話しかける中井の母の声、音に溢れた病室に、中井の音は無かった。
 中井は片親家庭で、母と暮らしていた。中井の母から、ありがとうと一つの頼み事。

「この子を連れて帰ってあげてくれませんか?」
 
 

 中井の彼女、「間所 栞」だ。

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