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小説「灰色の空が教えてくれたこと」
美咲は窓辺に立ち、どんよりとした空を見上げていた。雨粒が窓ガラスを伝う音が、静かな部屋に響いている。彼女は深いため息をつくと、机に向かった。
「今日も書けないかもしれない」
そう呟きながら、美咲はノートを開く。デビュー作で注目を集めた彼女だったが、2作目の執筆は難航していた。プレッシャーと焦りが、彼女の心を蝕んでいた。
ペンを握る手が震える。白紙のページを前に、美咲は再び窓の外を見た。すると、灰色の空の中に、一筋の光が差し込むのが見えた。
「そうか...」
美咲は静かに微笑んだ。曇り空は憂鬱だと思っていたが、実は違っていた。灰色の中にも、無限の色が隠れている。それは、彼女の物語にも言えることだった。
ペンを走らせ始めると、言葉が溢れ出した。主人公は、美咲自身のように迷い、苦しむ。しかし、その過程で自分の強さを発見していく。
時間が経つのも忘れ、美咲は夢中で書き続けた。外の雨は止み、薄明かりが差し込み始めていた。
「まだ道半ばだけど、少しずつ前に進めている」
美咲は満足げに書いたページを見つめた。曇った空が彼女に教えてくれたのは、希望は常にそこにあるということ。それは、微かな光のように、見つけるのが難しいこともある。でも、決してなくなることはない。
彼女は立ち上がり、伸びをした。窓の外では、雲の間から青空が少しずつ顔を覗かせていた。美咲は深呼吸をすると、新たな気持ちでペンを握り直した。
物語は、まだ始まったばかり。美咲の、そして彼女が生み出す世界の物語は、これからもずっと続いていく。