東日本最長片道切符 1日目 (2022年4月30日)
昨日の雨から一転、岩手山もはっきりと見える青空が広がる盛岡の朝を迎えた。これから8日間の東日本最長片道切符の旅が始まる。
盛岡駅のいわて銀河鉄道線のりばはJR線から少し離れた場所にある。このIGRに直通する花輪線もこの乗り場からの出発
出発地の好摩駅で一度下車したいがために、先にIGRの電車で好摩駅まで向かうことに。
いわて銀河鉄道で好摩駅まで乗車。この駅からJR花輪線が分岐していて、東日本最長片道切符の起点にもなっている。
好摩駅はいわて銀河鉄道の駅係員がいる駅で、最初に東日本最長片道切符を使って通る有人駅が別の会社だというのも不思議な感覚がある。
この黄緑の出札補充券を見せると、その時の好摩駅の駅係員は過去にこれと同じような好摩→小淵沢の乗車券を見たことがあって、JR東日本で一番長い乗車券だという話を少ししたり。
ところがここで一つ、花輪線に向かう汽車が途中の倒木により一部区間で運転を見合わせていることを駅係員より知り、早速先行きが不明になりつつあるが、この駅から8日間かけて、約4200㎞一つの鉄道会社だけで完結する一番長い片道乗車券のはじまりである。
早速途中での見合わせが確定しているが花輪線に乗車。
キハ110の2両と東日本でよく見る気動車である。同じ会社である以上この先何度も同じ車両に乗ることになる。
車内には全く人がいないという訳では無いが、多いわけでも無い。大型連休なのか汽車好きの利用者が多いように思える。
4月もこの日で終わりだが、雪がまだそこそこ残っており、実際この日の朝の盛岡の気温は4℃で、上着は持ってなく薄着一枚ではかなり寒く感じた。
しばらくして途中の松尾八幡平でついに止まった。倒木はこの先の区間で発生したらしい。しかも列車と倒木が接触したために復旧にも時間がかかりそうに。
松尾八幡平駅で止まったが、周りにはコンビニ商店どころか自動販売機すら一台も無い場所なので、ただ駅か車内で待つ以外ない。
こういった無人駅でも自動販売機があったりする事もあるほど、日本は飲み物を買うには困ることは無いのだが、ここでかなり止まってしまっては飲むものも買えない。
とはいえ駅前からは青空と雪が多く残る八幡平の山がはっきりと良く見えて景色だけはとにかく良い。
その後、ジャンボタクシーによる代行輸送が手配されて大館までは自動車で向かう。乗っていた人のほとんどが終点の大館駅までそのまま向かうため、このタクシーでは松尾八幡平から大館駅まで途中無停車で結んだ。
更に山に入ると雪が完全に積もったままで、4月の終わりでも多く雪が残っていることを実感した。
大館駅まで直行するため、花輪線に並行している東北自動車道に入る。
盛岡と大館を結ぶという意味での花輪線の役割はこの東北自動車道に役目が変わったことを実感していた。列車がひっそりと走る区間と並走するように、東京と青森を結ぶ自動車道が出来てしまっては鉄路に勝ち目はない。
松尾八幡平から大館まで、4-50分で到着した。花輪線ならもっとかなり時間がかかったとは思うが、東北自動車道を経由しあっさりと来てしまった。
元々花輪線の本数が少ないため、大館駅でかなり時間が空くことが確定していたため、この先乗る予定の列車には全く影響がない。
駅前にある秋田犬の里の広場では、少し前に渋谷駅前にあった東急初代5000系の車両、この色合いと車体から青ガエルと呼ばれた。
渋谷から大館までの青ガエルの大移動を経てこの広場へ。
東横線は桜木町が終点だった時の名残が残り、車内はほとんどそのままの雰囲気
渋谷駅前に保存されていた時の名残も残っていた。渋谷区の看板が大館市に
駅前の秋田犬の里では自転車も借りることが出来て、駅から少し離れた大館市の中心街へと行く。
借りた自転車で、駅から4㎞離れたところにある温泉『東の湯』、大館あたりも温泉の数が多くある。
大館市の街の中心は駅から離れていて、飲食店もこちらの方が多い。昼食は先ほどの温泉からすぐ近くの店で稲庭うどんと比内地鶏の親子丼のセットと秋田で名のある食事に。
4月の終わり、大館市の桂城公園は桜もまだ残る。城跡に公園があり、大館の中心街に位置する。
桂城公園のすぐ向かいには秋田犬会館があり、外には秋田犬が数匹くつろいでいて、中は秋田犬と人間の暮らしや歴史について色々と知ることが出来る場所になっている。
先ほどの渋谷にあった東急初代5000系が大館に来たのも、忠犬ハチ公として銅像にもなっている、渋谷駅前で二度と帰らぬ主人を何年も待ち続けた秋田犬のハチによる繋がりがあってのことだった。
大館の駅前に戻り、奥羽本線では無い線路を見かける。
2009年(旅客は1994年)に廃止された小坂鉄道の線路である。今でも線路がそのまま残されている区間が多く、秋田犬の里の敷地内では手漕ぎのトロッコを動かしたりすることも出来る。本物の鉄道信号機が残されていたりと、見に行くだけでも魅力を感じる場所である。
改修工事によりホームの屋根が無くなっている、大館駅から特急つがる4号に乗車。E751系に乗るのはこれが初めてだった。交流専用という特性からかE751系は特急つがるでのみ使われていて、乗る機会があまりない。
普通車の座席は同時期に出てきたE653系とほとんど変わらない構造だが、色合いが異なっていたりする。
奥羽本線の田園風景をひたすら進む
つがるを東能代駅で下車し、五能線に乗り換え。
駅にはバスケットボールのゴールがあり、能代市にある能代科学技術高校(旧:能代工業高校)はバスケットボールの強豪校として有名である。
能代工業のバスケットボールがどれぐらい強かったかというと、漫画スラムダンクのライバル校として有名な山王工業のモデルになったぐらい。
東能代から日本海沿いを通る五能線を経由するリゾートしらかみ5号に乗車
奥羽本線経由よりも長く時間はかかるが、日本海の風景が間近に広がる風景を楽しめる鉄道線でもある。
観光列車としては珍しく、ほぼ毎日運転の列車で、五能線内の利用でも普通汽車に乗るより使いやすい。
3種類あるうちの青池編成が来て、この車両の座席車に乗車するのはこれが初めてである。
何より窓の一枚が大きく、五能線の日本海、津軽平野の風景がより楽しめるつくりになっている。
今回は座席車、他にも半個室のボックス席もあったりする。
青池編成だけでは無いが、座席の前後間隔がとても広くリクライニングも深く倒すことに差支えが無い。
リゾートしらかみには青池、橅、くまげらの3種類の車両があり、青森↔秋田を4時間以上かけて走る長時間の列車だが、それぞれ違う車両で3往復が運転されている。
東能代を出発してしばらくすると、日本海のすぐそばを沿うように五能線は走る。この日は一日晴天で、太陽の光が海の小波へと反射し、海を見るにはかなり良かった。
一番前と後ろはフリースペースでスタンプ台もあり、編成ごとに異なるスタンプが置かれている。色も青池は青色、橅は緑色と分けられている。
リゾートしらかみは2022年で25周年を迎え、この青池編成は2代目の新しい車両である。
五能線の深浦駅で、秋田行のリゾートしらかみと行き違いにより約15分の停車、駅の外へと出てみる。駅からすぐ日本海に出る場所にあり、青森県で一番西の深浦町の中心でもある。
直ぐ近くに日本海に面したコンビニがあり、しらかみ5号の停車中に立ち寄ることも出来る。リゾートしらかみは乗車時間が長いが青池編成には車内販売や売店が無いので、途中で買い足すことが出来るのは大きい。
深浦駅で交換した秋田行リゾートしらかみは橅編成。どちらも新しいハイブリット車両
ただ海岸線が広がるだけでは無く、険しい岩々が並ぶ風景もまた日本海にあっている
深浦駅から少し進むと千畳敷駅に到着し、リゾートしらかみでは15分停車し駅前の千畳敷を直接見に行くことが出来る。
隆起した岩肌に、潮の満ち引き日本海の荒波により岩が削られていきこのような特徴的な風景を自然が作りだした。
リゾートしらかみは4時間以上の長時間列車だが、このような途中で降りることが出来る時間もあって飽きが来ない。
日本海を離れ列車は津軽平野に、夕刻の田園風景を大きな窓で。
りんご畑と岩木山の津軽平野の風景を目の前に、日本海だけが五能線の魅力ではない。
弘前駅に着くころには夜になっていた。
五能線から奥羽本線の青森方面はそのまま行けるのだが、弘前に立ち寄るためだけに二回方向を変える変わった経路を通る列車である。
五能線と奥羽本線の接続駅である川部で方向を変えて弘前へ、弘前を出るとまるで方向を間違えたかのように川部へ戻り青森方面へと進む。
青森駅の一つ手前の新青森で降りて新幹線に乗り換える。仙台行の最終はやぶさで南へまた進む。
新青森駅にある、りんご果汁100%の飲み物だけが売っている自動販売機は大型連休の今日はふじだけが残っていた。
はやぶさは全席指定であるが、全席指定の列車しか運転が無い青森-盛岡では特定特急券が発売されている。指定席料金分が引かれていて安く普通車の空席を利用することが出来る。
この列車はかなり空いていたので、途中で指定の人が乗ってくる心配も無く、特定券で盛岡まで同じ席で過ごせた。
今朝出発した盛岡駅へとまた戻ってきた。因みに泊まる宿は昨日と同じで、国内の旅で連泊したのは実は今回が初めてである。
盛岡駅ビルで夕食、しらかみ等での酒の〆を兼ねて冷麺を食べて今日は終わった。最初はそのままで段々とキムチをスープに溶かし食べるのが良い。
今日の東日本最長片道切符の経路
好摩→花輪線→大館→奥羽本線→東能代→五能線→川部→奥羽本線→新青森→東北新幹線→盛岡
2日目へつづく
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