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遊戯王MasterDuel チーム対抗戦2024DEC~これが結束の力だ~ 参戦レポート
みなさんこんにちは.沙里葉です.
今回,ありがたいことに遊戯王MasterDuelのチーム対抗戦「これが結束の力だ」に参戦させていただけたので,レポートを執筆したいと思います.
よろしければ,最後までお付き合いください.
今回は趣向を変えて,以下,「だ・である」調で行きます.ご理解ください.
はじめに
2024年12月8日、アプリゲーム「遊戯王マスターデュエル」の大型大会「チーム対抗戦~これが結束の力だ~」が開催された。
https://www.konami.com/yugioh/masterduel/teamcompetition/
この大会は、環境トップデッキをはじめとした様々なデッキを駆使したプレイヤーたちが全国から集まり、己の技量をぶつけ合う真剣勝負の場であった。
筆者にとってこの大会は、約4週間のデッキ調整と実戦的な練習の成果を試す絶好の機会であり、同時に自身のプレイングスキルを客観的に測る場でもあった。
大会形式
まずは,大会の概要について整理する.
試合形式: BO1(1本勝負)
持ち時間: 各プレイヤー300秒(マスターデュエルアプリ規定に準ずる)
進出条件: チームの勝利で「3ポイント」獲得.これを基に予選順位を決定、上位8チームが決勝トーナメントに進出。
参加人数: 68チーム198名.
この大会のスイスドロー6回戦を戦い抜き、決勝トーナメント進出を目指すという目標のもと、筆者は綿密な準備を行った。
デッキ選択の背景
筆者が本大会で選択したデッキは「魔術軸覇王魔術師」である。
このデッキはペンデュラム召喚を基盤とし、高い展開力と柔軟な戦術を兼ね備えたデッキである。
![](https://assets.st-note.com/img/1733938639-VCZc4Dy1dow3kA6Lmt0zeTuh.png?width=1200)
本来、筆者が所属するチームの方針としては「メタビート」デッキの使用が基本であった。しかし、以下の理由から特例として「覇王魔術師」の使用が許可された:
統計データによる勝率の高さ
約3週間にわたるオンライン対戦と模擬試合の結果、「覇王魔術師」の勝率が他の候補デッキを大きく上回ったことが採用の決め手となった。柔軟な戦術性
「サモンリミッター」「EM 五虹の魔術師」など、メタビート軸でも採用されるカードを取り入れることで、「メタビートチック」な戦い方が可能であった。この柔軟性は、環境デッキへの対応力を向上させた。クロノグラフの緩和
展開に寄与する「クロノグラフ・マジシャン」が無制限に緩和されることが追い風となった.クロノグラフが無制限になることで,展開にクロノグラフを使用した場合でも天空でクロノグラフがサーチできるし,エレクでクロノグラフを割っても2枚目がアストログラフでサーチできるようになるため,非常に強力である.未実装カードの存在
覇王魔術師にとって脅威である,「マルチャミー・フワロス」「霊王の波動」が未実装であったことも覇王魔術師を選択する戦略的根拠になった.筆者は,遊戯王OCG24;07環境において「マルチャミー・フワロス」「霊王の波動」を採用した天盃龍にまったく勝てなかったので,非常に重要な尺度であった.
覇王魔術師の使用を許可いただいたチームリーダー・あすかん氏には,改めてこの場を借りて深く感謝申し上げる.ありがとうございました.
他のデッキ候補
「覇王魔術師」の選択に至るまでには、以下のデッキも候補として検討された:
永続神碑
神碑デッキをベースに、永続罠を駆使する構築を検討した。しかし、以下の理由で採用を断念した:大会当日のメタ読みが困難であった。(実際その通りだった,大会当日4日前に爆弾改定があったからだ…)
後手を取った場合の勝率が著しく低かった。神碑はメインギミックによる巻き返しが他のデッキより困難なため,後手の勝率は正直芳しくなかった.
環境に刺さる永続カードを十分に用意できなかった。ただ今思うと「暴君の暴言」などを軸にすればよかったのではとも思う.
メタビ魔術
将軍CSなどで結果を残されているduelist氏の構築を参考にしたメタビート軸の魔術師デッキである。このデッキは非常に強力であるはずなのだが、筆者自身のプレイングに問題があり、特に先手を取った際に勝ちきれない試合が多発したため採用を見送った。
模擬試合と準備
筆者は大会前、知り合いとの模擬試合を通じて「天盃龍」などの環境トップデッキへの対策を徹底的に練った。
ご存知の通り,「天盃龍」は圧倒的なまでの自由枠の多さによる誘発・捲り札の多数採用およびメインフェイズ・バトルフェイズ中の展開が極めて強力なデッキであり、その対応には特に力を入れた。
「天盃龍」への対策 「天盃龍」は,「盃満ちる燦幻荘」の効果によりメインフェイズ1において無敵で展開できる能力を持つ。このため、以下のカードを活用して対策を試みた:
《サモンリミッター》: 相手の連続展開を封じる。サモンリミッターはプレイヤーに作用する効果のため,「盃満ちる燦幻荘」の発動下であっても相手を拘束可能である.
《五虹の魔術師》: 相手のモンスター効果および攻撃を封じる.「覇王魔術師」であれば,メインギミックを通じて五虹の魔術師にアクセス可能である点を高く評価している.
模擬試合の戦績 実際の模擬試合では、天盃龍相手に勝率4~5割程度と苦戦を強いられた。以下の課題が特に顕著であった:
手札誘発の多重打撃
「D.D.クロウ」「幽鬼うさぎ」などの手札誘発が多重に打たれ、展開が機能不全に陥ることが多かった。後攻からの巻き返し
「禁じられた一滴」「ライトニング・ストーム」「レッド・リブート」など、強力な除去カードで盤面を返されるケースが頻発した。
印象的な試合 模擬試合の中でも、「クロノグラフ・マジシャン」の規制緩和により、相手ターン中に粘り強く展開して勝利をつかんだ試合が印象に残っている。この試合では、天空でサーチしたクロノグラフの相手ターン中の展開によって天盃龍モンスターの猛攻を耐え凌ぎ、3ターン目に繋げることに成功した。
目標設定
筆者が掲げた目標は以下の通りである:
予選突破(決勝トーナメント進出)
チームとして予選を突破し、決勝トーナメントへの進出を果たすことを最大の目標とした。環境トップデッキへの挑戦
天盃龍といった環境トップデッキに対し、「覇王魔術師」がどこまで通用するかを試す。
デッキ構築のコンセプトと採用基準
デッキ構築のコンセプト
「覇王魔術師」はペンデュラム召喚を基軸とした展開型ミッドレンジデッキであり、「魔術師」モンスターの対応能力の高さを活かしつつ自身の強力な展開を通すことを目指したデッキである。今回は大会の環境を考慮し、以下のポイントを意識して構築を行った:
初動の安定性を高める
初手で安定して動けるよう、サーチカードや展開札を多く採用した。具体的には「覇王眷竜ダークヴルム」「クロノグラフ・マジシャン」「調弦の魔術師」をフル採用し、展開の初動を保証する構築を採用。後手からの対応力を確保する
汎用カードとして「灰流うらら」「増殖するG」を採用。後手でも相手の展開を止め、逆転できる可能性を高めた。さらに、「紫毒の魔術師」「黒牙の魔術師」なども採用し、メインギミックで後手から巻き返せるようにプランニングした。環境トップデッキへのメタを意識する
「天盃龍」「ギミック・パペット」「レスキュー・エース」など、環境トップデッキに刺さる「EM 五虹の魔術師」「サモンリミッター」をメインデッキに採用。
採用カードの詳細
EM 五虹の魔術師
採用理由: 天盃龍やギミック・パペットといったモンスター効果依存デッキに刺さるメタカード。
使用感: 非常に拘束力が強く,強力であった.特にラウンド4のユベル戦では相手の動きを完全に封じ、試合を優位に進めることができた。
クロノグラフ・マジシャン
採用理由: 規制緩和により採用枚数を増加。初動の安定感向上に寄与し、「P前エレク」「P前軌跡」の安定感を高めるために採用。また、「時読みの魔術師」も併せて採用した。
使用感: ラウンド1で、レスキュー・エースのフル展開を巻き返すために使用した。(実際はリソースの差で敗北したが)
サモンリミッター
採用理由:天盃龍相手に誘発で展開を止められても0妨害にさせない為に採用。「覇王魔術師」はP召喚が使えるため、サモンリミッターの影響下であっても多数のモンスター出力が可能なため相性が良い。
使用感:大会当日は使用機会が無かったが,模擬試合では何度か使うことがあった.特に「天盃龍」対面で強力であり,その他の展開型デッキにはクリーンヒットした.ただ一方で,「ラビュリンス」等のコントロール系デッキには刺さりが悪かった.
採用を見送ったカード
覇王龍ズァーク
検討理由: ゲームエンドを狙えるフィニッシャーであり、「増殖するG」に対する強力な止まりどころである。
採用見送り理由: メインデッキに「オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン」「覇王天龍の魂」など初動に寄与しづらいカードを採用する必要があり、大会のBO1環境では初動の安定性を優先したため。
スキルドレイン
検討理由: 天盃龍やその他大多数への有効性。
採用見送り理由: 「EM 五虹の魔術師」で同等の効果を得られるため。また,「I:Pマスカレーナ」「フルール・ド・バロネス」等の自軍のモンスターも無力化してしまうため.
魔法族の里+竜剣士マジェスティP+イグニスターP(里ロック)
検討理由: 強靭なロック性能.刺さらない対面が少ない.
採用見送り理由:以前私のnoteでも執筆したが,展開が通った場合でないと使えないプランのため.また,イグニスターPをS召喚すると星刻の魔術師やフルール・ド・バロネスが出しづらくなってしまうため.
スイスドロー各ラウンドの戦績
以下にスイスドロー6回戦の戦績をラウンドごとに記録し、それぞれの勝因・敗因を詳しく分析する。
VS. レスキュー・エース (R-ACE)
結果: 敗北
展開のポイント:
相手のレスキュー・エースによるフル展開を通してしまい、盤面を制圧される形となった。一発逆転を狙って「超天神龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン」の効果を発動したが、「墓穴の指名者」によって無効化され、リソースを失ったことが致命的だった。敗因分析:
相手の初動を妨害できず、こちらの逆転手段も封じられる形で試合が進んだ。特にレスキュー・エースのフル展開を防ぐための手札誘発や制圧カードを引けていなかった(というよりそもそも採用していなかった)ことが課題。
VS. 60枚インフェルノイド
結果: 敗北
展開のポイント:
こちらが「五虹の魔術師》を発動していたが、相手がカードをセットした際に優先権を返してしまい、「五虹の魔術師》のロックが解除されてしまった。この致命的なミスにより、相手の展開がフルで通り、逆転の糸口掴ませてしまった.敗因分析:
プレイミスが大きな敗因となった。特に,相手がカードをセットした際に優先権を返すことなく「時空のペンデュラムグラフ」で破壊するプレイングを理解し、優先権の管理を徹底すべきだった。
VS. キマイラ
結果: 敗北
展開のポイント:
後手を取った上に、相手に「増殖するG」を撃たれてしまったことで,これによるアドバンテージ差を覆せなかった。「ガーディアン・キマイラ」の融合召喚を止められず,キマイラモンスター効果の連鎖的なアドバンテージで主導権を握られ、試合中盤にはほぼ対抗手段が尽きていた。敗因分析:
後手での対応策が不十分であった点が敗因。特に手札誘発による展開阻害を採用しておらず、手札の噛み合いも今ひとつ悪かったためリソース差・アドバンテージ差が広がってしまった。
VS. ユベル
結果: 勝利
展開のポイント:
初手の展開がフルで通り、「五虹の魔術師》によるロックが相手に効果的に刺さった。ユベルデッキの主力展開を全て封じ込めたことで、相手はリソースを回復する余裕を失い、こちらが有利を維持したまま勝利。勝因分析:
完璧な展開とロックカードの活用が勝因。特に「五虹の魔術師》がユベルデッキの特有のリソース回復能力を完全に封じた点が大きかった。
VS. 天盃
結果: 勝利
展開のポイント:
相手のディメンション・アトラクター適用下において,「燦幻開門」に対して「灰流うらら》を通したことで相手の動きを完全に止めた。その後、ペンデュラム召喚で盤面を制圧し、勝利を収めた。勝因分析:
正直にいうと運の要素が強かった.灰流うららが引けていなければ間違いなく負けていた試合である.特に相手の初動を止めることでアドバンテージ差を広げることができた。
VS. 天盃
結果: 敗北
展開のポイント:
初手で誘発を2枚受け、妥協展開として「スプライト・エルフ》+「フルール・ド・バロネス》の盤面を形成。しかし、相手の「禁じられた一滴》と《D.D.クロウ》により盤面を崩され、そこから一方的に殴られ敗北した。敗因分析:
妥協展開を強いられた上に、相手の捲り札が強力だった点が敗因。五虹やサモンリミッターに頼らず,さらに先手を強化するカードやプレイングの見直しが必要。
総括
6回戦のスイスドローで2勝4敗という結果に終わった。チームは4勝2敗できていただけに,申し訳なく思う.
本大会での敗北の多くは、プレイミスや後手からの対応力不足が原因であった。特に「EM 五虹の魔術師」の運用(というよりはMD特有の操作)や相手の誘発に対する耐性の強化が、今後の課題として浮き彫りになった。
初手に引いているカードと勝率との関係
本大会ならびに本大会に至るまでの過程では、初手情報を記録していた。
らっふぃ氏のSpreadSheetの「備考」欄にである.
これを踏まえて,「初手で特定のカードを引いていた時とそうでない時の勝率の差」の計算が可能になった.これは非常に強力なアプローチで,ヤマカンや当てずっぽうではなく客観的に該当カードの勝利への寄与率を判定可能になった.
以下は、本分析のために使用したPythonスクリプトである。このスクリプトでは、初手に特定のカードが含まれているかを判定し、その有無ごとの勝率を計算している。
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
import japanize_matplotlib
# Load the cards and result data
cards_file_path = './csv/cards.csv'
result_file_path = './csv/result.csv'
cards_df = pd.read_csv(cards_file_path)
result_df = pd.read_csv(result_file_path)
# Step 1: データ前処理
# カードリストの取得
card_list = cards_df['cards'].tolist()
# 勝利カラムを数値に変換
result_df['勝'] = result_df['勝'].apply(lambda x: 1 if x == 'WIN' else 0)
# デッキリストの取得
deck_list = result_df['自分デッキ'].unique()
# Step 2: デッキごとに勝率計算
all_results = {}
for deck in deck_list:
print(f"現在のデッキ: {deck}")
deck_data = result_df[result_df['自分デッキ'] == deck] # デッキごとにデータを分割
# 備考欄が空欄の行を除外
deck_data = deck_data.dropna(subset=['備考'])
deck_results = {}
for card in card_list:
# contains_card列の作成
deck_data['contains_card'] = deck_data['備考'].str.contains(card)
# True/Falseごとの勝率を計算
win_rate = deck_data.groupby('contains_card')['勝'].mean() * 100
deck_results[card] = win_rate
all_results[deck] = deck_results # デッキごとの結果を保存
# Step 3: 可視化
# デッキごとにカードの勝率を可視化
for deck, results in all_results.items():
for card, win_rate in results.items():
if win_rate.empty:
continue # データがない場合スキップ
win_rate.plot(kind='bar', figsize=(8, 5), color=['skyblue', 'orange'])
plt.title(f"{deck} - {card} の初手時の勝率")
plt.xlabel("カードが含まれているか")
plt.ylabel("勝率 (%)")
plt.xticks([0, 1], ['含まれていない', '含まれている'], rotation=0)
plt.tight_layout()
plt.savefig(str(deck)+str(card)+'.png')
plt.show()
その結果、以下のカードが勝敗に与える影響が明確になった。
![](https://assets.st-note.com/img/1734090059-ukEY1qizs0UJl6RQjct5AMBx.png?width=1200)
「増殖するG」「灰流うらら」「虹彩」「ダークヴルム」が初手にある場合,若干ではあるが勝率が向上していた.
汎用手札誘発カードの影響
《増殖するG》や《灰流うらら》といった汎用性の高い手札誘発カードが初手にある場合、相手の展開を抑制しやすいため、勝率が向上していることがわかる。キーカードの存在
《虹彩の魔術師》や《覇王眷竜ダークヴルム》は「覇王魔術師」の展開において重要な役割を果たしており、これらのカードが初手にある場合の安定性が高い。特に私は,ダークヴルムP効果を連打することが多く覇王門の魔術師を絡めた展開をすることが多いため,その傾向にあると考えられる.勝率の改善可能性
本結果を踏まえ、特定カードの初手構築率を高めることで、さらなる勝率向上が見込める。特に、《増殖するG》や《灰流うらら》をはじめとした「手札誘発」は、相手デッキを問わず有効であるため、採用枚数の増加を検討する価値がある。
それ以外の結果も掲載しておくので,興味のある読者は見てほしい.
![](https://assets.st-note.com/img/1734090143-XCV3wbf0SNMoQv1HncPDLsuB.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734090147-FDtuUphvLqXgiZONGsIeJ1AE.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734090150-rcn2a1PUgOWziouj0wsb8ElL.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734090159-VK92y7rkIHXOT0JWcDabBx8d.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734090164-N0ksEb7PfXUjAGCSRl6rW3oi.png?width=1200)
大会を振り返って
総評
今回の大会を通じて、筆者は普段のランクマッチでは得られない多くの刺激を受けることができた。対戦相手一人一人が非常に練られたプレイングを見せ、特に誘発や妨害カードの使い方、優先権の管理において明確な差を感じた。試合中のシビアな駆け引きや、ギリギリの勝負が続く中で、自分の実力が試されることに喜びを覚えた。
成功した点
デッキ選択の正しさ
本大会では、未実装カード(例: 「マルチャミー・フワロス」「霊王の波動」)が多い環境において、「覇王魔術師」の展開力が他のデッキに対して有利に働くと判断し、このデッキを選択した。この選択は正しく、特に「五虹の魔術師」を採用する構築は、相手を完封する上で大きな成果を上げた。展開力を活かした試合運び
展開さえ通ればほぼ勝利に繋げられる覇王魔術師の強みを発揮できた。特にラウンド4のユベル戦やラウンド5の天盃戦では、このデッキの持つ圧倒的な展開力と《五虹の魔術師》による制圧が試合を決定づけた。大会の緊張感に適応できたこと
普段のランクマッチとは異なり、大会特有の緊張感や相手の練られたプレイングに対しても比較的冷静に対応できたことは、大きな成長につながった。
課題と反省
後手での対応力不足
ラウンド1やラウンド3のように、後手で何もできずに敗北する試合が少なくなかった。手札誘発カードの採用を真剣に検討する必要がある。プレイングの精度向上
《五虹の魔術師》の効果を正しく発動できなかったラウンド2のように、優先権の管理や細かいプレイングの精度が課題として浮き彫りになった。特に天盃対面での妥協展開時に、どのようにリソースを最大化するかを研究する必要がある。デッキ選択の幅の狭さ
「覇王魔術師」に特化した練習が功を奏した一方で、コントロール寄りのデッキ(例: 神碑や真竜)に対する知識や慣れが不足していると感じた。メインデッキ以外の選択肢も練習し、より柔軟にメタ環境に対応できるようにすることが次の課題である。
次回に向けた展望
後手対策の強化
手札誘発カード(例: 「無限泡影」「エフェクト・ヴェーラー」)を積極的に採用し、後手からでも盤面を返せる構築を目指す。新たなデッキの練習
覇王魔術師だけでなく、神碑や真竜のようなコントロール寄りのデッキにも慣れ、環境や対戦相手に応じた柔軟なデッキ選択を可能にする。プレイングとメンタルの鍛錬
シビアな勝負が続く中での冷静な判断力をさらに磨くため、模擬試合の機会を増やし、さまざまなシチュエーションを想定したプレイングを学ぶ。
今回の大会は、結果としては満足のいくものではなかったかもしれない。しかし、プレイヤーとしての成長に繋がる多くの学びがあった。次の大会では、今回得た課題を克服し、さらなる高みを目指していきたい。
読者への啓発: 次の大会に向けた準備の心得
私は遊戯王OCGにおいてよく大会に参加しているが,OCG・MD問わず大会への挑戦は、自分自身の成長を試す貴重な機会である。
同時に、どのようなデッキを選択し、どのように準備を進めるかによって結果が大きく変わるのもまた事実だ。
以下に、大会参加を目指すデュエリストのために、構築やプレイング、環境分析の具体的な指針を示す。
環境分析を徹底する
大会環境を正確に把握することは、デッキ選択の成否を左右する最重要要素である。以下のポイントを抑えて環境を分析しよう:
メタゲームの把握
大会前のランクマッチや他の大会で流行しているデッキを確認し、環境トップデッキを特定する。例として、今回の大会では「天盃龍」が多く、これに対応できるデッキが求められた。未実装カードの影響
Master Duel独自の環境では未実装カードが存在することを念頭に置くべきである。筆者が「覇王魔術師」を選択した背景には、「霊王の波動」や「マルチャミー・フワロス」といったカードが未実装であることも影響している。大会直前の規制改訂
規制改訂が大会のメタゲームに与える影響を見極めよう。直前に採用率の高いカードが規制された場合、その影響を受けないデッキが有利になる可能性が高い。また,その逆も然りである.
デッキ選択の基準を定める
デッキを選択する際は、以下の基準を念頭に置いて検討しよう:
初動の安定性
初手で展開できる可能性が高いデッキを選ぶべきである。「覇王魔術師」は、「覇王眷竜ダークヴルム」や「クロノグラフ・マジシャン」などの安定した初動カードを活用し、展開の確実性を高めている。メタビート等のデッキは引き運の良し悪しの影響が大きすぎるので正直あまりおすすめしない.メタへの対応力
汎用性の高いメタカードを採用できる構築が求められる。例として、「五虹の魔術師」「サモンリミッター」,あとは今回は採用していないが「ディメンション・アトラクター」は、環境トップデッキに対する有効な対策であった。後手対応力
後手を取った際にも戦えるデッキが重要である。「禁じられた一滴」「三戦の才」「増殖するG」など、後手からの対応策を確保しよう。
プレイングの精度を高める
デッキ選択が正しくても、プレイング次第で試合結果は大きく変わる。以下の要点を意識して練習に取り組もう:
優先権の管理
カードの効果発動タイミングを正確に把握し、優先権を有利に使う技術を磨くべきだ。筆者もラウンド2で「五虹の魔術師」影響下での「時空のペンデュラムグラフ」のタイミングを誤ったことで敗北を喫した。展開の選択肢を増やす
相手の妨害を考慮しながら、複数の展開ルートを模索する練習を行う。特に、「灰流うらら」「エフェクト・ヴェーラー」「無限泡影」等の手札誘発を1回ないし2回受けたことを想定した展開練習はしても良いと思う.リソース管理
長期戦を見据え、リソースを適切に配分する。特に手札誘発カードの使いどころを見極めることが勝敗を分ける。
チーム戦への意識
もしチーム戦形式での大会に参加する場合、以下の点に注意しよう:
チーム全体の戦略を共有
個々のデッキ選択が全体としてバランスが取れているかを確認する。メタビート、展開デッキ、後手対応デッキを適切に分散させることで、安定感が増す可能性がある。役割分担の明確化
自分のデッキがどのような場面で活躍するべきか、チーム内で共有しておく。筆者の場合、「覇王魔術師」は展開デッキの代表として採用され、環境トップデッキに強いメタカードを組み込む戦略を取った。
データ分析を活用する
これは非常に重要である.
勝率や初手カードの影響をデータで分析することは、デッキ構築の精度を高める上で非常に有効である。
以下のスプレッドシートが非常に使い勝手が良かったので,興味のある人は試してみてほしい.
スプレッドシートでの管理
試合結果や初手カードの記録を付けることで、統計的に有利な構築を導き出せる。今回はそこまではやらなかったが,「初手に「増殖するG」があった試合で勝率が10%以上向上した」などのデータを元に、構築を調整できると考える.興味のある人は,上のスクリプトを使って初手の分析をしてみてほしい.ツールの活用
UserLocalのWebアプリやPythonなどのツールを使用して、データ分析を行うことで、フィードバックの精度が向上する。
結びに
大会は、単なる勝敗だけでなく、自分自身の成長を促す絶好の機会である。本記事で述べたポイントが,わずかでも後続の大会参加者の指針になれば幸いである。そして、大会参加を通じて得られる知識や経験が、読者自身のプレイヤーとしてのレベルアップに繋がることを願っている。
謝辞
今回の大会に参加するにあたり、多くの方々にお世話になりました。この場を借りて、深く感謝申し上げます。
まず、チームを組んでいただいた あすかんさん、みゆりさん、ありがとうございました。私が「メタビート」を握らないという暴挙を働いたにもかかわらず、快く許可していただき、本当に感謝しています。次回があるならば、メタビートを真剣に握れるよう努力したいと思います。
また、大会前の調整にお付き合いいただいた SSM君、BTB溶液君、root師匠、大蒜饅頭さん、ありがとうございました。不甲斐ない結果に終わってしまいましたが、お陰様で非常に濃密な調整期間を過ごすことができました。皆様のご協力に心より感謝いたします。
さらに、勝率が伸び悩んだ際にアドバイスをいただいた アスタリスク集会所 や デュエルサークル摩天楼 の皆様、ありがとうございました。特にアスタリスクのメンバーの皆様にはSpreadSheetの存在を教えていただき、データ分析を通じたフィードバックの精度が飛躍的に向上しました。貴重な助言をいただき、本当に感謝しております。
査読いただいた遊戯王数学会の皆様,ありがとうございました.
遊戯王数学会の毎日は刺激を受けっぱなしです.
何卒今後ともよろしくお願いします.
最後に、この記事を読んでくださった読者の皆様にも感謝申し上げます。皆様のフィードバックが次の挑戦への励みになります。これからも、より良い結果を目指して努力していきます。
付録:SpreadSheetの結果
![](https://assets.st-note.com/img/1733938524-T0eAPSxmrwD6fCZId9Oj8q2U.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1733938572-75EM3OfLlvRizQG6nhUCPWIq.png)