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ゴースト&レディを観劇したおじさんの感想文

ひっさびさのNOTE投稿は観劇感想文。

近頃インプットばかりでよくないなーと感じていた最中、人目に触れる部分で何かしら心に響いたものをアウトプットするのも大事よね?ということで。

さて、藤田和日郎先生の漫画の人生への影響力結構大きめなのでは?という自覚しているおじさんなんですけど、藤田先生の作品の一つである「黒博物館 ゴーストアンドレディ」が舞台化、しかも劇団四季が!
というだけで、チケ発売日に速攻でチケ購入し、先日晴れて観劇してきた次第。

一方で劇団四季はおろか舞台観劇の趣味など全くなく。
しかし、ここのところ、たまたま知人と映像化された2.5次元舞台を視聴する機会も重なるなどし、舞台観劇に魅力への感じてきたところでもあった次第。

ともかく積極的に前のめりで観劇しようとするのはこれが初であった劇団四季のゴースト&レディ。

会場は劇団四季専用劇場、「JR東日本四季劇場 [春] / [秋]」

劇団四季劇場そのものについてや周囲の景色の良さとか、まぁ色々あるのだけど、そこはひとまず割愛。

四季劇場の一角より。
テラスからこんな景色見えるのまぁ反則。



開園少し前に到着し、パンフとグッズをいくつか購入し開園と同時にロビーへ。
(なお、パンフの内容がまた良い。色々な角度から劇が楽しめるようとても知的好奇心くすぐられる盛りだくさんな内容)

事前に聞いていたけれど、女性客がとても多い。年齢層は割と幅広い感じではあるけど、とにかく多い笑

劇団四季がビジネス戦略の一環で男性客を増やしたい意図もあるそうで、青年漫画誌で連載されたゴーストアンドレディを原作に選んだそうだが、なるほどなぁ、と。
とはいえ他の作品と比較して男性客は多いという感想も見かけた。休憩中の男性用トイレ側にも待機列ができてた、という事がネタになるくらいには他作品では男性客が少ない様子なので、それなりに意図した通りになっているのだろう。

そんな中でなんとなく肩身の狭い感覚もありつつ、ロビーに飾られた原作作品の原作者サイン入りパネルやら拝見しつつ入場。

藤田先生のこういうところよ。良い。


席は2階席の左の端っこの方。
まぁ、なんにせよ初めての劇団四季劇場。
観劇のために作られた劇場は、そんな場所からも舞台が見渡せるよう設計されているのだろう。
不満に思うような見辛さはほぼなく。

開演前の間だけ、場内の撮影オッケーという事で、幕が降りた舞台を記念に何枚も撮る笑

舞台劇場の入場も初めてであったが、なんというか急勾配で前席の人が気にならないつくり。

そんな事をしていると、ふいに後ろの方から、息遣いのようなものと、カツーン、カツーンという足音が。

これは原作から知るファンとしてはたまらない演出。

本作の主人公であるグレイは、舞台観劇が好きな幽霊。ロンドンのドルーリー・レーン劇場に住み着き、彼が目撃された公演は必ず大ヒットするという都市伝説があるそうな。

つまり彼がやってきた、って演出なのだろう。
はい、もうたまらんです。

そして、開演の時は唐突に。
轟音と共に照明が落とされ始まった。(ビクッとなるほどに)

脚本、舞台演出、演技、衣装、ダンス、歌唱、全て素晴らしかった!
劇団四季初見かつ、これまでの人生で何か具体的にここが良かったとか言えるような舞台視聴体験、経験もロクにないので、この素晴らしさを讃える言葉に大変乏しいのがやるせない。
良い歳こいたおじさんが心揺さぶられ、堪えきれず涙腺崩壊した、という事実だけで自分の中では充分なのですが。

強いて原作ファンであるという点から言えるとすれば、脚本と一部の演出だろうか。

ざっくり言えば、かの偉人、フローレンス・ナイチンゲールの事がめちゃくちゃ大好きになってしまったゴースト グレイが、今や世界の偉人に名を連ねるフローレンス・ナイチンゲールの知られざる物語を彼女への愛とリスペクト盛り盛りで自ら舞台化したという設定の舞台であった。

原作の「黒博物館 ゴーストアンドレディ」では、
スコットランドヤードに実在する「黒博物館」の展示品、クリミア戦争時の遺物「かち合い弾」にまつわる逸話、フローとの思い出話をグレイマンが黒博物館の館長に語るという切り口で物語が始まる。

舞台では、この「黒博物館要素」はごっそり省かれていた。

そういえば、舞台のタイトルは単に「ゴーストアンドレディ」であった。なるほどなるほど。

そして舞台におけるその省き方の前提条件の作り方がまぁ、エモい。

幕が開き舞台に現れたグレイが、僕たち観客に自身の姿が見えている(幽霊なので基本的に常人には見えない設定)事に驚き喜び、それならばとグレイマン自身しか知らないフローの物語を舞台化したから観てくれ、という体で始まる。

これは上手いしエモい。
もはやズルいとすら感じた笑

ドルーリー・レーン劇場で恐らくは百年以上は舞台観劇をしているという舞台大好きなゴースト、グレイが自分で舞台劇を作った、それもフローの物語。
長年ゴーストやってて、お前さんフローの事どんだけ好きやねん、というエモさ。

フローとの実体験(ここでは原作を実体験と解釈)を舞台化し、グレイ自身がその中から特に伝えたかった事、フローという女性一個人の素晴らしさや思いを観客に伝えたい、それも限られた時間の中で行われる舞台、という解釈すると、まぁ、「かちあい弾」のお話はなくても成立するよね、と。

そしてラストでそれが伏線として回収されるとこまで非常にズルエモい笑

原作で館長に語った際のセリフとは異なっていたけれど、それについては、「ははぁん?グレイお前、館長の前では少し気取って斜に構えた盛り方しちゃったんか?え?っと、突っ込みたい」という解釈してしまった笑

「かち合い弾」のエピソードの他にも、省かれたエピソードや設定、登場人物がある一方で、原作とは違ってフィーチャーされた人物の登場などもあった。

原作にないお話などはフローが抱えた苦難の一端を約3時間という舞台の枠の中で理解させるための描き方なのだろうな?と解釈すると個人的にはスッキリしたし、原作では語りきれなかった一幕を舞台で披露した、とも解釈できるかな、と。

また原作では作者が解釈したフローの中にある闇というか狂気の一端も表現されていたけれど、そこは極めて薄味加減。
そのあたりは観客の好みで評価もわかれるかもしれないけれど、ほらそこはフローが好きすぎて舞台化成し遂げるほどのグレイの愛情フィルターかかっちゃってますから、仕方がないかー、と解釈。

あくまでグレイがフローリスペクト全開で作った舞台、という前提条件の元に解釈すると、舞台の床面に描きあしらわれた統計図だけでも、原作では特に語られなかった統計学の分野でも高く評価されたフローの一面、彼女へのリスペクトっぷりがほとばしってるわけで。

いやー、グレイさん、フローにベタ惚れやないすか笑

フローってめちゃくちゃええ女なんよ?な?わかるだろ?偉業成し遂げた?そうじゃねぇ、いや、そこも大事なんだけど、そういう事じゃねぇ。よし今から俺の舞台観てわかれよな?くらいのモチベーションなんだと思いますわ笑

そしてグレイさん、これは文字通りのホーム、ドルーリー・レーン劇場での公演を完全に狙ってきてますね?

「かち合い弾」が起こる確率より高いかもしれんです笑

と、グレイのナイチンゲールへの思い、みたいなものを脚本の軸にされ、虚実入り乱れた元々オモロい原作をちゃんとリスペクトされて作られた一流の劇団集団による舞台、オモロくないはずありませんでした。

ありがとう劇団四季!また観に行きます!(完)

#劇団四季 #黒博物館 #ゴーストアンドレディ #ゴースト &レディ

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