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自由との代償

なぜ人は争うのだろうか。
この問いに明確な答えなど存在しない。
答えが存在するならば、事実のみだろう。

先日、邦題「15ミニッツ・ウォー」を鑑賞した。

この作品は実話を基に描かれているが、一部脚色されているらしい。
舞台は1976年のアフリカ北東部にあるジブチである。
当時フランス最後の植民地であった場所だ。
そして物語は颯爽と進む。

軍関係者の子供を乗せたスクールバスが突如ハイジャックされる。
バスを乗っ取った数人のグループは独立派武装組織であった。
彼らの要求は投獄されている仲間の解放と植民地からの独立だ。
また要求に応じない場合、人質である子供の喉を切り裂くと脅す。

学校内では生徒を待つ教師ジェーンを演じるオルガ・キュリレンコが異変に気付く。

ジェーンの直感は的中する。

スクールバスが政治目的で乗っ取られた事を知ったジェーンは、勇敢にもバスが待機する場所へと向かう。

一方、フランス政府は秘密裏に特殊制圧チームを編成し現地へ向かう。
5人のメンバーはいずれも優れたスナイパーである。

スクールバス内に監禁状態の子供達は怯えるばかり。
そこへジェーンが武装組織のメンバーに子供達を解放する代わりに自分を人質になると伝える。
しかし武装組織はジェーンの依頼を断ると、ジェーンは子供達を気遣い自身も人質となる。

もはや交渉の余地はない様だ。
するとフランス政府が送った特殊制圧チームが現地に到着する。

緊迫した現場で武装組織を囲む軍隊の長に状況を聞き出す。
事の一部始終を知った特殊制圧チームのリーダー的存在のシェルヴァル大尉は、武装組織の数と同様に特殊制圧チームが標的を一人に絞り、一斉に急所を外さずに撃てば犠牲者を出さずに事が済むと現場の長に伝える。
しかし、現場だけの判断で物事は進まないと一旦は断られる。

事態は悪化するばかり。
長丁場となるとどちらかが不利になる。
出来る限り時間を無駄にする事なく、この場を終えたいとシェルヴァル大尉は切に願う。

いつでも標的を撃つ準備は万端だった。
だが、上からの指示が降りない状況だ。

標的に焦点を当てたままスナイパー達は暑さと緊張感と戦いながら耐え続けなくてはならなかった。

未だ上からの指示は消極的な状態が続く。
そこでシェルヴァル大尉は本能的動作で賭けに出る。

どう出たかは作品を鑑賞して欲しい。
この作品の優れた点は、現場での短い間の出来事を観る側に緊張感を与えつつも、時間を無駄にせず淡々と描いている所に見応えを感じる。

結果的に悲劇を招く事となる。
この事が要因となり、フランス特殊部隊GIGNが正式に発足されたそうだ。

それにしても、事実は儚いものだと改めて痛感した。
また事実だからこそ目を背けてはならないのだと。



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