月に代わってお仕置きよ♪
もしこうだったら、いや、こうしていれば…
俗に言われる「タラレバ」とい現象は日常ではありふれている。
仕方ないと言ってしまうと、それまでなのだが、人間は後悔があって学習する生き物なので、前向きになり考えを改めた方が良さそうだ。
で、「タラレバ」に相応しいかは別として、久しぶりに鑑賞した作品が、邦題「アイアン・スカイ」だ。
内容もさることながら、この作品にまつわる制作秘話が実に面白い。
先ず企画を決め、次に製作資金を作る為に国際映画祭で予告編を上映し、営業に漕ぎ着けてカンパを募り、日本円で約一億円を集めて制作された異色作でもある。
また内容がぶっ飛んでいる。
舞台は2018年とつい最近の出来事。
だが、上映された年は2012年なのだ。
従って未来を描いた作品でもある。
最も考えられた設定が、1945年ドイツ崩壊後に話が遡り、ナチス残党が月へ行き秘密裏に地球侵攻を計画しているといった内容なのだ。
現代(2018年)に戻り、アメリカでは合衆国大統領選挙キャンペーンの一環として、46年ぶりに月面着陸を成功させる。
ただの月面着陸だと面白みに欠けるので、宇宙飛行士に本業がモデルのアフリカ系アメリカ人のジェームズを起用する。
無事に月面に着陸したジェームズと同僚は周囲を偵察する。
しかし、本来居るはずのない兵士に同僚は銃で撃たれ即死してしまう。
一方のジェームズは、月面親衛隊准将のクラウスに捕らえられ捕虜となり、尋問された後、特殊な技術で白人にさせられ破茶滅茶な展開となる。
そして基地内では、秘密兵器の神々の黄昏号が完了間近である。
しかし、技術的にもう一歩という所で科学主任のリヒター博士は頭を抱えている状態だ。
またリヒター博士にはレナーテという娘が居る。
レナーテはクラウスの婚約者でもあり、基地内では地球学者でもあった。
そんな彼女はジェームズに興味を抱き、実際の地球はどの様な物なのか?また地球人は本当に愚かな生き物なのかと質問を繰り返す。
レナーテの問いに対しジェームズは、君は偏った知識を植え付けられていると伝えるが、どうもレナーテには受け入れられない様子だった。
物語が進み、ジェームズが持っていたスマートフォンを使い神々の黄昏号に繋げた所、完成に追い付いたのだが、あろうことか充電が切れて使い物にならなくなる。
そこでウォルフガング総統が地球へ行きスマートフォンを入手せよと命令が下り、捕虜のジェームズとクラウスらと地球へ向かう。
物事はそう簡単に行かない。
それというのも、地球に興味を言抱いていたレナーテが機内に隠れていたのだ。
しかしレナーテはクラウスに見つかるが、既に後戻りができなかったのでクラウスは仕方ないといった様子で同行する事を許すのだ。
地球に辿り着いた一向は、先ずクラウスがジェームズに大統領に合わせろと言い、とりあえずホワイト・ハウスに向かうのだ。
当たり前だが、最初から大統領に会えるはずもなく、クラウスは大統領選挙キャンペーン責任者のヴィヴィアンを誘拐する。
しかし事態は思いも寄らない展開へと進む。
それはヴィヴィアンからすると、レナーテとクラウスの衣装はコスプレにしか見えなかったのだ。
そこでヴィヴィアンは閃くのだ。
この二人を利用してキャンペーンに使うと効果が現れると悟った。
そして、いつの間にやら立場が逆転し、二人は利用されている事を知らない状態で行動を共にする。
そうそう、一方のジェームズは肌の色まで変えられ、周囲からは偏見の眼差しで見られ、気がつくとホームレスになっていた。
しかも数ヶ月が経っていたのだ。
偶然にレナーテはジェームズと再会する。
二人は今までの経緯を話しながら歩いていると、映画館の前で足が止まる。
看板を見ると、レナーテが基地内で教えていたチャールズ・チャップリンの「独裁者」を見て懐かしむ。
基地内では10分ほどの短くまとめられた作品が正しいと思っていた。
その内容はナチスにとって都合の良いように編集され、実際の「独裁者」は傲慢で身勝手で人として欠陥があると知ったレナーテは愕然とする。
愕然どころか、苛立ちを隠せないのは地球に向かったクラウスから連絡を待つウォルフガング総統だ。
ありとあらゆる想像が絶えない総統はいざ地球へと向かう。
そんな事を知らずにクラウスはヴィヴィアンと恋仲となるわ、ホワイト・ハウス内では権力闘争が勃発し、事態はとんでもない方向へと向かうのだ…
続きはDVDで鑑賞して下さいませ〜♪
因みに続編もある。
個人的にはこちらが好きだ☆
もしかしたら、ナチスが勝っていたら、なんて不謹慎な事はさておき、この様な発想を形にしたこの作品の監督は本当に偉いよ♪
表彰状、あんたは…偉い! by 小松政夫