ジョン・ディーコンのインタビュー訳(1986年5月10日、ブラジルrevista Bizz)
オリジナル訳公開:2021年2月27日
@hazelblue1926 さんがご紹介されていた記事、ポルトガル語→(複数の翻訳サイト)→英語からの日本語訳です。
https://medium.com/queenbrazil/john-deacon-fala-à-revista-bizz-1986-dc1cf2a84c0f
Q:1985年にリリースしたのはOne Visionのシングルだけでしたね。なぜそうなったんでしょうか?
D:The Worksを出してから、僕たちはスタジオから離れていた。通常レコードを仕上げたら、レコーディングや一緒に働くことで精一杯なので、休暇を取ることにしているんだ。
Q:それでは1985年はまったくの休暇だったと?
D:実際にはそうじゃない。多くないけどかなり重要なショーをいくつかやった。Rock in Rioで2回、それからニュージーランドやオーストラリア、日本。そして、イギリスに戻ってライブ・エイド。静かな一年というのではなかったよ。
Q:あなたはソロアルバムのプロジェクトやツアーにも参加しました。その状況でQueenの作品もうまくやるのは難しくないでしょうか?
D:そうだね。でも実際に何が起きたかというと、ここ何年かで深刻な内部の意見の相違が出始めたんだ。グループとしての興味が、個人ごとの興味からまったくかけ離れている。メンバーの健康が損なわれることなくバンドが続いている限り、離れている必要はない。でもその状況が難しくなって、それぞれが自分の時間をどうやってうまく使うか知っていないといけない。フレディがソロプロジェクトを始めた時、僕は混乱したし長いこと何もしなかった。僕たちはほったらかにされていて、すごく退屈だった…。
Q:シングルに話を戻しましょう。ライブエイドのパフォーマンスを受けてすぐさまの反応のようですね。
D:そうだね、たぶん歌詞という点では。わからないけど…。作曲にはあまり関与しなかったんだ。バンド全体がクレジットされてるけど、実際には他の3人のものだよ。
Q:それは普段とはかなり違いますね。Queenの作品の中ではあなたは常に大きな責任を負っていた。
D:そうだね、過去はそういうふうにやってた。作曲はそれぞれが個別でやっていたときはね。
Q:ではこの先の計画は?
D:この先の計画? ええと、僕たちは数年前にそうだったような、数ヶ月後には何をすることになっているのか知っている、というようには今は整理できていないんだ。今はHighlanderのサウンドトラックをやっている。Russel Mulcahyが撮影監督をやる2本目の映画だ。すごく面白い映像で、素晴らしいビジュアル、いい脚本、いい俳優たちが出ていて。ショーン・コネリーとかクリストファー・ランバートとか。
Q:次のツアーについては?
D:映画の仕事を終えたら、何をするべきか話し合うことになるだろう。それが本当に成功したときのグループの問題なんだ。それぞれが自分の計画を持っているし、グループの方向性を決めるときに自分のウェイトがある方向へと引っ張ろうとする。特に、ライブ・エイドへの世間の反応を見て、僕たちはカビ臭いスタジオにこもるよりもツアーに出るべきだと僕は考えている。でもバンドには、別のアルバムを作ってそれからツアーの方がいいと考える人たちがいるんだ。
Q:こうしたチャリティーショーのウェーブをどう思いますか? 人は音楽を政治的な目的で使うべきなのでしょうか?
D:そう思うよ。ボブ・ゲルドフはDo They Know It's Christmasのアルバム、そしてライブ・エイドを実行した。彼は政治家たちの注意をこれらの問題に向けるようにしたんだ。ライブ・エイドが世界の各地で反響を呼んだことは素晴らしいと思った。前代未聞の現象だし、多くの資金を獲得した。ミュージシャンを音楽の領域の外でにまで届かせられる方法だね。
Q:Queenはいくつかのチャリティコンサートに参加しましたね。
D:いくつかね、だけどそれほど宣伝はしなかったんだ。前に出したアルバムではいくらか印税を寄付している。でもそれを宣伝したいとは思わなかった。印税を寄付したりする余裕はあるよ。それはグループのメンバー全員が受け入れてることなんだ。意見の相違があるとしてもね。
Q:どんな活動をサポートしてますか?
D:僕は、動物愛護活動とかそういったものよりは、人間的な方を優先しているよ。メンタルヘルスのための活動をサポートするのもね。
Q:アルバムThe Worksは、ビートルズやQueenの初期のような、60年代に繋がっていますね。このリバイバル、過去や古いロックへの回帰といった流れの中で、この作品をどう捉えていますか?
D:この数年で音楽を作る方法は大きく変化した。主に、技術の進歩があったから。でも僕は、グループを形成して、それが4人でも5人でも3人でも構わないけど、レコーディングとライブでのプレイを同じ構造でやるという姿勢が好きなんだ。だからこの古い価値観、装置じゃなくてグループに焦点を当てるのが好きなんだ。
Q:でもQueenのメンバーは違う方向を進んでいて、バンドが解散するという噂もありました。特にフレディ・マーキュリーがソロプロジェクトをしていた時には。どういう状況なんでしょうか?
D:僕は単純な見方をしているんだ。グループは2つのことをすべきだと。それは、レコーディングとライブをやること。僕たちはシングルを出したし、音楽を映像にもしている。僕たちは一緒に仕事をしている、だから僕たちはまだグループなんだ。例えば、The Policeとは違う。彼らは一緒にやってるって言い続けてるけど、レコーディングもプレイも一緒にやらないでしょ。
Q:QueenはRock In Rioに招待されないようですね。どう思われますか?
D:(驚いて)知らなかったよ。イベントをサン・パウロに移そうとしているっていうのを新聞で読んだだけ。知らないけど…こういったイベントを2年ごとに宣伝するのは大変だろうと思うよ。でも、もし今年開催するなら、またやりたいな。最初の回というのは、条件が常に特別なんだ。皆がナーバスになって全体の秩序を心配していた。でも全てがとてもうまく進んだね。
Q:ブラジルのマスコミは、このイベントは歴史的なものだと報道していました。同意されますか?
D:南米という意味でそう思う。特にブラジルにとってはね。ブラジルの人たちの手で行われたものだから。多くの人が遠くからイベントを見にやってきたし、ショーは国際的に大きな反響を得ていた。
Q:不思議に思うのですが、Queenにインタビューしたいと頼んで、なぜあなたが送られてきたのかと……
D:僕が自分で手を挙げたからね…(笑)それが理由だよ。
Q:他の方はインタビューは?
D:僕たちはたくさんのインタビューをやってるから、他のメンバーがやりたがるかどうかわからないな。ロジャーは得意なんだけどね。彼はインタビューを気楽にこなすんだ。
Q:One Visionのミュージックビデオを見ました。これまでのものとは大きく違いますね。よりシンプルで直接的で、あなたたちがスタジオで演奏している…
D:そうなんだ、僕はあのビデオクリップ好きだよ。新鮮な変化だね。これまでもいくつかやってきたけどいいものだと思えなかった。それで僕たちは、監督やコンセプトを変えると決めたんだ。ライブで演奏してるようなイメージを与えるのではなくて、実際に演奏してビデオの中でそう見えるようにしようと決めて、シングルを作っているときにミュンヘンのスタジオにカメラを入れた。不思議な経験だったけどね。実際に演奏しているときに撮影されるのはちょっと緊張しちゃったよ。Let It BeのBeatlesみたいなものかな。でも全てうまくいって、イメージしていた通りにレコーディングできた。今回のクリップには、この時の映像に加えて、数週間前にロンドンで撮影したシーンも入ってる。10年前に作った、Bohemian Rhapsodyの映像を参考にしたシーンだよ。あの時の僕たちの見た目はまったく違っている。同じポーズをとって、両方の映像を重ねて、この10年間で僕たちがどれだけ変わったか見せようっていうアイディアだ。
Q:多くのビデオを作ってきたあなたたちにとって大変なことだと思います、そのうちのいくつかはとても良いもので……
D:(遮って)で、いくつかはだいぶ悪いと(笑)
Q:何か新しいことをしなければならないときは、スタンダードから離れるということなんですね。
D:大変なことだよ、実際に。ビッグバンドにいて、何か違うことをしなければならないというのは。それに音楽の面で言うなら、もっと大変なことなんだ。
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