見出し画像

へっぽこお遍路日記37

12月29日
31km

みなさん夜遅くまで飲んでただろうから、きっと朝は寝てはるだろうしそーっと出発しようと思ったら、みなさん揃って見送ってくださった。ちょうど空が明るくなってくるころ。まだ星が少し空に浮かんでいるなか、みなさんに手をふっていただいて歩きはじめる。キンキン冷えていて、まわりは霜でまっ白い。

国道沿いをしばらく登っていって、最初の分岐に出た。まっすぐ歩けばトンネルを通って久万高原に抜ける。左の山道に入ればそのままずーっと峠まで登っていって800m近くになる。どうやらこの左ルートが昔からある遍路道のようだからとそちらを選んで山に入った。

まだ10分も歩いていないころから遍路の看板を見失う。他の林道もところどころ走っているのか、ひとつサインを見落として間違った道に入るとそのままどこかに紛れ込んでしまいそう。2箇所どちらに進めばいいか曖昧なところがあって、だんだんと不安が募りながら、サインはあるか、サインはあるか、と恐る恐る進んでいく。もうやっぱりあかんのちゃうかーと思った50mくらい先に白地に赤い文字の「へんろ道」というサインを見つけたときの安堵感たるや。

紙の地図とGoogleマップも使いながらの僕でこれなんだから、昔の人なんてほんとにどんな不安を抱えながら山の遍路道を歩いていたんだろうと思うわほんと。自分はなかなかのへっぽこの名前に恥じないへっぽこな歩き方をしとるわね、ほんまにね。

午前中いっぱいかけて峠を登りきって、そこから一気に下って久万高原の町に入って次の寺に向かう。このときに入った釜揚げうどんのお店美味しかったなぁ。心という名前だった。濁ったいりこだしのあったかいお汁が疲れている体にほんとに合っていてうまかったー!

夕方クロネコさんより「西川さんの荷物が届きましたー!」と連絡が入った。
ちょうどお昼ごろなら受け取りにセンターに行けるかもと思っていたのだけれど、残念ながら町から離れてしまって、明日もそちら側にはいくことができない。最悪タクシーで向かうしかないかと思いながらセンターのお姉さんに相談した。なんとかなりませんか?と。

ちょっと待ってください、かけなおしますね!というお姉さんから次の電話が入った。

「明日ドライバーに荷物を託しますので、街にまた入られるときのトンネルをでるタイミングでセンターにお電話ください。ドライバーを向かわせますから」

もうほんとに感謝しかないっす。そんな配慮までしていただけるなんて。ありがとうございます!と大きな声でいうてしまった。電話なのに。

翌日ほんとに雨がザーッと降るなか、トンネルを出たところでクロネコのトラックがやってきてバッと止まった。西川さんですか!?と呼ばれて、僕が寝るのに必要なマットを届けてくださった。ほんまにほんまにありがとうございます。

44番の寺で野宿にいい場所を聞くと、45番の手前に国民宿舎があって、そこまで行けばお風呂に入れますよ。と教えてくださったので、暗くなるなかを山の中の遍路道を歩き続けた。また札を見落として少し迷ったのかと思う時間もあったりしてハラハラしながら、最後まで歩き通すことができた。あーよかった。

お風呂に浸かって、建物のとなりにある東屋さんに向かうとテントがひとつ。だれか先に入られたかたがいるようだ。

「歩き遍路のものですが、ご一緒させていただきます!」

はい!と聞こえた声で分かった。昨日僕が夜道の駅に着いたときに、手袋を忘れそうになったのを届けてくださったお姉さんだ。

「昨日のお姉さんですよね?きちんとお礼を伝えたかったのでよかった!」

彼女は奈良から歩きに来られているコメダさん。1時間ほどだったかお互いの遍路についてお話をさせてもらって、明日の朝珈琲をおいれする約束をして眠った。今日も歩きました。お疲れ様でした。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11

画像12

ここから先は

0字
月に4回程度配信。お金を払うのも、タダで読むのも自由です。

自分が自分でいられること。

¥500 / 月 初月無料

旅の日々で自分の心に浮かぶ思いや気づきを読み物として。僕の旅の生き方のなかで、読んでくださる方々の心に心地よい余白が生まれればいいなという…

自分の人生を実験台にして生きているので、いただいたお金はさらなる人生の実験に使わせていただきます!