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へっぽこお遍路日記36「僕にも自分のペースを壊すことがあります。それは誰かにお世話になっているときです。」
12月28日
歩いた距離29km
雨降りの夜。ちょうど止んだ朝。
夜明け前だけれど、雲の隙間から明るい空が見えはじめてる。
国道沿いなので、ライトも点けず歩くのだけれど、通勤の人だろう、住宅街のほうから国道に合流していく。まだこの時間の人はゆったりと出ていっている感じで。これが7時をまわってくると一気に量も増えて、急いでいる車が多くなる。
こんなにも朝のはじまりを見続けることってこれまでの人生であっただろうか。14年前に日本一周を自転車でしたときも早起きだったはずだけれど。けれどそのときはまた別のものを見ていたのかもしれない。いまだから、歩くスピードだから見えていることもきっといくつもあるのだろう。
9時をまわって内子の町にたどり着いた。ここで待ってくれている親子がいる。シャルムというパン屋さんを営むお母さんと娘さんだ。まだ、僕が遍路を考えはじめる前から「お近くに来られることがあればぜひ」とメッセージをいただいていて、お母さんは宇和町で、娘さんは福岡で、僕の香港でのフリーコーヒーの報告会を聞きに来てくださったのだ。
11時からオープンの食事もできるパン屋さん。開店前の準備と、お母さんはパンを順番に焼かれていたけれど、少し手を止めて珈琲を飲んでださった。僕もお手製のパンとあったかいスープをいただく。あぁ染み渡る。ほんとに歩き旅をはじめてから、ご飯の時間にちょうどお店があるようなことは滅多になくて、こうしてお腹が空いているときにあったかいおいしいものを食べられるということが毎日のなかでも1番と言っていいくらいに嬉しい。
僕でさえこんななのに、お店ももっと少ない、道路もいまみたいじゃなくて山道や悪路が多かったであろう昔の遍路を歩かれた人は、いったいどんな思いで、どんな日々を過ごしていたのだろう。もう今では想像すらすることができない。
レキくんが紹介してくれたこのお店のすぐそばで宿を営む大ちゃんも、シャルムに顔を出してくださって、ちょうどみんなで珈琲を一緒に飲むことできた。うむ、今日もいきあたりばっちりである。
天気もいいし、体も心もポカポカで内子の街を離れた。今日はレキくんが紹介してくださった小田に住むしんぺいくんがお宿を確保してくださっているのだけれど、ここからがしんどかった。
天気もいいし、あったかいし、ゴールも決まっているし、調子がよくてもいいはずなのだけれど、どうしても足が重くて音楽を聴いて気を飛ばしたり、トボトボと歩いてはまた休んだりしてなんとか、かんとか、という感じで小田の町を目指す。
日に日にカラダは強くなっているはずなんだけれどやっぱりこんな日もある。それは自分の思いとは別のところで流れているものだから、こういうカラダの反応みたいなものを素直に受け止めることも大事なんだろうな。
明日の昼ごろまでここから先は峠道にはいってお店がなくなるので、町の入り口の小さなスーパーでご飯の買い出しをしてから、待ち合わせ場所の道の駅にたどりついた。もうまわりは真っ暗だ。
今日の泊めていただくお家を管理されているどうあんさんに案内していただいて、あったかい部屋で、しんぺいくんとそのお友だちみなさんとの楽しい時間。夜はみんなでお鍋を囲んだし、お風呂にもはいることができた。
さすがに宴会は12時をまわってしまったので、僕は先に休ませていただいたのだけれど楽しい夜だった。
そうそう、こうして泊まるとだいたい夜が遅くなるんだけれど、そのことを昨日会ったお遍路さんと話したので書いておこう。
僕はだいたい泊めていただいたときには、時間の許すだけお話をする。
今回の遍路でいえばとりあえず12時までは使ってもいいと思ってる。もちろんそれでは寝不足になる。
けれども、泊めていただいた相手、それからそのために集まってくださった方々、みなさんに「会ってよかったなぁ」「泊めてあげてよかったなぁ」と思っていただければいいなと思うから。
自分のペースで旅をしたいなら、お金を払ってお宿に泊まればいい。
誰かのご好意で泊めていただくということは、それだけのものを自分が提供できるかどうかと僕は考える。僕はたいしたことできない。だから僕は話をする。自分のこれまで経験したことや、考えていることを。そして珈琲を点てる。
ひとりよがりなところもあるかもしれないけれど、これが僕なりの恩返し。もちろんあとからお礼を送ったりすることもあるよ。みなさんは誰かのお家に泊まるときってどうです?あ、僕がもう居候人生みたいなものだから普通はあんまりそういう機会はないか。
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