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へっぽこお遍路日記55「2ヶ月におよぶ旅が終わりました。」
1月16日 23.5km まわったお寺:3番〜1番札所
昨日のトボトボが嘘のよう、ほんとに自分のことと言えども分からないもので、この旅の最後は足がズンズンと前に進んでいった。
最後の野宿を終えた。5時にちかくのコンビニに立ち寄り朝ごはん。漁師さんだろうか、数人で立ち話をしている人たちに声をかけられた。大変だね。おれも少しだけまわったことあるよ。他の人に、おまえそんな徳を積んでるとは思えんなとか言われながらへっへっへと笑ってる。なんかそこには嫌な感じがひとつもなくて、やさしいひとだなぁと思った。
ヘッドライトをつけて、徳島へ向かう山道へと分けいった。
「遍路道」と書かれたお札や、ガードレールに貼られた遍路マークのシールをたどるのもこれが最後だなぁ。徳島県へと入って、しばらく山を下っていくと、身覚えのある風景が広がってきた。
3番札所。まだお経の読み方もよくわからないまま、お経の本を広げてそこに書いてあるひらがなをたどりながら読んだお寺。あったかい1日で、お参りをしている方に「これからまわるんですか?」と声をかけられた。
いえ、昨日結願させていただいて、今日はそのお礼参りです、と答えるとお疲れさまでした。と手を合わされた。ありがとうございます。僕はなにも成し遂げたわけではないけれども、けれど歩いてこられてよかったです。
2番札所を出れば、もうすぐそこが1番札所だ。霊山寺。ここから僕の旅がはじまった。
門を入ると、まだ光るような白い羽織りの遍路さんがお参りをされていた。きっと今日からまわりはじめられるのだろう。いってらっしゃい。
経を読むのもこれで最後。しっかりと気持ちをいれて。
ちょうど経を読み終えたあと、振り返るとそこには女性の姿があった。僕が出発のときにいちから教えてくださり、お接待もくださった井内さんだ。
「井内さん。お久しぶりです。遍路を終えて戻ってきました。」
「あぁ!どうりで!声が似ているなと思っていたの!」
「ありがとうございます。無事に歩いて戻ってこられました」
井内さんは、僕が出発した日とおなじように、遍路をはじめるかた、終えられたかたの対応を今日も忙しくされていた。
そしてまた今日もいくつかのお接待をいただいてしまった。
ありがとうございます。あなたに会えて、そして遍路をはじめることができました。そしてあなたに会って終えることができました。
ただそれだけのことだけれど、自分のなかで区切りがついた。
さあ帰ろう。
JRの駅まで歩き列車に乗った。
この遍路の格好をしているあいだに会いに行きたい人がたくさんいる。
気持ちの区切りはついたけれど、やっぱり僕はひととひとを旅をすることで生きていることを感じているのかもしれない。
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自分が自分でいられること。
旅の日々で自分の心に浮かぶ思いや気づきを読み物として。僕の旅の生き方のなかで、読んでくださる方々の心に心地よい余白が生まれればいいなという…
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