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落とし穴と、真っ暗ななかを登り続ける僕たち。それを迎えていただいた光。
sRide a Life Journey 2021 DAY13
大分県別府市→竹田市(水野さんのご実家で宿泊)
走った距離:75.9km
子どもたちが実力以上のチカラを発揮したというお話です。
朝すっかり起きれるようになった子どもたち。もうそんなに声をかけなくても起き出して自分たちで片付けをはじめるようになった。起床はやっとこさ旅モードという感じか。
やっぱり子どもたちと旅をしていると「間に合わない」「このままだとやばい」みたいな条件があると、サッと起きるし、メリハリもつきやすいんだけれど、ゴールがその先のまだ見えないところにあるときにはそういうチカラが出にくいなぁと思うけれど、それはそのまま自分も同じなのかもしれない。ぱっと終わらせて先に進んだり、自由時間を増やす、みたいな考え方は経験と失敗を重ねた大人だから見えている景色なのかもしれないものな。もしかしたらそれが邪魔をして、いまに集中しにくくなっているような現実もあるかもしれないなんて、ブログにまとめ直しているいまなら少し思ったりもする。
九州に入ったからか朝もひんやりというかすでに少しぬるいあたたかさでブルッと来なくなった。春だ。朝のゴミ拾いも、お経も終わって、こりゃもう走り出したらいい調子で走るだろうなぁと勝手にオトナの都合を思っていた。今日は調子が良さそうだ。
そのときすかさず「まさやん温泉ってこの近く?」と◯◯が僕に聞いてきた。そうだよな〜もともと別府は温泉に入りたくて来たもんな。ごめんオトナは勝手に全体像を見て、ゴールに向かって、全体をスムーズに動かそうとしてしまう。こういうところはほんといまブログを書いていても大反省。
さっと行けて雰囲気抜群の竹瓦温泉。去年のメンバーと一緒に見つけた温泉。高い屋根。前面のタイル。あつーいお湯の湧き出る湯船。あとはシャワーもなにもない。子どもたちは熱さにビビりながらお風呂につかっていた。
温泉を出て、服を着るまでにいつもより時間をかけても、汗が吹き出すぐらい体がぬくもった。建物から外にでたときの風がサーッとカラダを通り抜けていく感じが気持ちいい。見上げた空はもう太陽も高く、青く、今日はずっと天気もよさそうだ。
大分市内に抜ける海沿いのルートを走っていると。オンボロワゴンが僕たちを抜かしてった。ほのかに「あの車めっちゃ味あるやん!」と言っていたら、窓が開いてそこから一眼レフが飛び出した。
そのカメラに向けて◯◯が歓声をあげている。どうやらこのオンボロワゴンが連絡をいただいていた神戸のお友だち家族のようだ。たまたまお仕事でこちらに出られていたらしい。ワゴンには、まだまだちいさな赤ちゃんに、毛がモフモフの猫のキャベツもいた。動物好きのメンバーたちは話もそっちのけで猫を交互に撫でている。
旅の空での出会いはいつになっても特別。いまはこうして子どもたちとともに旅をすることで自分では出会えなかった人たちと出会うことができている。僕は旅の引率者だけれど、この旅をすることで自分が出会うことのなかった人たちと出会うことができる。こんなええことないですほんと。
今日は山やでー。キツくてもゆるくても、基本はずーっと登りです。ということを言うていたけれどもいざ登りはじめるとやっぱりキツそうだ。それでも自分たちの選んだこの阿蘇ルートに文句を言うわけではなく(坂道にはめちゃんこ文句言うてたけれども)、へたり込むことなくちょっとずつでも登ってる。自転車の神さまに教えてもらったサドルを前に出すのを自分たちでやったこともあるのかいつもよりスムーズに登っているようにも見える。
昼は大失敗。笑
けど旅のおわりまでこの思い出は楽しそうに話していたから良しとしよう。
朝風呂も入ったし、山道だしで、いつもより早めだったけれど「腹減ったかー?」と呼びかけたら、すぐにおっきな返事が返ってきた。
ここから先が本格的な山道に入る。がんばらないといけないし、うまいものを食べさせようとググると近くにすごく評判のよい洋食屋。今回はまだ洋食屋さんは行ったことなかったのでこれはいいとみんなで突撃することにしたのだ。
全然知らないで行ったのだけれど、どうやらここの売りは「大盛り!」だったよう。メニューを見てもボルケーノとか名前からもすごい感じ。こりゃ自分は試されている!とほのかに宣言し、そのデカ盛りを注文した。
静かな店内で作られている僕たちのデカ盛りメニューたち。そして僕のが最初にやってきた。でっかいでっかいプレート。ハンバーグとチキンカツがご飯のうえにのり、デミグラスソースとチーズがワーッとそこに注がれ、そして最後には阿蘇のカルデラのように成形されたハンバーグの中心に黄身がのせられているこれはもうヒーローがみんな集まったよう。ご飯も大盛りにしてしまったからこれはギリギリの戦いになるな。
子どもたちのほうにも注文したメニューがやってきた。それぞれにこれや!と注文したでっかいお皿がやってきた。みんな一口食べて「なんだこのうまさは!」とか叫んでいる。よかったよかった。がんばって食べろよー!なんて言っていたのが明治時代のように前に感じる。ここから先が地獄だった。笑
10分も経ったろうか。となりのテーブルを見るともう子どもたちはすでに虚ろな目で、機械的に口にスプーンを運ぶだけのマシーンと化している。サッと美味しいものを食べさせて長い1日をがんばらせようと思っていたのに、レストランに入ってからすでに1時間が経った。皿にはまだまだそれぞれのメニューが存在感を放っている。
すでになんか僕と帆花を目の光を失った子どもたちが目の前の皿を焦点の合わない目で見つめてる。なんだろうこの罪悪感。なんか僕らが拷問したみたいになっている。
自分で選んだものだから気持ち悪くなるまで食べたらいかんけれど、できる限りがんばって。僕があの自分のメニューを頼みさえしなければもっと余裕で食べてあげられただろうに。案の定、自分もギリギリの攻防戦をなんとか勝ち終えたあとだからもう余力というか胃の余白がゼロだ。
「まさやん。。。。ギブです。。。。」
3人中ふたりが残した。しかし僕はお店やさんで残すのはしたくないのでほのかにも手伝ってもらってなんとかかんとか完食。昼からはもう姿勢が、まっすぐ立とうとすると胃がウプッとなるので、相手が坂道だけだとおもっていたら、彼らの仲間たちとも戦うことになっていたみたいな展開になっている!しかも今日はどうしてでも昨日お世話になることになっている竹田市のお友だちの水野さんのお家までたどりつかないといけないのだ!
みんなお腹がもう爆発しそうになっているので、しばらく走ったあとみんなで寝転んでお腹を休ませてまた登り。いやー登った登った。
「なんでやー!」
「おかしい!ぜったいおかしい!なんでくだりになんないの!?」
「うぉー!gかおいぐあぎおあklれこあpとあ!!!!」子どもたちはもはやテンションが壊れている。
やっとこさ峠を登りきり、竹田市に入ったのはもう5時を回ったころ。坂を下り切ったところにあるコンビニで休憩しながらナイトランの準備。もう6時だ。目的地となる水野さんのお家まではまだ20kmもある。そして。。。。登りだ。
竹田市街地のところで仕事終わりの水野さんががんばれよー!と応援に来てくださった。今晩は水野さんが生まれ育った実家のお父さんお母さんにお世話になることになっている。
ゴールしてから聞いたのだけれど、お父さんは夕方ごろから「夜になるから軽トラックに乗せて連れてこよう」と何度も話されていたそうだ。けれども水野さんもお父さんも僕たちがたどり着くまで待ってくださっていた。
真っ暗になってから2時間以上のライド。普段の子どもたちだったら間違いなく、まいってしまっていると思う。それはカラダではなくココロのほうだ。自分がツライことと向き合っている。そのことだけが頭に入ってしまうと、そのことに支配されてしまって子どもたちはヘタってしまう。けれども昨日は明確な目標が目の前にあったし、まわりは街灯さえない真っ暗な山道で、そして僕たちしかいない。山道の続く景色が昼間だったらはっきり見えるのできっと気持ちもしんどかったろう。
みんなで最後の2時間はほとんど休むこともなく走り続けて、そして水野さんのご実家まで到着することができた。家の前では僕らの明かりを見つけた水野さんが「おーい!こっちだぞー!」大きな声で呼んでくださった。こんなに嬉しいことはない。
子どもが大好きな肝っ玉母ちゃんと優しいお父さん。ご挨拶をして家にあがると、囲炉裏にはもう炭がおこっていて焼肉とお寿司の準備がしてあった。和室にはお布団。あれまーほんとにフルコースだ。
たどり着いたときにはもう一歩も動きたくないという感じだった子どもたちも、お父さんお母さんのおおらかさや目の前のご馳走のおかげですっかり元気になってたくさんお話もして笑っていた。お風呂にもうるさいぐらいに元気にながいこと入っていたし、洗濯もさせていただくことができた。こんなに嬉しいことはない。ほんとにありがとうございます。
子どもたちというのは、いや僕もそうかもしれないけれど、いつだって自分が知らないところにまだチカラを持っている。たいていそれを出すところまでにはリミッターがあって、そこにたどり着く前にココロのほうから折れてしまうんだけれど、昨日はみんなのチカラが合わさって今まで思いもしなかったチカラが出たんだと思う。
あれだけの山道を走り続けての75km。サイコーにしんどいあとの、サイコーのおもてなし。ほんまにありがとうございました。
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