![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/42334394/rectangle_large_type_2_b9c7c20c01da884d6ca628f8bbbb8d86.jpeg?width=1200)
へっぽこお遍路日記40「新年に僕が思ったのは、家族が見つからないあの人のこと。祈ること。」
1月1日
歩いた距離:25km
まわったお寺:2つやったかいな
初日の出は松山の街のなかだったので拝めなかった。
けれども初日の出が映る建物がピカッと金色に染まってよかったなぁ。
自分が会いたい人のために遍路道から外れたので、次のお寺までは自分で選んで道を歩く。
たまにはこういうものも悪くないもんだ。
ちょうど街を出るあたりのところで、とっても話し方のやわらかいおじちゃんに話しかけられた。
「あのお尋ねしたいんですけれど」
あ、僕地元じゃないですし、もっと言うと遍路の格好してるから分かるはずですし、ぐらいまで思ってしまう前におじさんが次の言葉を出した。
「このあたりでパジャマを着たおばあさんを見かけませんでしたか?うちのおばあさんが朝起きたらいなくなっていて。上着も着ずに出てしまったと思うんです。90歳なんですけれど痴呆も入っていて。」
そうでしたか。僕がここまで歩いたなかではおばあさんは見かけませんでした。
もし見かけたら電話するので、電話番号教えてください。
そう言って、電話番号を教えてもらって、早く見つかるといいですねとお声がけしてまた歩きはじめた。ちょうど交番の前で出会って、彼は交番に届け出をしたところだった。
お正月の朝。ほんとだったら明るい気持ちで、新年の挨拶をしようと起き出してこられただろう。そのときに家族がいなくなっていることを知ったときの気持ち。探しはじめてからの思い。そして僕に出会ったときのこと。
きっと心のなかはうずまいているだろうね、人前では落ち着いて必要なことを伝えてくださったおじさんに僕は感謝に近い思いをいだいた。なんでかは分からない。
ちょうどひとつ目の、立派なお寺のお参りが済んだときに、着信履歴が残っていた。
かけ直すとさっきのおじさんだった。
「ご心配をおかけしました。無事に見つかりました。松山駅のほうまで歩いて行っていたそうです。」
とっても嬉しかった。大変だっただろうけれど、これでお正月に戻ることができますね。
わざわざ電話までかけてきてくださってありがとうございました。困ったことがきっかけではあったけれど、あなたにお会いできてよかったです。
午後からはしんどかった。足がうまく衝撃を受け止められなくて、すり足にちかいような感じでノソリノソリと歩きつづける。年末の寒波の前にどうしても高原を抜けないといけない状況であれだけ歩いてくれたんだもの。そりゃダメージが残っているよね。ありがとう。あなたが歩いてくれたから、今日こうしてしんどいけれど少しあったかくなった場所を歩くことができているよ。
なんとか、かんとか。というふうにして大師堂にたどりついた。ここは地域の方のご好意で遍路が無料でお堂に泊まれるようになっている。ポンプ屋さんのおじさんに声をかけることになっていて、おじさんはサッと鍵をあけて、使い方の説明をされて、スッと去られたけれどとても思いやりのある方だなとそのさりげなさから感じた。
荷物を置いてホッとしたところに、ガムテープを持ってきて窓が割れていたところに「これでだいじょうぶ」とフタをして、またサッと戻られていった。ほんとにありがとうございます。
お大師さんにろうそくとお線香を立てて、お経を唱えてご挨拶をした。今晩ここでお世話になります。もうどっぷり疲れていて、ブログを書かないとと思いながら、カラダが言うことを聞かずにいたので思い切って寝ることにした。7時半だったかな。昨日もお風呂に洗濯にしたので遅かったから。新年初めの日も歩くことができたことに感謝。
ここから先は
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63566105/profile_9df58da5981316945ef97dce10223b92.jpg?fit=bounds&format=jpeg&quality=85&width=330)
自分が自分でいられること。
旅の日々で自分の心に浮かぶ思いや気づきを読み物として。僕の旅の生き方のなかで、読んでくださる方々の心に心地よい余白が生まれればいいなという…
自分の人生を実験台にして生きているので、いただいたお金はさらなる人生の実験に使わせていただきます!