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へっぽこお遍路日記42「キンタマのちっこいオトコというのは僕のことだと思う。」
1月3日
まわったお寺:57、58、59番札所
歩いた距離:23、5km
キンタマのちっこいオトコというのは僕のことだと思う。新たな年をはじめるまでに終わらせたいと思っていたブログの残りを書きたいと思っていて、昨日お世話になったお寺のちかくに24時間営業のマクドを地図で見つけたときに、ここだ!と思ったのだ。
ここならあったかい場所でブログも書けるし、朝マックまでエンジョイできる!ハッシュドポテト!朝だけあるチキンクリスプ!僕はもうマクドのハンバーガーは半分卒業しているのだけれど、ときどきこの朝マックが食べたくなるのだ。
そんな日はもちろん朝もババッと早い。4時すぎには起きてサッと片付けをする。5時前には歩きはじめていたか。そうあの黄色いMに向けて。
このへんだよなぁ。このへんだよなぁ。このへん。。。。。
なんか四角い建物があって、うっすら明かりがついているものの、全部の窓にブラインドがおりていてうすぐらーいマクドナルドがそこにあった。煌々と黄色くまたたいているはずのMは、いまは完全にグレー色だった。
おい!
閉まってるやんか!
お正月休みか!そうなのか!
時計を見ると5時40分。
もしかしてあと20分待つと開くのか!?
けれどもこの氷点下の朝に20分外に何もせずいるということを受け止めることでしか待つことができない!
しかも6時に開かなかったらどうすんだ!
いやなんとなくさっきより明るくなってきている気がする!人影が見えた!
これは6時に開くための準備なのか!?
いや6時に開かなかったときに、カラダが冷えてカチカチになってしまった僕だけがこの真っ暗な朝に取り残されるんだぞ!
うぉーーーーーーーーーーーー!!!
と葛藤しながら、結局次のコンビニを目指して歩くことにした。休憩スペースがあるところなら少しお借りすればいいのだ。
そうして次に向けて歩き出しながら、だんだんと遠くなっていくマクドナルドの建物を僕は15回はふりかえったと思う。もしそこでブラインドが開いているようなら引き返していたかもしれない。
マクドナルド。いやきっと朝マックに僕は後ろ髪をひかれていたのだろう。
最初のお寺を静かに参らせてもらう。夜が開けたところのお寺はまだ少し眠いっているようで好きだ。
本堂をまいりおえて、大師堂のまえでお経を唱えていると後ろで誰かがおまいりに来られた音がする。スッとまわられているから地元の方だなと思っていた。そして明けましておめでとうございます、と言われたので振り返ると知っている顔だった。
森田さん!なんでおるんすか!
いや、森田さんのそっくりさんか!いや日焼けしとるしな!森田さん!?いや!?
この間がだいたい0.5秒である。
「いやぁ西川くんに会えると思って走ってきたよ!」
なんと!森田さんお正月にひとり旅に出られたそうで、自分と向き合うために携帯の電源を切っていたのだけれど、自分がずっと昔にカヤックで日本一周をしたときに海峡を渡った佐田岬にたどりついたときに、あぁ帰ろうかと思ったそうなのだ。そしてネットにつないだら僕が愛媛にいたということだそうだ。
森田さんはmont-bellをつうじて知り合った大親友。シーカヤックのプロでいまはツアーガイド業をしながら、地元の子どもたちのために寺子屋を何年もやってこられていて、彼の息子のまるくんも僕が富士山に自転車旅で連れて行ったことがある。
会いたいなぁと思いながらお互い1年会えてなかったので、野点をしながら話が盛り上がった。それは決して前向きなものばかりだったわけではないのだけれど、けれどこうしてお互いがこの1年を受け止めて、そこから何を見出すかのほうが大事なのだ。そしてそれを語り合える仲間がいること。損得感情が必要ない仲間だからこそこうして自分のマイナスも臆することなく出すことができる。そんな仲間がいてくださることに感謝だ。
いやぁなんという1日のはじまり。ありがたやありがたや。
森田さんに別れを告げて山の上まで一気に登ってお寺を参る。
ここでお会いしたのは納経所で、御朱印を書いてくださったおじさま。
「お!昨日君を見かけたよお疲れさま。」
そんな落ち着いた軽やかさで声をかけていただき少しお話をさせていただきた。
「いやぁねここの住職をよく知っていてね、そうして自分のアトリエを使わせていただけることになって京都から今治にやってきてね、いまはときどき京都に帰るくらいだよ。いま僕の展示をやっているんだ。そこにパンフレットがあるでしょ。」
写真家さんだった。鈴鹿さん。
ピンホールカメラを専門にしておられて、世界中でピンホールカメラを手に風景を撮り続けてこられたそうだ。経歴には有名大学教授のリストが並んでいる。
珈琲を点てながらまわっているんです。とお話しすると
「僕も煎茶を点てるんだよ。海外の個展なんかでもね。」
僕は売茶翁にとても影響をうけたことを話すと
「伊藤若冲にも影響を与えた人だよね。」
とスッと話題が繋がった。あぁ遍路旅をしていなかったら、鈴鹿さんと一晩ずっとでもお話をさせていただきたいくらいだ。けれどこうしてご縁をいただけたことに感謝。また戻ってきた場所ができた。ありがとうございます。
これだけでも物語としたら十分だよね。1日分なんだから。まだあったの。
さあ今日はどこまで歩けるかなぁなんて思いながら次の寺に向かっていると目の前で手を振っている親子がいる。
ん?
ん?
あー!!!
今年の夏、自転車旅を一緒にしたこはるとご両親だった。一緒に四国をまわった。その家族がはるばる広島から会いに来てくれたのだ。
こはるとお寺まで一緒に歩いて、一緒にみんなでおまいりをして、そうしてお寺の端っこの方をお借りして珈琲を点てさせてもらう。
こはるもお手伝いをしてお弁当をたくさんたくさん作ってきてくださって、それをいただきながら思い出話をしながら、楽しい時間。珈琲も美味しいと言ってくださった。
改めて自分がこうして生きさせてもらって、僕が思うひとも、僕を思ってくださるひともいただいているんなだなぁと有難い気持ちになった。それは資格でもない、お金でもない、社会とは関係ない、けれども僕とその人にとっては生きていく糧となるものなのだ。
本当にありがとうございました。今度は僕が会いに行きますね。
今日はたくさんの時間を使わせていただいた。
だから残りの時間は自分と向き合う時間。
歩いて歩いて。なんとかこの先にある遍路のための無料休憩所を開放されているお寺まで。
すっかり日が落ちたなか、足をひきずるようにしてなんとかたどり着いた。
ひと晩お世話にになります。ありがとうございます。
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自分が自分でいられること。
旅の日々で自分の心に浮かぶ思いや気づきを読み物として。僕の旅の生き方のなかで、読んでくださる方々の心に心地よい余白が生まれればいいなという…
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