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けれど間違いなく自分の人生のワンシーンに刻まれることになる「いま」なのだ。
Ride a Life Journey 2021 DAY10
広島県尾道市→愛媛県今治市大島
走った距離:68km
旅中にもやらないかんことがたくさんあるんですが、さすがに睡眠時間が6時間を切ってしまうとさすがにキツい。それは体力的なこともあるけれど、心の面のほうが自分にとってはすごくやっかいなのです。
寝不足になるとイライラしやすかったり、自分の懐がたちまちせまくなる実感があるので、最近はこのレポートは、夜ミーティングを終えてからだと遅くなってしまうので、朝に書くことが多い。預けてくださっている親御さん、なかなかリアルタイムのレポートをお届けできずどうもすみません。(そんなん全然気にしませんよー!いつも感謝です!とこの投稿のあとに参加者の親御さんからコメント頂きほんまに感謝でした)
はじめて朝に子どもたちが自分たちで起きた。これはiPhoneのあのうるさいアラームのおかげなのか、はたまたついに旅の朝モードに入ったのかそれは分からない。朝がしんどいのはまだ春とはいえ、うっすら霜がおりるくらいの気温の下がりかたをするからかなぁ。と言いながら僕もめんどくせー!と思いながら、子どもたちの前で僕の方が準備が遅いという失態はおかしたくないというプライドみたいなもののほうが自分を動かしていると思う。
7時前には、こはるがやってきた。去年の夏の自転車旅メンバー。昨日は彼女のお母さんがやっている招き猫工房という招き猫の絵付けができるところにお世話になったのだけれど、僕らと一緒にお風呂に行って、そのあとミーティングも久しぶりに聞きたいと参加した彼女はミーティングのあと「明日私も走りたくなった!」と切り出した。
そりゃそうやわな。去年は彼女と家族同然の時間の過ごし方をしたんだもの。とは言いながら卒業を控えているし、学校もあるしなぁなんて思っていたら、ミーティングを終えて帰る11時ごろお迎えに来たかあちゃんにその場で直談判していた。学校休んだとか、それはいいのかとか、そんなことは全然ジャッジするつもりはなく、自分の人生をつかみに行ったなぁすげーなぁと素直に思った。
さて、こはるをメンバーに迎えて4人体制になった子どもたち。ええなぁ4人。女子ええなぁ。それはエロいおっさんの思考でもなんでもなく、やっぱり女子がいると男たちの心持ちがだいぶ変わる。しかもこはるは去年のメンバーでも足が強かったもんだから、今年の3人もこれはやばいと必死にペダルを漕ぎ続けていてめちゃんこいいペース。これはほんまにおもろい。おもろいなぁ。
旅のゴールをすること。おもろい。
自分が課題にしていたことを乗り越えること。おもろい。
とにかくがむしゃらにやる姿。めちゃんこおもろい。
自分の実力ってなんだろう。よくわからん。数字で出るものもあるけれど、カラダで実感できるものもあるかもしれない。けどよくわからん。
僕がおもろいのは「こんなチカラどこに隠れとったんかいな」みたいなことが起こるとき。
それは自分で分かっているような範囲でやっているうちは起こらなくて、これどうすんねんみたいな壁がデデーン!といきなり出てきたときに、チクショー!みたいにして起こったりするもんだなぁと思う。今日の子どもたちがそうだったと思う。
こはるが大三島で折り返して帰るのを見送ったあとは、そのテンションの反動もあったんやろうけど、だいぶ使い終わった感じやった。それでいい。持っているものを出し惜しむより、思いっきり使って抜け殻になってもいい。それが次につながる。自分がどこまで出せのか。そこがスタートなんだから。
自らの故郷である大島を前にした○○が先頭になった。気持ちはすでに家族や友人に向いているのだろう。他のメンバーがバテかけているのも構わずグングン走りはじめた。こういうときの僕らの役割は、まわりをサポートすること。
「おい!あいつに負けんなよ!いけー!!!」後ろから叫びかけながら他のメンバーをけしかける。そんな僕らの様子もきっと○○は意識に入っていなかっただろう。
大島に入る橋を渡りきったところでペースが落ちた。ポツッと聞こえてきた。
「もしかしたら僕らが遅すぎたから、かあちゃんはもういないかもしれない」
前日のミーティングで家族に会いたいと話した○○に「そしたら手前の伯方島にたどりついたときには、母ちゃんにLINEを入れておくわな」と約束しておいたことは意識にあっただろうけれど、本人のなかではどうだったのだろう。
僕のもとには母ちゃんからメッセージが入っていた。
「宮窪の港で落ち合いましょう」
ほのかにだけこっそり見せて、あとは子どもたちを前に走らせ続ける。ちょうど海沿いの道路に出て、住宅地に入りかけたときに「あ!母ちゃんの車だ!」という○○の声が聞こえてきた。遠くに真っ赤なワゴンが見えた。きっと全神経で母ちゃんや友だちを探してたんだろうな。
連絡をもらっていた港のところで車と合流した。そしたら家族みんなが車から出てきた。母ちゃん、おじさん、じいちゃんばあちゃんにワンコ。みんなちょっとだけ距離を追いて○○のことを笑顔で見ている。
「さあみんなで挨拶するぞー!」
自転車をとめさせて、そしてみんなで挨拶をした。そうしているうちに、おー!まるー!とあちこちから聞こえてくる。どうやら母ちゃんネットワークで僕たちがもうすぐたどり着く連絡が渡っていたようだ。すっかり島のみんなに囲まれた○○はきっといつもより違うちょっと冒険家のようなつもりで向き合っていたのかもしれない。
子どものことだから多くは語り合わない。会いに来た子たちも特別なにかを聞くことはない。ただなんか盛り上がっているし、いつの間にか他のメンバーも島の子たちとワイワイやってる。けれどそこには間違いなくキラキラと光る空間があって、それを一緒に囲っているみんながひとつの景色を見ているに違いないのだ。
「学校に行こう!」そう声をかけたらみんな走り始めた。子どもたちの自転車と一緒に、チャリだったり、走ったりして子どもたちが小学校へ向かってる。僕らはちょっと離れたところからそれをゆっくりと追いかけた。
学校の校門のところでは、すでに出迎えてくれた先生がいてみんなで話していた。僕もカタチだけというか今のあいだだけの保護者としてご挨拶をして、あとは子どもたちのやりたいようにやらせる。
日はいつの間にかオレンジになってきていて、そして、家族ともだちに会ったらまたそこから先を目指そうとミーティングで語り合っていた子どもたちも
「せっかく○○の故郷なんだから、一泊ぐらいしていこう!思い出を作ろう!」
と旅人らしいことを言い出して、今日は○○の実家の近くの浜にテントを張らせてもらうことにした。買い出しもなにもしていなかったので、お家にお邪魔して食材をいただき子どもたちがお好み焼きをつくり、母ちゃんはたんまりおかずを用意してくださった。
○○の心にはどんな風景が浮かんでいただろう。
テントを張り出したころから、ちょっと気が立っていた。
この日は、○○は実家に寄れたし、もうひとりの○○は島に住むばあちゃんが途中で応援に来てくれていた。日本の一番北から来た彼にはそのどちらもかなわない。
けれどそこには、課題とか、成長とかではなくて、彼自身が「きっとだいじょうぶだと思う」と昨日自分の心と向き合ってくれた言葉がある。
僕らは信じるんだ。そのときの彼が見ていた世界とともに、彼の存在を。
それくらいしか大人ができることはないと思う。思うからこそこういうときには声をかけない。そっとだけ見守らせてもらう。それがどんなに尊い瞬間なのか。それはまだ自分の子を持ったことない僕にはわからないけれど。
けれど間違いなく自分の人生のワンシーンに刻まれることになる「いま」なのだ。
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自分が自分でいられること。
旅の日々で自分の心に浮かぶ思いや気づきを読み物として。僕の旅の生き方のなかで、読んでくださる方々の心に心地よい余白が生まれればいいなという…
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