正月と蟹とわが家
わが家の正月は決まっている。
遅い朝にお屠蘇を回し、白味噌の雑煮とおせちを肴に酒を飲む。
酒の銘柄も決まっている。
毎年親戚の酒蔵から頂く日本酒だ。
夜は蟹すき。
小さい頃は殻で覆われた蟹だったが、最近は剥き蟹だ。
剥き蟹を開発した人は天才だと思う。
殻がないだけで、こんなに会話が弾むなんて。
「蟹を食べると無口になる」なんておとぎ話の世界だと思う。
そして、決まって、オナラが臭くなる。
この世の終わりかと思うほどに臭い。
妻からは本当に嫌な顔をされ、息子はその臭さに踊りだす始末。
蟹のささやかな抵抗なのかもしれない。
小さい変化はあれど、今年のわが家の正月も毎年と変わらないものだった。
今年も平和でありますように。