渋谷で過去と未来へタイムスリップ
出張で東京に来ている。
一泊二日で、ひたすらカフェを巡る仕事。
おっさん一人で。
喉がイガイガする。
チクチクではなくイガイガ。
十年前に東京から大阪に引っ越した。
当時の記憶で渋谷を歩くと、自分がどこを歩いているか分からなくなる。
地下鉄が二階。
公園がビルの屋上。
天地がひっくり返るとはこのことだ。
渋谷マークシティーのエスカレータを並んでいると、懐かしい面影の男子が女性と腕を組んで談笑を楽しんでいた。
肩まで伸びた、さらりとした黒のロングヘアー。
服はジェケットスタイルで、靴はボロボロのローファー。
90年代にタイムスリップしたかのような感覚だった。
街は変わるが、人は大きくは変わらない。
そんなことを思いながら、カフェの取材に勤しんだ。