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雨が 降れば よかったのに
そうね
あいまいなだから気にかかるの
無表情なぶん
手と手
指と指 困らせるのに
つめたいの
どんよりとした土曜日。
北と会うのに、少し緊張した。
北の仕事はシフト制なのだけど、とにかくコロコロシフトが変わり、ここ半年で何回変わった?
派遣の人も、首を切られたり、増員がいきなりかかったりで、なんと4回も切られてはまた入るを繰り返している人もいるそうだ。
声をかける方もすごいが、その度に戻ってくるのもすごいな。
私も勉強に集中したかったし、あれやこれやで、3週間ぶりに北に会った。
こんなに会わないのは、多分、関係が深まってからはない。
10年ぶりくらい?
私も自分を振り返り、色々生活をさらに立て直そうとしているし、北も、よい息抜きになったのかな。
とてもドキドキしながら、北の訪れを待つ。
会ってしまえば当然だけど、お互いわかりきってなれ合った仲。
いつも通りに話を交わし、いつも通りに寄り添って歩く。
むしろ、会わなかった時間、北にも話したいことが増えていて、口数が多い。
北と話すのは、楽しいし、気安い。
それでも、私は少しだけ身構えている。
北は気づかない。
私は、母のことを愚痴ってしまう。
北も、親に対して屈託があるので、共感してくれる。
あんまり共感力が高い方ではないから、親との関係性への思い、その辺はとてもよく似ている。
精神科と呼吸器に行き、精神科は付き添い、呼吸器はこのご時世だから外で車の中で待ってくれる。
その頃から、やっと私の身構えもなくなってきた。
私は顔立ちや経験から、とても人懐こく見えるようだが、とても人見知りをするたちだ。
3週間で北にまで人見知りをするとは、自分で思わなかった。
北と、気の重い実家に帰るが、母の具合が悪く、会うことが出来ず。
弟に見舞いの言葉と、マフィンや発酵あんこを言伝て帰路についた時、本当に体中から力が抜けて、午前中の緊張から反面、とても北に甘えたくなった。
そうして、私たちは北の地元の山に向かった。
以前、あそこの桜は毎年5月くらいに咲くけれど、今年は暖かいから早いかも知れない、と話していたのを覚えてくれていた。
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濃いピンクが華やか。
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たわわ、というのか、花が重くて枝がしなって見える。
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手のひらに余るほどの大きいものもあった。
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ほとんど葉桜だけど、普通のもあった。
可憐だ。
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花の下で、このまま窒息できたら、とさえ思った。
うちに帰り、夕飯をして、北は帰るはずが、寒い、眠いと言い出したので、無理矢理ベッドに引き摺り込んで、腕枕をしてもらう。
薬も飲んでないのに、寝てしまう。
朝、私が起きても北は寝てるので、その隣で勉強したり、食事したり。
昼過ぎに起きてきて、私の運動を眺めて、それから用が出来て、近所に買い物。
21時、本当に帰るつもりが、そこから離れ難くなって、抱き合う。
恋愛関係でもない2人だ。
間違っているのかも知れない。
でも、正しさの中だけでは生きていけない。
冷たい北の指が、髪を撫で上げる。
瞼を閉じさし、私は眠る。
いっそ恋になればいいのに。