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【SORABITOセミナーレポート】建設現場も建機もデータ化する、EARTHBRAINが提案する建設DXとは

2023年1月、SORABITO株式会社様が主催するオンラインセミナーが開催され、当社EARTHBRAINの執行役員CTO井川甲作と、シニアディレクター濱野秀男が登壇いたしました。
EARTHBRAINからは、建設業のデジタルトランスフォーメーション実現のために提案する「Smart Construction 」の構想や具体的な取り組みについてご説明し、SORABITO創業者の青木様との対談も行いました。そこで、本記事ではオンラインセミナーの概要を記事に残しておこうと思います。

SORABITO株式会社について

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SORABITO株式会社様は、建機レンタル建設機械会社向けの様々な IT ソリューションの開発・提供などを通じて、建設業界のDXを実現するスタートアップ企業です。

◆開発・提供されているサービス◆
 ・建機レンタルの営業サポートアプリ「i-Rental注文アプリ」
 ・建機レンタルの業務効率化クラウド「i-Rental 受注管理」
 ・建機レンタルの経営分析サービス「i-Rental AI」
 ・建設業界専用のクレジットカード「建設スマートカード」

★SORABITO様からのアナウンス★
SORABITOの建機レンタルのオンライン注文サービス「i-Rental 注文アプリ」は、販売開始から2年を迎えます。建機レンタル会社にとっての注文対応のスピード化や正確性の向上、建設会社にとっての現場でのレンタル建機管理の省力化など、非常に好評です。導入企業も地域・業種を問わず広がっていますので、ご関心をお持ちの方はお気軽にSORABITOまでお問い合わせください。


それでは、講演についてご紹介します。


講演① 建設DXは現場から。現場IoTとクラウドでDigital Twinを実現するSmart Constructionの取り組み

講演①では、EARTHBRAIN執行役員CTOの井川甲作より講演を行いました。

EARTHBRAINと建設現場DX

EARTHBRAINは、建設業向けのデジタルソリューションを開発している企業です。建設現場のDXとは、リアルの現場をデジタル化し、そのデータを活用して建設プロセス全体を効率化することを指します。

そのために重要なポイントは、クラウド化だけではなく、建設現場をどうデジタル化するか?にあります。
機・労・材や地形などの情報もデジタル化して、これらのデータをクラウドにあげて使いやすいデータに加工し、API連携で色んなアプリケーションに渡して、施工の最適化などのDXが実現できるわけです。
具体的に当社の場合、ハードウェアもソフトウェアも開発していますが、「LANDLOG」という建設業向けのIoTプラットフォームと「Smart Construction」という建設生産プロセスを最適化するソリューションを提供しています。

EARTHBRAIN出資者のコマツが考える問題意識

当社の出資者であるコマツが考える建設業に対する問題意識は、労働力不足が深刻な中で、現場の生産性をいかに上げるか?ということにあります。コマツは、2013年からICT建機を日本だけではなく、海外市場でも導入してきました。
ところが、ICT建機によって「盛る」部分の工事量は1.5倍増えたものの、それ以上に生産性が伸びないんですね。その理由は、前工程の「掘る/積む」「運ぶ」部分の業務が改善しないからなんです。コマツの建機が活躍できない領域にも当然色んな作業が存在していて、顧客全体の業務プロセスの生産性向上には寄与しないという気づきがありました。そこで、建設プロセスの全体を3Dでつなぐ、「建設現場の見える化」を目指していこうという動きになります。2015年に「Smart Construction」というサービスを開始し、2016年には「i-Construction」が開始され、国全体で建設現場の生産性を上げようという機運の高まりが起きたわけです。こうした影響もあり、「Smart Construction」は現在全国2万以上の現場で導入されています。海外でもアメリカやヨーロッパで広まりつつあります。

DXをどのように実装するか?

よくある事例は、1つ1つの業務プロセスをデジタルに置き換える、つまり「単なるデジタル化」というかたちになります。
先ほど申した通り、業務プロセストータルで考えれば、この方法は生産性がまだまだ上がる余地があるわけです。なので、当社は、例えば測量・調査で3Dを使うなら、施工計画以降も最後まで3Dでやりきりましょう、つまり横のデジタル化という発想で「Smart Construction」を開発しています。
今までのアナログな施工計画作成プロセスの場合、エクセルを使ったり、最後には現場監督の勘も使って、大規模な造成工事であれば2ヶ月程度かかることもあります。
一方、我々は3Dで考えて根本的に業務をカンタンにしようとしています。ドローンで3D測量して現場にあるエッジコンピューターで処理すれば、1.5haの土地であっても20-30分で現場で点群化することが可能です。
そして、ここから「工程の見える化」もできるようになっていて、どういう順番で土を動かせば良いか、ショベルが何台必要で何往復必要か、Co2の排出量はどれくらいか?等をシミュレーションできるし、シミュレーション後の実際の稼働量も取れるため、PDCAをまわせるようになり、大幅に生産性が向上することをイメージいただけるかと思います。

「デジタルツイン」実現のために

さて、「デジタルツイン」※の実現のためには、現場からどうやってデータを取るかが第一歩になりますが、建設機械でさえ、データをまだまだ取りきれていないのが実態であり、全油圧ショベルの2%しかICT化されていないんです。
だから、当社は「Smart Construction Retrofit」のような後付け機械を提供しており、安価な機械を渡して、まずはデジタル化を始めてもらうことが重要だと思っています。
そして、建機のセンサーを通じて「現場が見える化」し、建機オペレータや作業員・現場監督などの「個別業務の生産性」が向上します。そして、全ての業務データが集まれば、「施工現場全体の最適化」につながり、お客様への付加価値がどんどん高まっていくわけです。

BIM/CIM原則適用に向けた動き

EARTHBRAINは、2017年よりCESIUM(アメリカの3D地図プラットフォーム)の技術を活用してプロダクト開発を進めていることから、2023年のBIM/CIM原則適用といった最新の動きにも対応可能です。

建設DXを実現するためのポイント

最後に、建設DXを実現するためのポイントを挙げさせていただきます。

①「DXはお客様視点」
②「デジタルツイン、DXの起点は現場から」の2点になります。

①については、現場の工事全体の生産性・安全性を上げたいという視点を持つことが、顧客の付加価値を最も高めることにつながりますし、②についても、まずは「現場の可視化」、つまり、現場の状況のデジタル化を通じて、現場を分かることが第一歩になります。


現場をサポートする企業、特にレンタル会社はDXの第一歩である建機を抑える存在になりますので大きなチャンスがあると思います。


講演② 3Dマシンガイダンス装着キット~Smart Construction Retrofit~

講演②では、EARTHBRAINシニアディレクターの濱野秀男より講演を行いました。

Smart Construction Retrofitとは

「Smart Construction Retrofit」は、 油圧ショベルに装着可能な後付け3Dマシンガイダンスキットであり、0.1-0.5立米までの建機に装着が可能です。
主な機能は3点です。
 ①3Dマシンガイダンス機能
 ②施工進捗確認機能
 ③ペイロード機能(オプション)

Smart Construction Retrofitは、過去のNoteで記事を投稿しています。
https://smartconstruction-times.com/n/n5de9c862d3c1

①3Dマシンガイダンス機能について

「Smart Construction Retrofit」はICT建機と比較して、コントロール機能以外は同じスペックを持っています
施工履歴の取得はもちろん、一番気になる精度の差はほとんどありません。
かつ、1台1,000万円ほど必要な高価な3Dマシンコントロールに比べて、非常に安価にご提供できるのが大きな強みです。

②施工進捗確認機能

施工進捗確認機能とは、刃先の履歴情報、つまり現場のどの場所でどの程度の作業ができたかを確認できる機能になります。

③ペイロード機能

「ペイロード機能」はオプション機能になりますが、Smart Construction Retrofitに油圧センサーを追加することで使えるようになります。
積み込み作業を止めることなく、バケットの荷の重量を測ることができるため、ダンプの積載重量を確認する目安として使うことが可能です。
ダンプの運行管理を行う「Smart Construction Fleet」と連携すれば、登録しているダンプの情報や過積載警告をお知らせすることができます。また、1日の運行実績も確認できるので、作業エビデンスを施主や近隣住民への説明に利用しているケースもあります。
 

EARTHBRAINのサポート体制について

当社の3つのサポート体制もご紹介させてください。
「サポートセンターによるお客様ダイレクトサポート受付」は、電話に加えて、顧客の画面共有による遠隔対応やLINE対応など幅広いツールで操作支援を行っています。また「ICT施工専任担当者の内製化トレーニングプログラム」を提供しており、お客様社内における人材育成をご支援しています。そして「現場で操作サポートができる協力企業」の紹介もしています。

皆様に手軽に、Smart Construction Retrofitをご利用いただける体制を整えています。



パネルディスカッション

講演のあと、SORABITO創業者の青木会長を交えたパネルディスカッションを行いました。

◆SORABITO青木会長より①◆
冒頭に全国2万現場で導入というお話がありましたが、私の友人の現場を訪問した際、Smart Constructionを利用しているシーンを身近に見て、どんどん広まっていると思っていたところでした。最初に導入していく上で、どういうポイントが導入の決定要因になりますか?

導入のきっかけは、i-Constructionの存在、そのレギュレーションに対応できる施工方法やプロセスを導入したいという声が多いのは事実です。
一方、実際に導入してデジタル化した結果、今まで見えなかったものが数字になることによって、自分達がやっていることの無駄を発見できることが分かってくるので、「自分の業務の効率化につながる」という実感から、どんどん入れていきたいという雰囲気が作られていく流れになっていきます。(EARTHBRAIN)

◆SORABITO青木会長より②◆
本日の参加者は建機レンタル会社の皆さんも多いですが、今後取り組みたいことはありますでしょうか?

建機レンタル会社から多いご相談は、ICT施工に対応した機械を貸すにあたって、専門知識を持つ人が社内にいないため厳しいという内容です。
かつ、建設現場でICT施工に慣れている人・そうじゃ無い人の判別が難しく、どうしてもフォローに手間がかかるので、貸すこと自体にハードルがあるというお声もいただきます。
そこで、当社の場合、協力企業が現場をサポートする、あるいは、レンタル会社内部の人材育成を当社がご支援することで、ICT建機のレンタルがより普及していけるような状態を作っていきたいと思っています。(EARTHBRAIN)

◆SORABITO青木会長より③◆
色んな現場で成功事例が生まれていると思いますが、協力体制など成功条件には何が必要ですか?

こうしたソリューションや当社のビジョンに対する経営者の理解は重要です。例えば、Retrofitを1つだけ導入しても、そんなに変わらないわけです。
最終的に実現したい姿に対する経営者の意志、そして現場の理解も必要になります。(EARTHBRAIN)

◆SORABITO青木会長より④◆
DXの浸透で建設現場の働き方も変わっていくと思っていて、貴社の取組みは、魅力的な職場を作っていくことにもつながり、業界外の人を呼び込む契機になると思います。

ICT施工やi-Constructionという最新技術に対して、若い人であれば、すぐにある程度のレベルまで成熟した対応ができるようになります。
そこから面白いのは、3Dから始めたのに、2D施工もやってみようといった業界における新たな働き方のモデルが生まれていることです。
また、地域の高専や高校にこうした取組みをアピールして、若い人を引き付けるといった動きも生まれています。
2024年から36協定も原則適用になりますから、クリーンで先端的な業界であることをアピールできる機会につなげていければ良いですね。(EARTHBRAIN)


質疑応答

◆◆質問①◆◆
Smart Constructionにはさまざまな機器がありますが、使いこなして導入ノウハウを獲得するためには、どんな準備が必要でしょうか?

まず、準備は必要ありません。操作の不明点はサポートセンターがその場で回答させていただきます。特に3Dデータの質問が多くありますが、弊社のDXコンサルタントが数十名いて、電話に加えて訪問対応も可能です。また、内製化要望にもカリキュラムを用意してご相談に乗ることもできます。まずは情報収集という形でのご相談を受けることも可能ですので、安心してご連絡をいただければと思います。(EARTHBRAIN)

◆◆質問②◆◆
「Smart Construction Dashboard」では、関連サービスを活用した機能拡張は可能ですか?

他の「Smart Construction」サービスやiPhoneなどの周辺サービスと連携して拡張することは可能ですが、標準システムのため、お客様の内部システムとつなぐのは難しい仕様になっています。
仮に色んなサービスと連携することを企図されている場合は、LANDLOG Viewerという3Dデータで様々なカスタマイズして機能拡張が可能なサービスをお勧めしています。(EARTHBRAIN)

◆◆質問③◆◆
EARTHBRAIN様をパートナーとして選ぶユニークさは何か?

機械の性能というより、顧客の習熟度に沿ってきちんとサポートできることだと思います。お客様が自立するまで伴走できることが当社の強みです。(EARTHBRAIN)


まとめ

いかがでしたか?

今回、登壇する機会をいただきました、SORABITO株式会社様のオンラインセミナーは、大変多くの参加者からご視聴いただくことができました。質疑応答を通じて、建設業界のDXに対する強い興味を感じました。

建設DXの実現、と一言で言っても、ボンヤリとしていてなかなか明確に想像するのが難しいかもしれません。事業の規模も違えば、目的も予算も違うでしょう。課題を感じながらも、自社に何が必要か?どうすればいいのかお悩みの方は、是非、EARTHBRAINにお問い合わせください。

★EARTHBRAINの問い合わせフォームはこちらから★
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