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Wonder Together 2024年7月

梅雨の合間、朝からすっきり晴天となった7月のある日
一気に夏本番の畦畑で今月のワンダーも始まります。

ここ最近よく畦畑にお邪魔させてもらうと
湿気や気温の上昇も相まってか
畑の土や植物たちからの「におい/香り」が
ぐっと濃くなったように私は感じていました。

ということで、今回は畑の様々な「香り」を探ることを焦点に。
畑へ向かう道中から道端の草花のにおいを気にして歩き始めたメンバーもいました。

「この葉っぱなんにもにおいしない!」
「これはどうだろう?何かにおうかな?」

それぞれ思い思いに何かを見つけ、その都度立ち止まりながら歩いていく
畦畑公民館から畑までの道中にもたくさんのワンダーが溢れています。

途中、この時期畦畑でよく見かける私の好きな「熊イチゴ」を発見

においをかいだり食べてみたり
なにかを持ってきたノートに書き留めている人もいました。

他の場所よりも涼しい畦畑の周りにはまだ蕨がイキイキしています。
「これはどんなかおりがするかなあ?」
と蕨を1つつんでみたことがきっかけで
わらびをたくさん収穫した人も。
「これ食べられる?」
「ちょっと食べてみる?」
「苦い!」
「お家に薪ストーブあるんだっけ?そこにある木が燃えたあとの粉(灰)と一緒に水に浸しておくと苦くなくなるんだよ!お家でやってみてね。」

そんなこんなでソヤ畑に到着。
ソヤさんの畑の半白胡瓜のアーチの前でゆうきくんとえみさんが迎えてくれました。
半白胡瓜はソヤ畦畑さんが自家採種をされている江戸時代の品種のきゅうり。
私もソヤさんと出逢った時から時が経つにつれ想い入れが深まっている胡瓜で、大切な存在です。
からだの半分以上を占める淡い白色と優しい爽やかな緑色と表面のトゲトゲが織りなす半白胡瓜、毎年その姿にうっとり見とれます。
そしてもちろんその味も!すきっとした何とも言えない爽やかな味わい。
Earth to Tableを始めた初年度からつくっている半白胡瓜シャーベットは夏になると食べたくなる一品です。


去年のワンダーで半白胡瓜が種を残していく姿や熟した種のにおいをかいだ同じアーチで
今年はたくさんのお花とめ花が花を咲かせ
蜂たちが忙しくはたらいている姿がありました。

「この時期香るきゅうりの花のかおりがとても好きなんです
今日はみなさんもきゅうりの男の子/お父さん花をぜひかいでみてください。」

というゆうきくんんの言葉のあときゅうりのアーチにお邪魔しました。

「お花とめ花ってどう違うの?」
「赤ちゃんきゅうりがついているのがお母さん花かな?」
「じゃあ、これがお父さん花?」
「あ!なんかにおう!」

子どもたちも大人もきゅうりの花のにおいをかいだことは初めてという人たちがほとんどでした。
なんとも言えない甘いかおりに惹きつけられ蜂たちが動き回っています。

自分が気に入ったきゅうりを一本収穫させていただけることに。
半白胡瓜アーチを通り抜けながら、
おもいおもいのきゅうりを選び
はさみでどこを切り離すかを教えてもらいながら
”へその緒”だけを、他の部分はおかあさん胡瓜の身体の一部なので傷つけないように、はさみでゆっくり切り離します。

そのままかじりつきたくなるような大きさのきゅうり
まだまだ赤ちゃんのような小さなきゅうり

どんな姿の胡瓜でもいいよ~というゆうきくんの声に
思い思いのきゅうりを選んだ子どもたち。

きゅうりの”へその緒”の切り口から何か液体が出ていることに気がつき
「なんか液が出ている・・・!」

そこからゆうきくんがおもしろい話をしてくれました。
「じゃあこのきゅうりをぽきっと折ってみて!」

少し戸惑いながらも思い切って半白胡瓜を半分にぽきっ!

「さっき発見してくれた液体と同じだけど、
これはきゅうりが傷口を治そうとして出している液です。
だからこうやってぽきっと折ったところも一緒に合わせてみると・・。」

と数秒間きゅりの切り口と切り口をあわせてみると・・

「えー!くっついた!」

そう、きゅうりが出した液が切り口同士をくっつけたのです。

「みんなが収穫したきゅうりの中にも表面が傷ついているけど治った痕が残っているきゅうりもあるかな?それもこうやってきゅうりが傷口を治す力があるからなんかな?と僕は思っています。」

きゅうりのアーチで出逢ったたくさんのワンダーのあと、
畑のなかで様々な「におい」を探しながら
しばらくそのままお邪魔させてもらいます。
ベルガモットハーブやミントの香りやヨモギの香り・・・。

その後、5月に種をまいたとうもろこしが育っている畝へ
メンバーのほとんどの背丈を一気に越してぐんぐん育っている様子
とうもろこしのトンネルができあがっていました。

そしてその横には先月の瑞々しい姿から
背丈がすっと伸び花をさかせているレタスたちの姿が。

「実はさっきこのレタスを食べてみたらすごく苦かったんだよ、少し食べさせてもらう?」と私が切り出しました。
「あ~ほんとだ、苦い!」と食べてみた子どもたちの感想。

こんなやりとりが生まれた「名残」のステージで種を残す準備をしているレタスたちの畝。
ソヤの恵美さんのお話でとても印象的だったことは、
野菜たちにとってはどれも人生のそれぞれのステージであるということ。
「走り」・そしてイキイキした瑞々しい「盛り」の時・そして私たちが今回見たレタスのように「名残」種を残す前の枯れていく姿。

人間が「旬」と決めている野菜たちの人生のステージ
確かにそれには色んな理由があるのだと思いますが、
恵美さんの話をお聞きしながらソヤ畑で季節を通して見せてもらう
様々な野菜たちの多様な姿、ステージにおもいをはせました。

先ほどの種を残す準備をしているレタスたち
苦みを感じましたが焼いてみたら味が変わるかな?
という発想で子どもたちも食べてみたい!と言ったので
何枚かレタスをとらせていただき
その周辺にはえていたスベリヒユも一緒にキッチンへ持って帰ることに。

畦畑公民館へ戻った後は収穫させてもらった
半白胡瓜をさっそく丸かじりしている人も!
「美味しい~」

今日の料理は畑で収穫させてもらった色々を使って
ライスブルスケッタ作り。
ブルスケッタと言えばイタリアでバケットをカリカリに焼いてニンニクやフレッシュトマトをのせる食べ物ですが
今回はソヤさんお米を使ってお米をカリっと焼くスタイルに。

料理の時間はいつもそうですが、
どんなものを作るかというイメージや留意点をみんなと共有したあとは
それぞれが自分の感覚や経験を手掛かりにつくりあげていきます。

水をしっかり手に付けて
お米を色んな形につくっていきます。
まあるく薄目に形作る人
ハートの形に作る人
小さな薄いまるをたくさん作る人
水分量が多くてご飯がまとまらなくなった人

どうやって軌道修正するか、
必要な時は私もサポートしますが
その過程も
「◯◯ちゃんはどうしたい?」という風な質問をして、話しながらすすめます。

お米をフライパンで焼いていく過程でも
形にしたままで焼き上げる人もいれば
ひっくりかえす時にご飯がパラパラになった人も。

パラパラになったご飯は
最初に目指していたライスブルスケッタとは違うけど
ソヤさんで収穫させてもらったサンチュにくるんでパクっ!
またはそのままスプーンでチャーハンみたいに一口!

「めっちゃおいしい!」

多種多様の過程と仕上がりを体験する料理の時間。

私も料理をする上で、
「こうじゃないといけない!」という感覚に
とらわれていて、
過程を楽しんだり、思いもよらない結果も「美味しい」という体験に変えたりする姿勢を忘れがちなことに気がつかされる時間でした。

因みにそのまま食べてみると苦かった
名残のステージのレタスは
焼いてみると香ばしく程よい苦味のなんとも美味しい味わいに。
自生していたスベリヒユも
生の時の酸味が和らぎまた面白い味わいに。

子どもたちもパクパク
火を通して変わったそれぞれの味を
楽しんでいる様子でした。

ワンダーの終わりの時間にいつもしている振り返りくじびきの時間
去年から今年にかけて子どもたちの変化の一つを感じられる時間です。
引いたくじにかかれている質問
例えば
「今日一番嬉しかった時間は?それはなぜ?」
「今日難しかったことはありますか?どうして難しかった?」
「今日作った料理をもう一度作ってみたいですか?それはなぜ?」
を考えながら半日を振り返っていきます。

質問を読み、畑、料理の時間をじっくり遡っていく子どもたち。
短いシンプルな質問ですがこの振り返りの時間は、その日自分が感じたことや自分に対する評価を自信をもって言葉にしていく
とても大切なものだと思っています。

次回8月はゲストに友人のバーテンダーをお招きし、
畑の時間そして野菜やハーブを使ったモクテル作りを通して
また新たなワンダーを体験することを今から楽しみにしています。



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